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第5話 誕生の間
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……
ガラン・ゴロン・パシュ
ガラン・ゴロン・パシュ
……
この空間に聞こえるのはこれらの音だけ…。
『あ~暇で暇で死んでしまうぅ。我は死なないけど…』
こんなことなら昇級試験なんて受けるんじゃなかった。
どこかの世界の“死神に仕えるモノ”のままでいれば良かったな…。
地球と呼ばれる星を担当している従兄弟に給料が増えて女性型にモテると言われて調子に乗って昇進試験を受けたのが間違いだった。
実際のところ受験者は確実に合格って、試験なんてあってないようなものだろぉ~。
今度はいつ再会するか分からないけれど絶対文句の一つでも言ってやろう。
いやいや、女性型を紹介してもらうのが一番だな。
あいつモテるって自慢していたし。
そういえば、従兄弟が素敵な女性型を嫁さんにしたって前に誰かが言っていたなぁ。
だから「俺は“死神に仕えるモノ”のままで良い」って言っていたのか…。
あちらの給料は高くは無いけれどやる事は多いしな…。
そう考えるとこちらは確かに給料は多いが暇過ぎてホワイトくさい。
くそっ~、嵌められたのか~。
『はふぅ~っ』
久しぶりに嫌なこと思い出してしまった。
ため息しか出てこないな。
気が滅入るし本当に退屈だなここは…。
『なにか面白いことはないかなぁ、はふぅ~っ』
視界が変わったと思ったら俺は大きなクリアボックスのような部屋の中に立っていた。
6面がすべて透明になっているので空中に立っているように感じる。
平衡感覚が狂いそうでなんとも落ち着かない空間だ。
壁となる4面と天井との境目に約30cmほどの隙間が設けてあるが、その他に出入り口や開口部は見られない。
床下に広がる景色は一言で言えば奇妙、底の見えないただ真っ白な空間で、ここから見える範囲すべてに光る玉状のモノが均等に配置されているようだ。
光る玉といっても中身は赤色や黄色、青色など様々な色になっているようで、表層に見える光る玉から数珠繋ぎのように奥底へ伸びており、パシュと音が鳴るたびに一番上の玉が消えては、その下の玉がガラン・ゴロンと音をだして一つずつせり上がってきている。
そして再びパシュっと消えていくのだ。
天井を見上げるとその上空は濃紺の闇に包まれており、そこには無数の星が輝いているように見える。
とても神秘的な空間だけれど足元に見えるのは光の玉ばかりなので一時間もいれば退屈になってしまうだろう。
聞こえる音もガラン・ゴロン・パシュ…のみだ。
何かの生産工場のようだな…。
長くいると精神を病んでしまいそうにも感じる。
このクリアボックス内部には一見何も無さそうなのだが、実は中央付近に1辺が10cm、高さが1mほどの四角柱があり、上部に赤いボタンが配置されている。
俺がこの空間に転送された時から目の前にあったのだ。
いかにも押したらマズそうなボタンを見ないようにしていたのだが、やはり押してみるしかないのだろうか。
もう感覚的に小一時間経っても状況に変化がみられない…。
確か黒い靄のおっさんは上司の元に送ると言っていたはずだ。
魂の格の最高位者の転生は本当にめずらしいとのことなので、上司にも報告がなされているかと思いきやホウ・レン・ソウの疎かな組織なのかもしれない。
まぁ、なんにせよボタンを押さないことには始まらないみたいだ。
某アニメのような爆発がないことを祈ろう…。
では、お約束とともに…「ぽちっとな!」
ぴんぽんぱんぽ~ん!
「こっ、この呼び出し音は…!?」
初めて聞くが、まさか…来客なのか?
確か休憩室に誰かが訪れたときに鳴るという幻の音だったか?
前任者ですら聞いたことが無いと言っていたのを覚えている。
組織関係者なら我の前に直接現れるはずだから部外者なのは間違いないか…。
おっと、誰が来たかは分からないが待たせるわけにはいかないな。
もう誰でも良いのだ。
この際ちょっとでも暇つぶしをさせてもらうぞ~!!
