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第69話 橋の組み立て
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数日後、2階のバルコニーの手すりの橋の架かる部分が無くなり、向こう側の小山から土台が少しこちらに伸びているのが分かりました。
僕の考えに合わせて土台を小山から突き出してくるのが思ったよりも難しかったらしく、ヌエットお姉ちゃんに手伝ってもらいながらメンテールお姉ちゃんが造成したらしいです。
ヌエットお姉ちゃんにもお礼を言っておかないとね。
トリスお姉ちゃんが言うには、屋敷の中ではヌエットお姉ちゃんの扇動で『シャルル様はみんなの為に、みんなはシャルル様の為に』という合言葉で盛り上がっているそうです。
僕にはなぜだか分かりませんが、時折バルコニーに来ては作業を見て、応援していくメイドのお姉ちゃん達がいるのもそのせいかもしれません。
お父さんには驚いてもらいたかったので、話が漏れないようにみんなに言ってあります。
お母さんが見に来た時にはまさかバルコニーでこんなことをしているとは思っていなかったらしく驚いていましたが、橋が架かることを説明すると、なんだかとても期待しているような感じでした。
更に数日後、橋の架かる予定近くの地面では、キルシッカお姉ちゃんが一生懸命に木材を製材していました。
「キルシッカお姉ちゃん、お疲れ様…」
「あ、シャルル様…」
「どう、なんとかなりそう?」
「はい、あのメンテール先輩が造成された曲面に合わせて製材するのに少し日数が掛かりましたが、なんとか出来そうです」
「ごめんね。複雑にしちゃって」
「でも、まっすぐの橋にしちゃうと、なんとなく橋が重さに耐えられないような気がしてね。ちょっと円くしてもらったんだ」
「前にカプランド領で見た橋は石造りだったけれど、その橋も若干湾曲していたんだよね」
「シャルル様、すごいです! 確かにまっすぐにしてしまうと材木が下に反ってしまうかもしれませんからね」
キルシッカお姉ちゃんの意見に僕も納得です。
「キルシッカお姉ちゃんの肌は薄褐色なんだね…」
話が途切れた時に、なんとなく聞いてみました。
「えっ!?」
「すいません、やっぱりシャルル様の目障りになっていましたか…」
「ご、ごめんね。そんなつもりじゃないよ。初めて肌の色が薄褐色の人を見たから興味があって…」
今まで元気いっぱいだったキルシッカお姉ちゃんが悲しそうに顔を伏せてしまいました。
そういえば、前に湖でも薄褐色の肌の人をちらっと見かけたかな…。
「嫌いじゃなくて、興味ですか…?」
「嫌いな事あるわけないじゃない。とっても健康そうで綺麗だよ…」
「あ、ありがとうございますっ」
「緑色の髪もとっても似合っていて綺麗だと思っていたんだよ」
今度は顔をパァッとほころばせました。
感情が顔にとても出やすいみたいです。
「そ、そんなこと…言われたの…はじ…めて…」とその場でわ~んっと泣き出してしまいました。
「キ、キルシッカお姉ちゃん! な、なにも泣かなくても…」
僕も泣かれるとは思っていなかったので驚いてしまいます。
グスッ…。
「うぅ…、すいません」
「肌が白くないと嫌がられることもありますので…」
「嫌がられているんじゃないと思うよ。きっと珍しいんだよ」
「それにキルシッカお姉ちゃんは綺麗だから話しかけにくかったんじゃないかな…」
「そんなこと言ってくださるのはシャルル様だけです…」
「キルシッカお姉ちゃんのような薄褐色の肌の人はエルスタイン領都では少ないよね」
「ええ、バルゼ領の近くではもう少し見かけることはあるかもしれませんね…」
「そ、そうなんだ」
今年はバルゼ領都で領主会議らしいから、キルシッカお姉ちゃんのように肌が薄褐色の人にいっぱい会えるんだろうなぁと思うのでした。
最後に、明日には橋の渡る部分の製材が完了し、明後日には組み立てが始められると教えてもらいました。
「じゃあ、組み立てていこう」
僕はバルコニーの手すりから乗り出し、下にいるメンテールお姉ちゃんに声を掛けました。
メンテールお姉ちゃんは黙ってうなずき、魔法で材木を一本ずつ持ち上げてくれます。
その持ち上げられた材木をキルシッカお姉ちゃんがバルコニーから風属性の魔法でフワリと受け取り、順に組み立てていくのです。
「本当に魔法はすごいなぁ。こんなに簡単にあの重い材木が持ち上がって組み立てられるなんて…」
驚きながらもやっぱり少し羨ましいと思ってしまいます。
ゆるい湾曲状の橋桁が2本架かると床板が手際よく張られていきます。
