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第54話 領主会議ーカプランド領編13
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『では、領主会議に向かいましょうか…』
僕たちは準備を済ませ、サリー様のお屋敷へ向かいます。
今回はお母さんと僕、シエラお姉ちゃんとヌエットお姉ちゃんの4人で出席することになりました。
メルモアお姉ちゃんとトリスお姉ちゃんは“転移の祠”の確認と準備の予定です。
「ルーシャ様、みんな言い出せませんでしたが、今日は特に艶やかで若々しくてお綺麗ですよ」
『ありがとう、シエラ』
『久しぶりにシャルルと一緒に眠れたからかしら…。ねぇ、シャルル?』
「うん、僕もぐっすり眠れたよ」
『カプランド領都に着くまでは皆の為にちょっと寂しかったですからね…』
「ルーシャ様、ひどいです」
フフ…。
ちょっと嫌味に聞こえたでしょうか、シエラが非難の声をあげています。
『でも、あなた達は気付いていないかもしれませんが、この旅の間にずいぶん女性らしくなりましたよ』
メルモアはいつもシャルルに抱きついているくせに、なぜか一緒の部屋になることを望みませんでしたけれどね…。
「そうでしょうか」
『きっと、あなたのことを知っている他領のメイド達も驚くと思いますよ…』
屋敷に着くと歓談室に通されました。
部屋に入ると皆がこちらを向いてきます。
どうやら僕たちが一番最後だったようです。
「「ル、ルーシャ様!?」」
シクスエス様とエバーミット様がお母さんを見て駆け寄ってこられました。
『お久しぶりです皆様。どうかされましたか…?』
「どうって…、なぜそんなに若々しいのですか!?」
「毎年、毎年…、もう言葉になりませんよ」
シクスエス様とエバーミット様がそんなことをおっしゃられています。
『特に何も…』
昨晩シャルルと一緒にお風呂に入って、眠ったからでしょうね…。
私は顔がニヤつきそうなのをぐっと我慢します。
「……、シャルル君もよく来てくれましたね」
「ねぇ、シャルル君…、お母さんて何か綺麗になる為のことしてるのかなぁ~?」
『……』
シクスエス様がシャルルから聞き出そうとしています。
「ううん、お母さんはお仕事ばかりしているよ。いつも同じだよ…」
(シャルル、良い答えです!)
「そうですか…、それにしても不可解です…。領主会議の前に気分が落ち込んでしまいましたよ…」
『……』
横で話を聞いておられたエバーミット様ももう一度私を見ると納得いかないような顔をされていました。
私はネル。
シクスエス様のメイドをしていて、領主会議にはいつも同行しています。
領主会議でもっとも興味深いのはエルスタイン領主のルーシャ様についてでしょう。
男の子を出産されて以降、年々若々しくなられていくのです。
はっきり言って領主会議の内容より重要な事柄です。
おそらくエルスタイン領以外のメイドの皆さんもそう思っているに違いありません。
領主様のお供をするメイドはある程度決まっていますので、他領のメイドの方とも自然と顔見知りになり、ルーシャ様に仕えるシエラさんとは領主会議で会うと話すこともあります。
その彼女も例年通り領主会議のお供で来ましたが、歓談室に入ってきたところを見て驚きました。
彼女もこの一年で明らかに若々しく、女性らしくなっていたのです。
もう一人、いつもは見ないメイドの方もいて、年下だと思いますがとっても艶やかで女性らしいのです。
他領のメイドの方達も声には出しませんが顔を引きつらせながら二人を見ています。
シクスエス様は、ルーシャ様が若々しいのはやはりシャルル様を出産されたからと推測されていましたが、それなら顔見知りのシエラがあんなに女性らしく綺麗になっている理由が分かりません。
やはり何か美容に良い食べ物か、新たな魔法ではないでしょうか。
今も、シクスエス様がシャルル様に確認されていましたが、ルーシャ様は仕事ばかりで特に何もされていないようです。
シエラさんと話す機会があれば聞いて見たいところですね…。
「皆さん、ようこそおいでくださいました」
『わざわざサリー様が歓談室まで呼びに来てくださったのですか?』
「ル…ルーシャ様、また一段と若々しくなられて…」
