91 / 567
第91話 領主会議ーバルゼ領編9
しおりを挟む
朝食を食べた後、予定では領界の町に向かうところなのですが、もう一度一般公開されている鉱山に立ち寄ることになりました。
ここで昨日採掘した属性石の発表会を行うからなのだそうです。
鉱山に近づくと、まだ朝も早いのですがたくさんの人が集まっているのが見えます。
エリシモアお姉さんが昨日のうちに都市の至る所とすべての宿に告知をしていたそうです。
受付所の横に設けてあった壇上に、お母さんとエリシモアお姉さん、僕とメンテールお姉ちゃんとトリスお姉ちゃんが上がります。
「みなさん、朝の早い時間にお集まりいただきありがとうございます。私はこのナモアイの都市長をしていますエリシモアです」
パチパチ、パチパチ~~~~!!
「昨日、この坑道に来られた方はご存知かもしれませんが、稀に見る大きな属性石が採掘されました。それがこちらです!」
エリシモアお姉さんが手をかざした所のかぶせてあった布が取り払われ、僕たちが昨日見つけた属性石が並んで見えます。
白い石はなんとなく手元に置いておきたかったので、並んでいるのは4つの属性石のみです。
『おぉ~~~~!!』
『すごい綺麗~』
『なんて大きさだ~』
『いったいいくらの価値になるんだ~』
色んなところから色んな感想が聞こえてきます。
歓声が収まりかけたところで、再びエリシモアお姉さんが話し始めます。
「この属性石の大きさ、透明度を考えるとまさに国宝です!!」
『おぉ~~~~!!』
パチパチ、パチパチ~~~~!!
「国宝になってしまえば、もう二度と見ることは出来ないかもしれませんよ。今、まさに皆さんは貴重な瞬間に立ち会っておられるのです!!」
『なんて素敵な日なんだ~』
『ナモアイにいて良かったよ~』
「……」
エリシモアお姉さんのあおり方がすごいです。
お母さんを見ると若干引いているようにも見えます。
まさか、これからみんなの前で紹介されるのでは…と思うと僕も少し緊張してくるのでした。
「そして皆さん、さらに幸運なことに、こちらにおられる方はこのエルスタイン領、領主ルーシャ様なのです」
「滅多にお目にかかれる方ではありませんよ~」
『なんてお綺麗なんでしょう!』
『こんなところでルーシャ様に会えるだなんて…』
女性からの羨望のまなざしがお母さんに向けられています。
「そして、こちらの男の子こそがルーシャ様のご子息で、今回これらの属性石を採掘されたシャルル様となります!!」
『キャー、なんてかわいいの~!!』
『すごい、男の子だ!』
『シャルル様~っ!!』
「……」
もう、属性石より僕の方が目立っているような気がします。
「お母さん、やりすぎなんじゃ…」
『そ、そうね。でも、もう止められないわね。これでシャルルもちょっとした有名人よ』
メンテールお姉ちゃんもトリスお姉ちゃんも黙って僕の傍に立っていましたが、その顔はとても嬉しそうな顔をしているようでした。
XX XY
「ふぅ~、朝からなんだか気疲れしたよ…」
魔動力車に揺られながらボーっと外を眺めながらつぶやきます。
「でも、シャルル様がすごいことをしたのを多くの人に知ってもらえて私は嬉しいです」と、属性石を手にとって眺めながらシエラお姉ちゃんが答えてくれます。
『おそらく、これから向かうバルゼ領にもこの話題は伝わるでしょうから、シクスエス様もきっとご覧になりたいとおっしゃられるでしょう』
『悪いですがシエラとメンテール、二人で預かっておいてもらえますか』
「はい、盗まれないように気を付けます」
「シャルル様の石は必ず守ります」
「え~っ!? 盗まれる可能性があるの?」
『ええ、町や都市は治安も良く、起こっても喧嘩程度ですが、町などから外れると少なからず悪い事をする者もいるのです』
休憩をはさみ、夕方になるにはまだ早い時間にバルゼ領との領界に一番近い町に到着しました。
町ですが領界に近いということもあって大きく、人もたくさんいます。
今晩の宿も町としては大きくて立派な建物でした。
トリスお姉ちゃんは魔動力車をキルシッカお姉ちゃんに任せ、急いでチェックインに行きました。
「あ~、今日はトリスお姉ちゃんと一緒の部屋かぁ」
「トリスも楽しみしていたようですよ」と、シエラお姉ちゃんが言っています。
しかし、トリスお姉ちゃんの戻ってくる足取りは重く、ヨタヨタ…と顔を俯き戻ってきました。
「トリス…、まさか…?」
「うわぁ~ん!! ヒグッ…、ウグ…、浴槽…ない…宿でした…エグッ」
「トリスお姉ちゃん、なにも泣かなくても…、一緒には眠れるんだし…」
「でも…、でもぉ~!!」
『はいはい、トリスも宿の出入口で泣かないの』
『たぶん、また大浴場はあるんでしょ? それでいいじゃない』
「そうだよ、また屋敷の岩風呂に一緒に入ってあげるから…」
「シャ、シャルル様、約束ですよ!」
「う、うん…」
「あれ? なんだか急にトリスがかわいそうに思えなくなって来たわ、シエラ…」
「私もです。メンテール。なんだか上手く約束を取り付けていましたね」
若干先輩たちの反感を買っているのにも気づかずトリスお姉ちゃんはニコニコ顔に戻るのでした。
ここで昨日採掘した属性石の発表会を行うからなのだそうです。
鉱山に近づくと、まだ朝も早いのですがたくさんの人が集まっているのが見えます。
エリシモアお姉さんが昨日のうちに都市の至る所とすべての宿に告知をしていたそうです。
受付所の横に設けてあった壇上に、お母さんとエリシモアお姉さん、僕とメンテールお姉ちゃんとトリスお姉ちゃんが上がります。
「みなさん、朝の早い時間にお集まりいただきありがとうございます。私はこのナモアイの都市長をしていますエリシモアです」
パチパチ、パチパチ~~~~!!