手摺部分と屋根はまだこれからですが、これで一応屋敷の2階バルコニーから向かい側の小山の平坦部分に渡ることは出来るようになりました。
これからようやく浴場造りの作業も始められそうです。
僕の考えに合わせて土台を小山から突き出してくるのが思ったよりも難しかったらしく、ヌエットお姉ちゃんに手伝ってもらいながらメンテールお姉ちゃんが造成したらしいです。
ヌエットお姉ちゃんにもお礼を言っておかないとね。
トリスお姉ちゃんが言うには、屋敷の中ではヌエットお姉ちゃんの扇動で『シャルル様はみんなの為に、みんなはシャルル様の為に』という合言葉で盛り上がっているそうです。
僕にはなぜだか分かりませんが、時折バルコニーに来ては作業を見て、応援していくメイドのお姉ちゃん達がいるのもそのせいかもしれません。
お父さんには驚いてもらいたかったので、話が漏れないようにみんなに言ってあります。
お母さんが見に来た時にはまさかバルコニーでこんなことをしているとは思っていなかったらしく驚いていましたが、橋が架かることを説明すると、なんだかとても期待しているような感じでした。
更に数日後、橋の架かる予定近くの地面では、キルシッカお姉ちゃんが一生懸命に木材を製材していました。
「キルシッカお姉ちゃん、お疲れ様…」
「あ、シャルル様…」
「どう、なんとかなりそう?」
「はい、あのメンテール先輩が造成された曲面に合わせて製材するのに少し日数が掛かりましたが、なんとか出来そうです」
「ごめんね。複雑にしちゃって」
「でも、まっすぐの橋にしちゃうと、なんとなく橋が重さに耐えられないような気がしてね。ちょっと円くしてもらったんだ」
「前にカプランド領で見た橋は石造りだったけれど、その橋も若干湾曲していたんだよね」
「シャルル様、すごいです! 確かにまっすぐにしてしまうと材木が下に反ってしまうかもしれませんからね」
キルシッカお姉ちゃんの意見に僕も納得です。
「キルシッカお姉ちゃんの肌は薄褐色なんだね…」
話が途切れた時に、なんとなく聞いてみました。
「えっ!?」
「すいません、やっぱりシャルル様の目障りになっていましたか…」
「ご、ごめんね。そんなつもりじゃないよ。初めて肌の色が薄褐色の人を見たから興味があって…」
今まで元気いっぱいだったキルシッカお姉ちゃんが悲しそうに顔を伏せてしまいました。
そういえば、前に湖でも薄褐色の肌の人をちらっと見かけたかな…。
「嫌いじゃなくて、興味ですか…?」
「嫌いな事あるわけないじゃない。とっても健康そうで綺麗だよ…」
「あ、ありがとうございますっ」
「緑色の髪もとっても似合っていて綺麗だと思っていたんだよ」
今度は顔をパァッとほころばせました。
感情が顔にとても出やすいみたいです。
「そ、そんなこと…言われたの…はじ…めて…」とその場でわ~んっと泣き出してしまいました。
「キ、キルシッカお姉ちゃん! な、なにも泣かなくても…」
僕も泣かれるとは思っていなかったので驚いてしまいます。
グスッ…。
「うぅ…、すいません」
「肌が白くないと嫌がられることもありますので…」
「嫌がられているんじゃないと思うよ。きっと珍しいんだよ」
「それにキルシッカお姉ちゃんは綺麗だから話しかけにくかったんじゃないかな…」
「そんなこと言ってくださるのはシャルル様だけです…」
「キルシッカお姉ちゃんのような薄褐色の肌の人はエルスタイン領都では少ないよね」
「ええ、バルゼ領の近くではもう少し見かけることはあるかもしれませんね…」
「そ、そうなんだ」
今年はバルゼ領都で領主会議らしいから、キルシッカお姉ちゃんのように肌が薄褐色の人にいっぱい会えるんだろうなぁと思うのでした。
最後に、明日には橋の渡る部分の製材が完了し、明後日には組み立てが始められると教えてもらいました。
「じゃあ、組み立てていこう」
僕はバルコニーの手すりから乗り出し、下にいるメンテールお姉ちゃんに声を掛けました。
メンテールお姉ちゃんは黙ってうなずき、魔法で材木を一本ずつ持ち上げてくれます。
その持ち上げられた材木をキルシッカお姉ちゃんがバルコニーから風属性の魔法でフワリと受け取り、順に組み立てていくのです。
「本当に魔法はすごいなぁ。こんなに簡単にあの重い材木が持ち上がって組み立てられるなんて…」
驚きながらもやっぱり少し羨ましいと思ってしまいます。
ゆるい湾曲状の橋桁が2本架かると床板が手際よく張られていきます。
手摺部分と屋根はまだこれからですが、これで一応屋敷の2階バルコニーから向かい側の小山の平坦部分に渡ることは出来るようになりました。
これからようやく浴場造りの作業も始められそうです。
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