サリー様が私の頭からつま先までをジィ~っと何度も眺めておられます。
『サリー様…?』
「ああ…、え~と、ルーシャ様。今回は私が無理を言ってシャルル君を連れてきていただけましたからね」
「シャルル君、カプランド領都までは遠かったでしょう?」
「そんなに遠く感じなかったよ。初めてエルスタイン領から出たけど、お姉ちゃん達と楽しく旅が出来て良かったよ」
そう話しながらシエラお姉ちゃんとヌエットお姉ちゃんに目を向けます。
「そう、それは良かったわ。もしかしたらルーシャ様が連れては来てくださらないと思ってもいましたので…」
『最初はどうしようかと思いましたが、シャルルにとってもいい機会になりましたよ』
『でも、帰りは“転移の祠”を使用させていただこうと思っています。サリー様よろしくお願いいたします』
「分かりましたわ。“転移の祠”を警備している者達に伝えておきましょう」
『ありがとうございます』
「では、領主会議を始めましょうか。でも、その前に…」
「ジェシカ入って来なさい」
「はい、お母様…」
「……」
声がする方を見ると、僕より小さい女の子が入ってきました。
「シャルル君、この子はジェシカ。私の娘なのよ」
「はじめまして、ジェシカ…、僕はシャルル・エルスタインです。よろしくね」
「は、はじめまして、ジェシカ・カプランドです。お会いできて嬉しいです」
彼女はなんだかすごく恥ずかしそうにしています。
『シャルル、ジェシカさんはシャルルより一つ年上なのよ』
「そうなんだ、てっきり小さいから年下だと思っちゃったよ」
「フフ…、シャルル君が大きいのよ」
「シャルル君、せっかく来てもらったのだから私達が領主会議をしている間、ジェシカと遊んでいてくれないかしら…」
「うん、いいよ」
お母さんの顔を見ると黙ってうなずいています。
「じゃあ、ジェシカ、シャルル君を晩餐会までお願いね」
サリー様はそう言うと、お母さんをはじめ、他の領主様と一緒に会議室に向かわれました。
ヌエットお姉ちゃんはお母さんの指示で僕の傍にいてもらうことになりました。
「じゃあ、シャルル様、リビングに行きましょうか?」
「シャルルでいいですよ。僕もジェシカって呼びますから…」
「そ、そう? じゃあシャルル…」
「うん、ジェシカ」
僕たちは準備を済ませ、サリー様のお屋敷へ向かいます。
今回はお母さんと僕、シエラお姉ちゃんとヌエットお姉ちゃんの4人で出席することになりました。
メルモアお姉ちゃんとトリスお姉ちゃんは“転移の祠”の確認と準備の予定です。
「ルーシャ様、みんな言い出せませんでしたが、今日は特に艶やかで若々しくてお綺麗ですよ」
『ありがとう、シエラ』
『久しぶりにシャルルと一緒に眠れたからかしら…。ねぇ、シャルル?』
「うん、僕もぐっすり眠れたよ」
『カプランド領都に着くまでは皆の為にちょっと寂しかったですからね…』
「ルーシャ様、ひどいです」
フフ…。
ちょっと嫌味に聞こえたでしょうか、シエラが非難の声をあげています。
『でも、あなた達は気付いていないかもしれませんが、この旅の間にずいぶん女性らしくなりましたよ』
メルモアはいつもシャルルに抱きついているくせに、なぜか一緒の部屋になることを望みませんでしたけれどね…。
「そうでしょうか」
『きっと、あなたのことを知っている他領のメイド達も驚くと思いますよ…』
屋敷に着くと歓談室に通されました。
部屋に入ると皆がこちらを向いてきます。
どうやら僕たちが一番最後だったようです。
「「ル、ルーシャ様!?」」
シクスエス様とエバーミット様がお母さんを見て駆け寄ってこられました。
『お久しぶりです皆様。どうかされましたか…?』
「どうって…、なぜそんなに若々しいのですか!?」
「毎年、毎年…、もう言葉になりませんよ」
シクスエス様とエバーミット様がそんなことをおっしゃられています。
『特に何も…』
昨晩シャルルと一緒にお風呂に入って、眠ったからでしょうね…。
私は顔がニヤつきそうなのをぐっと我慢します。
「……、シャルル君もよく来てくれましたね」
「ねぇ、シャルル君…、お母さんて何か綺麗になる為のことしてるのかなぁ~?」
『……』
シクスエス様がシャルルから聞き出そうとしています。
「ううん、お母さんはお仕事ばかりしているよ。いつも同じだよ…」
(シャルル、良い答えです!)
「そうですか…、それにしても不可解です…。領主会議の前に気分が落ち込んでしまいましたよ…」
『……』
横で話を聞いておられたエバーミット様ももう一度私を見ると納得いかないような顔をされていました。
私はネル。
シクスエス様のメイドをしていて、領主会議にはいつも同行しています。
領主会議でもっとも興味深いのはエルスタイン領主のルーシャ様についてでしょう。
男の子を出産されて以降、年々若々しくなられていくのです。
はっきり言って領主会議の内容より重要な事柄です。
おそらくエルスタイン領以外のメイドの皆さんもそう思っているに違いありません。
領主様のお供をするメイドはある程度決まっていますので、他領のメイドの方とも自然と顔見知りになり、ルーシャ様に仕えるシエラさんとは領主会議で会うと話すこともあります。
その彼女も例年通り領主会議のお供で来ましたが、歓談室に入ってきたところを見て驚きました。
彼女もこの一年で明らかに若々しく、女性らしくなっていたのです。
もう一人、いつもは見ないメイドの方もいて、年下だと思いますがとっても艶やかで女性らしいのです。
他領のメイドの方達も声には出しませんが顔を引きつらせながら二人を見ています。
シクスエス様は、ルーシャ様が若々しいのはやはりシャルル様を出産されたからと推測されていましたが、それなら顔見知りのシエラがあんなに女性らしく綺麗になっている理由が分かりません。
やはり何か美容に良い食べ物か、新たな魔法ではないでしょうか。
今も、シクスエス様がシャルル様に確認されていましたが、ルーシャ様は仕事ばかりで特に何もされていないようです。
シエラさんと話す機会があれば聞いて見たいところですね…。
「皆さん、ようこそおいでくださいました」
『わざわざサリー様が歓談室まで呼びに来てくださったのですか?』
「ル…ルーシャ様、また一段と若々しくなられて…」
サリー様が私の頭からつま先までをジィ~っと何度も眺めておられます。
『サリー様…?』
「ああ…、え~と、ルーシャ様。今回は私が無理を言ってシャルル君を連れてきていただけましたからね」
「シャルル君、カプランド領都までは遠かったでしょう?」
「そんなに遠く感じなかったよ。初めてエルスタイン領から出たけど、お姉ちゃん達と楽しく旅が出来て良かったよ」
そう話しながらシエラお姉ちゃんとヌエットお姉ちゃんに目を向けます。
「そう、それは良かったわ。もしかしたらルーシャ様が連れては来てくださらないと思ってもいましたので…」
『最初はどうしようかと思いましたが、シャルルにとってもいい機会になりましたよ』
『でも、帰りは“転移の祠”を使用させていただこうと思っています。サリー様よろしくお願いいたします』
「分かりましたわ。“転移の祠”を警備している者達に伝えておきましょう」
『ありがとうございます』
「では、領主会議を始めましょうか。でも、その前に…」
「ジェシカ入って来なさい」
「はい、お母様…」
「……」
声がする方を見ると、僕より小さい女の子が入ってきました。
「シャルル君、この子はジェシカ。私の娘なのよ」
「はじめまして、ジェシカ…、僕はシャルル・エルスタインです。よろしくね」
「は、はじめまして、ジェシカ・カプランドです。お会いできて嬉しいです」
彼女はなんだかすごく恥ずかしそうにしています。
『シャルル、ジェシカさんはシャルルより一つ年上なのよ』
「そうなんだ、てっきり小さいから年下だと思っちゃったよ」
「フフ…、シャルル君が大きいのよ」
「シャルル君、せっかく来てもらったのだから私達が領主会議をしている間、ジェシカと遊んでいてくれないかしら…」
「うん、いいよ」
お母さんの顔を見ると黙ってうなずいています。
「じゃあ、ジェシカ、シャルル君を晩餐会までお願いね」
サリー様はそう言うと、お母さんをはじめ、他の領主様と一緒に会議室に向かわれました。
ヌエットお姉ちゃんはお母さんの指示で僕の傍にいてもらうことになりました。
「じゃあ、シャルル様、リビングに行きましょうか?」
「シャルルでいいですよ。僕もジェシカって呼びますから…」
「そ、そう? じゃあシャルル…」
「うん、ジェシカ」
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