「昨日、この坑道に来られた方はご存知かもしれませんが、稀に見る大きな属性石が採掘されました。それがこちらです!」
エリシモアお姉さんが手をかざした所のかぶせてあった布が取り払われ、僕たちが昨日見つけた属性石が並んで見えます。
白い石はなんとなく手元に置いておきたかったので、並んでいるのは4つの属性石のみです。
『おぉ~~~~!!』
『すごい綺麗~』
『なんて大きさだ~』
『いったいいくらの価値になるんだ~』
色んなところから色んな感想が聞こえてきます。
歓声が収まりかけたところで、再びエリシモアお姉さんが話し始めます。
「この属性石の大きさ、透明度を考えるとまさに国宝です!!」
『おぉ~~~~!!』
パチパチ、パチパチ~~~~!!
「国宝になってしまえば、もう二度と見ることは出来ないかもしれませんよ。今、まさに皆さんは貴重な瞬間に立ち会っておられるのです!!」
『なんて素敵な日なんだ~』
『ナモアイにいて良かったよ~』
「……」
エリシモアお姉さんのあおり方がすごいです。
お母さんを見ると若干引いているようにも見えます。
まさか、これからみんなの前で紹介されるのでは…と思うと僕も少し緊張してくるのでした。
「そして皆さん、さらに幸運なことに、こちらにおられる方はこのエルスタイン領、領主ルーシャ様なのです」
「滅多にお目にかかれる方ではありませんよ~」
『なんてお綺麗なんでしょう!』
『こんなところでルーシャ様に会えるだなんて…』
女性からの羨望のまなざしがお母さんに向けられています。
「そして、こちらの男の子こそがルーシャ様のご子息で、今回これらの属性石を採掘されたシャルル様となります!!」
『キャー、なんてかわいいの~!!』
『すごい、男の子だ!』
『シャルル様~っ!!』
「……」
もう、属性石より僕の方が目立っているような気がします。
「お母さん、やりすぎなんじゃ…」
『そ、そうね。でも、もう止められないわね。これでシャルルもちょっとした有名人よ』
メンテールお姉ちゃんもトリスお姉ちゃんも黙って僕の傍に立っていましたが、その顔はとても嬉しそうな顔をしているようでした。
XX XY
「ふぅ~、朝からなんだか気疲れしたよ…」
魔動力車に揺られながらボーっと外を眺めながらつぶやきます。
「でも、シャルル様がすごいことをしたのを多くの人に知ってもらえて私は嬉しいです」と、属性石を手にとって眺めながらシエラお姉ちゃんが答えてくれます。
『おそらく、これから向かうバルゼ領にもこの話題は伝わるでしょうから、シクスエス様もきっとご覧になりたいとおっしゃられるでしょう』
『悪いですがシエラとメンテール、二人で預かっておいてもらえますか』
「はい、盗まれないように気を付けます」
「シャルル様の石は必ず守ります」
「え~っ!? 盗まれる可能性があるの?」
『ええ、町や都市は治安も良く、起こっても喧嘩程度ですが、町などから外れると少なからず悪い事をする者もいるのです』
休憩をはさみ、夕方になるにはまだ早い時間にバルゼ領との領界に一番近い町に到着しました。
町ですが領界に近いということもあって大きく、人もたくさんいます。
今晩の宿も町としては大きくて立派な建物でした。
トリスお姉ちゃんは魔動力車をキルシッカお姉ちゃんに任せ、急いでチェックインに行きました。
「あ~、今日はトリスお姉ちゃんと一緒の部屋かぁ」
「トリスも楽しみしていたようですよ」と、シエラお姉ちゃんが言っています。
しかし、トリスお姉ちゃんの戻ってくる足取りは重く、ヨタヨタ…と顔を俯き戻ってきました。
「トリス…、まさか…?」
「うわぁ~ん!! ヒグッ…、ウグ…、浴槽…ない…宿でした…エグッ」
「トリスお姉ちゃん、なにも泣かなくても…、一緒には眠れるんだし…」
「でも…、でもぉ~!!」
『はいはい、トリスも宿の出入口で泣かないの』
『たぶん、また大浴場はあるんでしょ? それでいいじゃない』
「そうだよ、また屋敷の岩風呂に一緒に入ってあげるから…」
「シャ、シャルル様、約束ですよ!」
「う、うん…」
「あれ? なんだか急にトリスがかわいそうに思えなくなって来たわ、シエラ…」
「私もです。メンテール。なんだか上手く約束を取り付けていましたね」
若干先輩たちの反感を買っているのにも気づかずトリスお姉ちゃんはニコニコ顔に戻るのでした。
20
お気に入りに追加
187
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる