DNAの改修者

kujibiki

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第91話 領主会議ーバルゼ領編9

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朝食を食べた後、予定では領界の町に向かうところなのですが、もう一度一般公開されている鉱山に立ち寄ることになりました。
ここで昨日採掘した属性石の発表会を行うからなのだそうです。

鉱山に近づくと、まだ朝も早いのですがたくさんの人が集まっているのが見えます。
エリシモアお姉さんが昨日のうちに都市の至る所とすべての宿に告知をしていたそうです。

受付所の横に設けてあった壇上に、お母さんとエリシモアお姉さん、僕とメンテールお姉ちゃんとトリスお姉ちゃんが上がります。

「みなさん、朝の早い時間にお集まりいただきありがとうございます。私はこのナモアイの都市長をしていますエリシモアです」

パチパチ、パチパチ~~~~!!

「昨日、この坑道に来られた方はご存知かもしれませんが、稀に見る大きな属性石が採掘されました。それがこちらです!」

エリシモアお姉さんが手をかざした所のかぶせてあった布が取り払われ、僕たちが昨日見つけた属性石が並んで見えます。

白い石はなんとなく手元に置いておきたかったので、並んでいるのは4つの属性石のみです。

『おぉ~~~~!!』
『すごい綺麗~』
『なんて大きさだ~』
『いったいいくらの価値になるんだ~』

色んなところから色んな感想が聞こえてきます。

歓声が収まりかけたところで、再びエリシモアお姉さんが話し始めます。

「この属性石の大きさ、透明度を考えるとまさに国宝です!!」

『おぉ~~~~!!』
パチパチ、パチパチ~~~~!!

「国宝になってしまえば、もう二度と見ることは出来ないかもしれませんよ。今、まさに皆さんは貴重な瞬間に立ち会っておられるのです!!」

『なんて素敵な日なんだ~』
『ナモアイにいて良かったよ~』

「……」
エリシモアお姉さんのあおり方がすごいです。
お母さんを見ると若干引いているようにも見えます。
まさか、これからみんなの前で紹介されるのでは…と思うと僕も少し緊張してくるのでした。

「そして皆さん、さらに幸運なことに、こちらにおられる方はこのエルスタイン領、領主ルーシャ様なのです」
「滅多にお目にかかれる方ではありませんよ~」

『なんてお綺麗なんでしょう!』
『こんなところでルーシャ様に会えるだなんて…』

女性からの羨望のまなざしがお母さんに向けられています。

「そして、こちらの男の子こそがルーシャ様のご子息で、今回これらの属性石を採掘されたシャルル様となります!!」

『キャー、なんてかわいいの~!!』
『すごい、男の子だ!』
『シャルル様~っ!!』

「……」
もう、属性石より僕の方が目立っているような気がします。

「お母さん、やりすぎなんじゃ…」

『そ、そうね。でも、もう止められないわね。これでシャルルもちょっとした有名人よ』

メンテールお姉ちゃんもトリスお姉ちゃんも黙って僕の傍に立っていましたが、その顔はとても嬉しそうな顔をしているようでした。



XX XY



「ふぅ~、朝からなんだか気疲れしたよ…」
魔動力車に揺られながらボーっと外を眺めながらつぶやきます。

「でも、シャルル様がすごいことをしたのを多くの人に知ってもらえて私は嬉しいです」と、属性石を手にとって眺めながらシエラお姉ちゃんが答えてくれます。

『おそらく、これから向かうバルゼ領にもこの話題は伝わるでしょうから、シクスエス様もきっとご覧になりたいとおっしゃられるでしょう』
『悪いですがシエラとメンテール、二人で預かっておいてもらえますか』

「はい、盗まれないように気を付けます」
「シャルル様の石は必ず守ります」

「え~っ!? 盗まれる可能性があるの?」

『ええ、町や都市は治安も良く、起こっても喧嘩程度ですが、町などから外れると少なからず悪い事をする者もいるのです』



休憩をはさみ、夕方になるにはまだ早い時間にバルゼ領との領界に一番近い町に到着しました。

町ですが領界に近いということもあって大きく、人もたくさんいます。
今晩の宿も町としては大きくて立派な建物でした。

トリスお姉ちゃんは魔動力車をキルシッカお姉ちゃんに任せ、急いでチェックインに行きました。

「あ~、今日はトリスお姉ちゃんと一緒の部屋かぁ」

「トリスも楽しみしていたようですよ」と、シエラお姉ちゃんが言っています。

しかし、トリスお姉ちゃんの戻ってくる足取りは重く、ヨタヨタ…と顔を俯き戻ってきました。

「トリス…、まさか…?」

「うわぁ~ん!! ヒグッ…、ウグ…、浴槽…ない…宿でした…エグッ」

「トリスお姉ちゃん、なにも泣かなくても…、一緒には眠れるんだし…」

「でも…、でもぉ~!!」

『はいはい、トリスも宿の出入口で泣かないの』
『たぶん、また大浴場はあるんでしょ? それでいいじゃない』

「そうだよ、また屋敷の岩風呂に一緒に入ってあげるから…」

「シャ、シャルル様、約束ですよ!」

「う、うん…」

「あれ? なんだか急にトリスがかわいそうに思えなくなって来たわ、シエラ…」

「私もです。メンテール。なんだか上手く約束を取り付けていましたね」

若干先輩たちの反感を買っているのにも気づかずトリスお姉ちゃんはニコニコ顔に戻るのでした。
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