伝説の冒険者の息子は最強テイマーになったそうです

第十九話

「なんでこんな盗賊が強そうなのか」

「強そうというかなんというか…」

「エルフやドワーフなどの拉致ってこの国の法ではかなりの大罪ではあるんだがな」

「そうですよね、僕もそう聞いてました」

そう話していたら、盗賊はこちらに気が付いた様だった。

「おいおい！！！　【天馬】　なんて上モノに乗ってる奴らが居るぜ？　かっさらって売り捌いちまうぞ！！！」

ちょっとおいたが過ぎる様だね？
と言うより、もっと怒ってる人が居るけれど。

『恩人の事を売ろうとするなんて俺でも許せねぇよ。　俺を出してくれ』

魔族に恩人扱いされるって言うのもどこかむず痒いけれど。
まぁ、こう言ってもらえるのは嬉しいから出しておこうか！

『てめぇら…。　俺の恩人を売ろうとしたことを魂の奥底まで後悔させてやるよ』

「魔、魔族！？　人間が魔族を使役だと？」

「テイマーは魔物しか使役出来ないだろ！　あいつは何者だよ！」

「落ち着け！　てめぇら！　魔族だろうが魔物だろうが関係ねぇ。　むしろここまでの能力をもったