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第72話 キルシッカとエリオン
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「おはよう、キルシッカ」
そう声を掛けてきたのは同僚のエリオンでした。
「おはよう、エリオン」
管理室の予定表を見ると、今日は私達二人が一緒に屋敷内の業務にあたることになっているようです。
「それにしても“シャルル様の岩風呂”、何回入っても素敵よねぇ」
「夕日が沈む頃の利用は競争率が高いけれどね」
ルーシャ様とシャルル様の意向で私達メイドも気軽に利用できるようになっており、私もあれから何度も利用しています。
ただ、シャルル様と一緒にお風呂に入ったのはエリオンにも秘密にしています。
ヌエット先輩にも自慢はダメと言われていますから…。
雨季になる前に橋の屋根も完成することができ、シャルル様に報告しに行った時にはとても喜んでもらえました。
その時にシャルル様からご褒美をいただける事になり、一緒にお風呂に入ってほしいとお願いしたのも皆には内緒です。
完成して一緒にお風呂に入った後に、ヌエット先輩がシャルル様に一緒に入って下さいとお願いされているのを聞いてから、私もあの時勇気を出してお願いしてみれば良かったと後悔していたのです。
シャルル様は嫌な顔一つせず「そんなことで良いなら…」と、ニコッと了承してくださいました。
「でも、キルシッカもすごい橋を造ったんだね」
「あれって、シャルル様が絵を描かれた通りに作っただけなんだよ」
「あの歩く部分が湾曲になっているのも、人が乗っても大丈夫なように考えられたのよ。本当にすごいんだから…」
「へぇ~、そうなの…」
「あれからキルシッカは屋敷でシャルル様に声を掛けてもらえるようになったんでしょ?」
「羨ましいなぁ~。私はまだ一度も挨拶以上話したことがないんだよぉ」
「私ね、薄褐色の肌が健康的で綺麗だよって言ってもらったんだよ」
「なによ~突然、自慢?」
「ううん、違うの。本当はねシャルル様も一般の男性と同じように薄褐色の肌の女性なんか嫌がられると思ったんだけど、綺麗だから話しかけにくかったんじゃないかなぁって言われたのよ」
でも…、実際には一般の男性からは薄褐色の肌の女性は良いように見られていません。
あんな風に言ってくださるのはシャルル様だけです…。
「なによ~、やっぱり自慢だよね~?」
「ごめんごめん。要するに私達もシャルル様のことを話しかけにくいと思い込んでいるだけで、話しかけてみると本当に分け隔てなく接してくださると思うの…」
「なるどね~、キルシッカの言いたいことは何となく分かったわ…」
「でも私達はまだ屋敷に入ってから数年だからシャルル様にお会いする機会は少ないけれど、私もお話できたら名前ぐらいは覚えてもらえるようにしたいわね」
「キルシッカは良いわねぇ。名前も憶えてもらって…」
「そうね、生まれて初めて肌が薄褐色で良かったと思えたわ」
この屋敷には薄褐色の肌の女性は私しかいませんからね。
「私も何かお役に立てればいいんだけど、同じ火属性ではメルモア先輩がいるからなぁ」
「私がなに…?」
「ひぃっ…、メ、メルモア先輩…」
「「メルモア先輩、おはようございます!」」
「二人ともおはよう。それで私がなに、エリオン?」
「い、いえ…、キルシッカがシャルル様のお役に立てたので、私もどうやったらシャルル様のお役になれるかな…と、話していただけです」
「確かにキルシッカは頑張ったわね…」
「エリオン、あなたもシャルル様のお役に立ちたいなら、魔法の練習は毎日コツコツとやらなきゃだめよ」
「機会があったらヌエットにも聞いてみると良いけれど、カプランド領都のサリー様のお嬢様が火属性の方で、シャルル様がそのお嬢様に魔法は毎日コツコツ練習しないとダメと言われたそうよ」
「私はどうしてそういう話になったかは聞いていないけれど、頑張らないとシャルル様に嫌われるわよ」
「はっ、はい!」
そう言うとメルモア先輩は管理室を出て行かれました。
「ふぅ~っ、びっくりした…」
「でもエリオン、本当にそうよ」
「シャルル様は頑張っていると本当に優しく褒めて下さるもの…」
私もいつかシャルル様のお傍に気軽に行けるように頑張ろうと思うのでした。
そう声を掛けてきたのは同僚のエリオンでした。
「おはよう、エリオン」
管理室の予定表を見ると、今日は私達二人が一緒に屋敷内の業務にあたることになっているようです。
「それにしても“シャルル様の岩風呂”、何回入っても素敵よねぇ」
「夕日が沈む頃の利用は競争率が高いけれどね」
ルーシャ様とシャルル様の意向で私達メイドも気軽に利用できるようになっており、私もあれから何度も利用しています。
ただ、シャルル様と一緒にお風呂に入ったのはエリオンにも秘密にしています。
ヌエット先輩にも自慢はダメと言われていますから…。
雨季になる前に橋の屋根も完成することができ、シャルル様に報告しに行った時にはとても喜んでもらえました。
その時にシャルル様からご褒美をいただける事になり、一緒にお風呂に入ってほしいとお願いしたのも皆には内緒です。
完成して一緒にお風呂に入った後に、ヌエット先輩がシャルル様に一緒に入って下さいとお願いされているのを聞いてから、私もあの時勇気を出してお願いしてみれば良かったと後悔していたのです。
シャルル様は嫌な顔一つせず「そんなことで良いなら…」と、ニコッと了承してくださいました。
「でも、キルシッカもすごい橋を造ったんだね」
「あれって、シャルル様が絵を描かれた通りに作っただけなんだよ」
「あの歩く部分が湾曲になっているのも、人が乗っても大丈夫なように考えられたのよ。本当にすごいんだから…」
「へぇ~、そうなの…」
「あれからキルシッカは屋敷でシャルル様に声を掛けてもらえるようになったんでしょ?」
「羨ましいなぁ~。私はまだ一度も挨拶以上話したことがないんだよぉ」
「私ね、薄褐色の肌が健康的で綺麗だよって言ってもらったんだよ」
「なによ~突然、自慢?」
「ううん、違うの。本当はねシャルル様も一般の男性と同じように薄褐色の肌の女性なんか嫌がられると思ったんだけど、綺麗だから話しかけにくかったんじゃないかなぁって言われたのよ」
でも…、実際には一般の男性からは薄褐色の肌の女性は良いように見られていません。
あんな風に言ってくださるのはシャルル様だけです…。
「なによ~、やっぱり自慢だよね~?」
「ごめんごめん。要するに私達もシャルル様のことを話しかけにくいと思い込んでいるだけで、話しかけてみると本当に分け隔てなく接してくださると思うの…」
「なるどね~、キルシッカの言いたいことは何となく分かったわ…」
「でも私達はまだ屋敷に入ってから数年だからシャルル様にお会いする機会は少ないけれど、私もお話できたら名前ぐらいは覚えてもらえるようにしたいわね」
「キルシッカは良いわねぇ。名前も憶えてもらって…」
「そうね、生まれて初めて肌が薄褐色で良かったと思えたわ」
この屋敷には薄褐色の肌の女性は私しかいませんからね。
「私も何かお役に立てればいいんだけど、同じ火属性ではメルモア先輩がいるからなぁ」
「私がなに…?」
「ひぃっ…、メ、メルモア先輩…」
「「メルモア先輩、おはようございます!」」
「二人ともおはよう。それで私がなに、エリオン?」
「い、いえ…、キルシッカがシャルル様のお役に立てたので、私もどうやったらシャルル様のお役になれるかな…と、話していただけです」
「確かにキルシッカは頑張ったわね…」
「エリオン、あなたもシャルル様のお役に立ちたいなら、魔法の練習は毎日コツコツとやらなきゃだめよ」
「機会があったらヌエットにも聞いてみると良いけれど、カプランド領都のサリー様のお嬢様が火属性の方で、シャルル様がそのお嬢様に魔法は毎日コツコツ練習しないとダメと言われたそうよ」
「私はどうしてそういう話になったかは聞いていないけれど、頑張らないとシャルル様に嫌われるわよ」
「はっ、はい!」
そう言うとメルモア先輩は管理室を出て行かれました。
「ふぅ~っ、びっくりした…」
「でもエリオン、本当にそうよ」
「シャルル様は頑張っていると本当に優しく褒めて下さるもの…」
私もいつかシャルル様のお傍に気軽に行けるように頑張ろうと思うのでした。
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