DNAの改修者

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第152話 メラニー・ケープノット

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朝食を食べ終わる頃にエバーミット様のお屋敷から連絡があり、今日エバーミット様のお屋敷に行くことになりました。
カプランド領のサリー様も昨日中にケープノット領都に到着されたようです。

今回は魔動力車で帰る予定なのでお姉ちゃん達も留守番せずに一緒です。

『シャルル、先にエバーミット様にお悔やみを申し上げにいきますね』

「うん」

お屋敷に到着するとお母さんと僕はエバーミット様の下へ、お姉ちゃん達は歓談室で待機することになりました。



コンコン、コン。

「はい」
ガチャ…。

中から扉が開けられ、僕達は部屋の中に入ります。

部屋は応接室のようで長椅子とテーブルがあり、長椅子にはエバーミット様とシクスエス様が座っておられました。

「あっ、ルーシャ様にシャルル君…」

「ルーシャ様、相変わらず若々しいですわね」

『エバーミット様、この度は誠にご愁傷様でございます。心からお悔やみ申し上げます』

「お気遣いを頂きましてありがとうございます」
「昨年の領主会議以前より弱ってきておりましたので覚悟はしておりました」

『……』
そうでした。
昨年お会いした時にはパートナーに元気が無いとの事で、エルスタイン領の新種の“もい”にご興味をもっておられましたね。

少しお話をしていると、カプランド領のサリー様も部屋に来られ、同じようにお悔やみを伝えていらっしゃいます。

「皆さんが揃われたことですから、領主会議を始めましょうか…」
「シャルル君、歓談室に娘を連れて行きますから領主会議の間、遊んであげてくれますか」

「はい、エバーミット様」



僕達が歓談室に戻ると、シエラお姉ちゃん達は他の領のお姉さん達と話をしているようでしたが、急に静かになり僕達の側に集まってきます。

『シエラ、これからすぐに領主会議が始まりますので、シエラとメルモアは私と一緒に…、トリスとヌエットはシャルルに付いていてちょうだい』

「「「「かしこまりました」」」」

しばらくしてエバーミット様が歓談室に入ってこられると、横には小さな女の子がくっ付いていました。

「シャルル君、娘のメラニーです。まだ小さいですが仲良くしてあげてくださいね」

「はい。はじめましてメラニー…さん、シャルル・エルスタインです。よろしくね」

「メラニー・ケープノットよ」

「ダメでしょ、メラニー。きちんとご挨拶して!」

「は~い…。メラニー・ケープノットです。はじめましてシャルルさん、よろしくお願いいたします」

「じゃあシャルル君、晩餐会まで頼むわね」
「では、領主様方会議室に向かいましょう…」



XX XY



「これから領主会議を始めるわけですが、皆さん、改めまして、急遽ケープノット領都にお集まりいただきありがとうございます」

「何をおっしゃるのですか、私達こそこんな時に領主会議をさせていただき申し訳ありません」

「そうですよ、エバーミット様…」

『私達も遅かれ早かれ向き合わなければならないことなのですから…』

「しかし、弱っていたとはいえ、見た目はそんなに変わりませんでしたから、突然亡くなられると悲しみより先に驚いてしまいました…」

「男性については本当に分からないことが多いですね…」

「そうですね。私もパートナーから再度精子が採取できればと思っていたのですが…、最初の“誕生の儀”が少し遅めでしたから…」

「メラニーさんはお父様が亡くなったことは理解されているのですか?」

「今年6歳になるところですから、まだ分からないと思います」

『……』
シャルルも今は男性が早く亡くなることを理解していますが、同じ頃は神様のところへ仕事に行くと信じていましたからね。

「では、領主会議を進めていきましょう…」



XX XY



「はじめまして、シャルル様。私はメラニー様の専属のメイドのラランと申します」

「はじめまして、ラランお姉さん。こちらがトリスお姉ちゃん、こちらがヌエットお姉ちゃんだよ」と、紹介するとお姉ちゃん達もラランお姉さんに挨拶をしました。

メラニーはラランお姉さんの脚に掴まってこちらをじぃ~っと見ています。

「ではシャルル様と皆さん、どうぞこちらへ」

ラランお姉さんがそう言うと、メラニーはトタトタ…と先に小走りで行ってしまいました。

「シャルル様、すいません。メラニー様はまだお父様以外に男の方と接したことがないのです。人見知りではないと思うのですが、どう接したら良いのか分からないのだと思います」

「そうだよね。僕もあのくらいの頃は屋敷のお姉ちゃん数人としか話したことがなかったよ」

「シャルル様は私かシエラ先輩か本当に稀にメンテール先輩としか話す機会が無かったですよね」と、トリスお姉ちゃんも納得しています。

リビングに通されると、メラニーが先に長椅子に座ってこちらを見ていました。

僕達が近づくと「シャルルさん…」と、呼びながら自分の座っている横をポンポン…と叩いています。

僕がラランお姉さんの顔を見ると黙って頷かれるので、僕はメラニーの横に座ることにしました。

ラランお姉さんはお茶の用意をしていて、トリスお姉ちゃんたちは僕の向かい側に座らせてもらっています。

「シャルルさん…」

「シャルルでいいよ。僕もメラニーって呼ぶからね」

「うん」
「シャ、シャルルは新しいお父さん?」

「「「えっ!?」」」

「メ、メラニー、急にどうしたの? そんなことを言って…」

お姉ちゃん達も一瞬驚いた顔をしましたが、今は平静を装ってこちらを見ています。
ラランお姉さんも驚いたのか、置こうとしていたお茶のカップをガチャと鳴らせていました。

「うん…、お母さんがね、お父さんが神様のところにお仕事に行くことになってもう会えないって言っていたの…」

「そう…」

メラニーのお父さんが亡くなったことを知っているだけにしんみりしてしまいます。

「それで、大きな男の人が来たから、新しいお父さんなのかなって…」

「僕は大きい方だけど、まだ10歳なんだよ」

「じゃあ私のお父さん?」

「えっ!?」

お姉ちゃん達も再び驚いた顔でこちらを見ています。

「メラニー様、お父さんじゃなくて、パートナーですよ」

「ラランさん、訂正するところはそこじゃないですから…」

「メラニー、残念だけど違うよ」

トリスお姉ちゃんが言ったように、話がおかしくならないうちにちゃんと否定をしておきます。

「そうなんだ、残念~」と、立ち上がったかと思うと僕の膝の上に座ってきました。

「「あっ!?」」
「メラニー様って幼いのに積極的ですね…」と、トリスお姉ちゃん達が小声で話をしています。

トリスお姉ちゃんも僕が小さい時は膝の上に座らせていたじゃない…とは言いませんでした。

「メラニー様、お寂しいんですね…」

「……」
ラランお姉さんはそう言っていますが、純粋に男性への興味のように感じます。
だって、身体を僕に預けてニコニコと微笑んでいるのですから…。
お父さんの事、もう忘れていないよね…?

「くっ…、メラニー様、なんて羨ましい…」と、ヌエットお姉ちゃんが小声でそう言っています。
こんな小さな女の子にまで悔しがるなんて…、まぁそこがヌエットお姉ちゃんらしいところでもあります。

「メラニーは何属性なの?」

「私は水属性なの」と、床から浮いた脚をブラブラさせながら答えてくれます。

「じゃあ、ラランお姉さんも?」

「はい、私も水属性です。メラニー様の“誕生の儀”にも付き添っていました」

「じゃあ、トリスお姉ちゃんと一緒だね。トリスお姉ちゃんも水属性で、僕の“誕生の儀”にもお手伝いしてくれたそうなんだよ」

「そうでしたか…」

「メラニーも魔法を頑張って使えるようにしないとね」

「うん、今はコップの水を浮かせたりすることしか出来ないけれど、大きくなったらラランよりも上手になるんだから…」

「うん、頑張ってね」とメラニーの頭を撫でてあげるのでした。
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