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第36話 領主会議ーカプランド領編3
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「シャルル様、このスローキには卵を使ったお菓子が美味しいと聞きました。食べに行きませんか?」
ヌエットお姉ちゃんがそう言いながら手を繋いできました。
昨晩、ヌエットお姉ちゃんと一緒に寝てから、なんだか積極的です。
「あ~、ヌエットずる~い」
トリスお姉ちゃんも少し引っ張る様に反対の手を繋いできます。
あ、歩き難い…。
「トリス先輩、シャルル様が歩き難そうにされているじゃないですか」
「ヌエットも急にシャルル様、シャルル様~ってどうしたのよ。私はシャルル様の専属なのよ」
「専属かどうかは関係ないです。シャルル様においしいお菓子を食べてもらいたいと思っているだけですよ」
「トリス先輩はどんな食べ物か、どこで売っているか知らないでしょう」
「うぐっ!」
不覚、確かに知らないわ。
「まぁまぁ、トリスお姉ちゃん、今回はヌエットお姉ちゃんに連れて行ってもらおうよ」
「シャルル様~」
「さっ、さ、シャルル様行きましょう!」
トリスお姉ちゃんは少し涙目でがっくりと肩を落とし、反対にヌエットお姉ちゃんはニコニコと笑っています。
都市長の執務館から森林街の中央付近まで歩いてくると、店頭に数人が並んでいるお店が見えました。
「ヌエットお姉ちゃん、もしかしてあのお店?」
「え~と、そぅ、そうです。あそこですね」
「人がいっぱい並んでいるねぇ」
本当に美味しいお菓子みたいです。
「大丈夫ですよ。店頭で並んでいる人達はスローキの方達かお土産で買っていかれる方です。せっかくですし店内でいただきましょう」
「そうだね。ゆっくり食べたいものね」
「さぁ、トリスお姉ちゃんも一緒に…」
空気のようについてきたトリスお姉ちゃんへのフォローも忘れません。
ふぅ~、なんだか大変だ。
「「「いらっしゃいませ~」」」
ヌエットお姉ちゃんがお店の扉を開けると、お店の中からいっせいに挨拶の声が聞こえました。
一歩入ると甘くて美味しそうな匂いが漂ってきます。
「美味しそうな匂いですねぇ~、シャルル様」
トリスお姉ちゃんもさっきまでの落ち込みはどこにいったのかお菓子に興味津々のようです。
ヌエットお姉ちゃんの言うとおりお店の中はそんなに混んでなく、僕たちはお店の一番奥の4人席に案内されました。
ちゃっかり隣の席にヌエットお姉ちゃんが座るので、トリスお姉ちゃんはまたもやご機嫌斜めです。
「シャルル様、このお店では新鮮な卵を使った“プーリン”というものが有名なんだそうですよ」
「プーリン…?」
あれ? またどこかで聞いたことがあるような…。
「とりあえず3つ注文しますね」とヌエットお姉ちゃんがお店の人に注文を伝えていた。
しばらくして目の前に置かれたのは、卵の黄身を薄めたような色のプルプル震えるくらい柔らかそうな食べ物でした。
まわりには白いクリームと赤い果実が添えられています。
「シャルル様、あ~ん!」
「えっ!?」
本当になぜか見たことあるような食べ物だなぁと思っていると、横からヌエットお姉ちゃんがそう言いながらスプーンですくった“プーリン”を僕の口の方へ持ってきています。
「ヌエット…」
トリスお姉ちゃんも“なにそれ信じられな~い”というような顔で唖然としています。
僕も驚きましたが、口の前まで持ってこられて「あ~ん」と勧められれば反射的に口を開けてしまいます。
パクリ…。
「美味しいですか、シャルル様?」
「う、うん、とってもおいしいよ…」
この味、どこかで…。
「シャルル様、私にも“あ~ん”してくださいよ~」
向かいに座っているトリスお姉ちゃんがそんなことを言ってきました。
「トリス先輩、シャルル様に何をさせるのですか…」
今度はヌエットお姉ちゃんがワナワナと身体を震わせて、トリスお姉ちゃんを怒っています。
「シャルル様~、早くぅ~、あ~ん!」
「……」
そう言われると僕の身体も無意識に反応してしまって…。
「は…はい、あ~ん!」
パクッ…。
「……」
「ト…トリスお姉ちゃん…?」
「シャ…ルル様…、私も…お願いします!」
「うん…。あ~ん…」
パクリ…。
「……」
「えっ、ヌエットお姉ちゃんまで~!?」
二人が固まった様に動かなくなってしまいました。
二人ともすぐに元に戻ったのですが、その後は自分でゆっくり味わうことなく、3人で「あ~ん」をし合うことになるのでした。
ほとんど僕がしてあげたのですが、なんだかお腹がいっぱいになった気がします…。
ヌエットお姉ちゃんがそう言いながら手を繋いできました。
昨晩、ヌエットお姉ちゃんと一緒に寝てから、なんだか積極的です。
「あ~、ヌエットずる~い」
トリスお姉ちゃんも少し引っ張る様に反対の手を繋いできます。
あ、歩き難い…。
「トリス先輩、シャルル様が歩き難そうにされているじゃないですか」
「ヌエットも急にシャルル様、シャルル様~ってどうしたのよ。私はシャルル様の専属なのよ」
「専属かどうかは関係ないです。シャルル様においしいお菓子を食べてもらいたいと思っているだけですよ」
「トリス先輩はどんな食べ物か、どこで売っているか知らないでしょう」
「うぐっ!」
不覚、確かに知らないわ。
「まぁまぁ、トリスお姉ちゃん、今回はヌエットお姉ちゃんに連れて行ってもらおうよ」
「シャルル様~」
「さっ、さ、シャルル様行きましょう!」
トリスお姉ちゃんは少し涙目でがっくりと肩を落とし、反対にヌエットお姉ちゃんはニコニコと笑っています。
都市長の執務館から森林街の中央付近まで歩いてくると、店頭に数人が並んでいるお店が見えました。
「ヌエットお姉ちゃん、もしかしてあのお店?」
「え~と、そぅ、そうです。あそこですね」
「人がいっぱい並んでいるねぇ」
本当に美味しいお菓子みたいです。
「大丈夫ですよ。店頭で並んでいる人達はスローキの方達かお土産で買っていかれる方です。せっかくですし店内でいただきましょう」
「そうだね。ゆっくり食べたいものね」
「さぁ、トリスお姉ちゃんも一緒に…」
空気のようについてきたトリスお姉ちゃんへのフォローも忘れません。
ふぅ~、なんだか大変だ。
「「「いらっしゃいませ~」」」
ヌエットお姉ちゃんがお店の扉を開けると、お店の中からいっせいに挨拶の声が聞こえました。
一歩入ると甘くて美味しそうな匂いが漂ってきます。
「美味しそうな匂いですねぇ~、シャルル様」
トリスお姉ちゃんもさっきまでの落ち込みはどこにいったのかお菓子に興味津々のようです。
ヌエットお姉ちゃんの言うとおりお店の中はそんなに混んでなく、僕たちはお店の一番奥の4人席に案内されました。
ちゃっかり隣の席にヌエットお姉ちゃんが座るので、トリスお姉ちゃんはまたもやご機嫌斜めです。
「シャルル様、このお店では新鮮な卵を使った“プーリン”というものが有名なんだそうですよ」
「プーリン…?」
あれ? またどこかで聞いたことがあるような…。
「とりあえず3つ注文しますね」とヌエットお姉ちゃんがお店の人に注文を伝えていた。
しばらくして目の前に置かれたのは、卵の黄身を薄めたような色のプルプル震えるくらい柔らかそうな食べ物でした。
まわりには白いクリームと赤い果実が添えられています。
「シャルル様、あ~ん!」
「えっ!?」
本当になぜか見たことあるような食べ物だなぁと思っていると、横からヌエットお姉ちゃんがそう言いながらスプーンですくった“プーリン”を僕の口の方へ持ってきています。
「ヌエット…」
トリスお姉ちゃんも“なにそれ信じられな~い”というような顔で唖然としています。
僕も驚きましたが、口の前まで持ってこられて「あ~ん」と勧められれば反射的に口を開けてしまいます。
パクリ…。
「美味しいですか、シャルル様?」
「う、うん、とってもおいしいよ…」
この味、どこかで…。
「シャルル様、私にも“あ~ん”してくださいよ~」
向かいに座っているトリスお姉ちゃんがそんなことを言ってきました。
「トリス先輩、シャルル様に何をさせるのですか…」
今度はヌエットお姉ちゃんがワナワナと身体を震わせて、トリスお姉ちゃんを怒っています。
「シャルル様~、早くぅ~、あ~ん!」
「……」
そう言われると僕の身体も無意識に反応してしまって…。
「は…はい、あ~ん!」
パクッ…。
「……」
「ト…トリスお姉ちゃん…?」
「シャ…ルル様…、私も…お願いします!」
「うん…。あ~ん…」
パクリ…。
「……」
「えっ、ヌエットお姉ちゃんまで~!?」
二人が固まった様に動かなくなってしまいました。
二人ともすぐに元に戻ったのですが、その後は自分でゆっくり味わうことなく、3人で「あ~ん」をし合うことになるのでした。
ほとんど僕がしてあげたのですが、なんだかお腹がいっぱいになった気がします…。
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