『転移…』
ガラン・ゴロン・パシュ
ガラン・ゴロン・パシュ
……
この空間に聞こえるのはこれらの音だけ…。
『あ~暇で暇で死んでしまうぅ。我は死なないけど…』
こんなことなら昇級試験なんて受けるんじゃなかった。
どこかの世界の“死神に仕えるモノ”のままでいれば良かったな…。
地球と呼ばれる星を担当している従兄弟に給料が増えて女性型にモテると言われて調子に乗って昇進試験を受けたのが間違いだった。
実際のところ受験者は確実に合格って、試験なんてあってないようなものだろぉ~。
今度はいつ再会するか分からないけれど絶対文句の一つでも言ってやろう。
いやいや、女性型を紹介してもらうのが一番だな。
あいつモテるって自慢していたし。
そういえば、従兄弟が素敵な女性型を嫁さんにしたって前に誰かが言っていたなぁ。
だから「俺は“死神に仕えるモノ”のままで良い」って言っていたのか…。
あちらの給料は高くは無いけれどやる事は多いしな…。
そう考えるとこちらは確かに給料は多いが暇過ぎてホワイトくさい。
くそっ~、嵌められたのか~。
『はふぅ~っ』
久しぶりに嫌なこと思い出してしまった。
ため息しか出てこないな。
気が滅入るし本当に退屈だなここは…。
『なにか面白いことはないかなぁ、はふぅ~っ』
視界が変わったと思ったら俺は大きなクリアボックスのような部屋の中に立っていた。
6面がすべて透明になっているので空中に立っているように感じる。
平衡感覚が狂いそうでなんとも落ち着かない空間だ。
壁となる4面と天井との境目に約30cmほどの隙間が設けてあるが、その他に出入り口や開口部は見られない。
床下に広がる景色は一言で言えば奇妙、底の見えないただ真っ白な空間で、ここから見える範囲すべてに光る玉状のモノが均等に配置されているようだ。
光る玉といっても中身は赤色や黄色、青色など様々な色になっているようで、表層に見える光る玉から数珠繋ぎのように奥底へ伸びており、パシュと音が鳴るたびに一番上の玉が消えては、その下の玉がガラン・ゴロンと音をだして一つずつせり上がってきている。
そして再びパシュっと消えていくのだ。
天井を見上げるとその上空は濃紺の闇に包まれており、そこには無数の星が輝いているように見える。
とても神秘的な空間だけれど足元に見えるのは光の玉ばかりなので一時間もいれば退屈になってしまうだろう。
聞こえる音もガラン・ゴロン・パシュ…のみだ。
何かの生産工場のようだな…。
長くいると精神を病んでしまいそうにも感じる。
このクリアボックス内部には一見何も無さそうなのだが、実は中央付近に1辺が10cm、高さが1mほどの四角柱があり、上部に赤いボタンが配置されている。
俺がこの空間に転送された時から目の前にあったのだ。
いかにも押したらマズそうなボタンを見ないようにしていたのだが、やはり押してみるしかないのだろうか。
もう感覚的に小一時間経っても状況に変化がみられない…。
確か黒い靄のおっさんは上司の元に送ると言っていたはずだ。
魂の格の最高位者の転生は本当にめずらしいとのことなので、上司にも報告がなされているかと思いきやホウ・レン・ソウの疎かな組織なのかもしれない。
まぁ、なんにせよボタンを押さないことには始まらないみたいだ。
某アニメのような爆発がないことを祈ろう…。
では、お約束とともに…「ぽちっとな!」
ぴんぽんぱんぽ~ん!
「こっ、この呼び出し音は…!?」
初めて聞くが、まさか…来客なのか?
確か休憩室に誰かが訪れたときに鳴るという幻の音だったか?
前任者ですら聞いたことが無いと言っていたのを覚えている。
組織関係者なら我の前に直接現れるはずだから部外者なのは間違いないか…。
おっと、誰が来たかは分からないが待たせるわけにはいかないな。
もう誰でも良いのだ。
この際ちょっとでも暇つぶしをさせてもらうぞ~!!
『転移…』
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四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
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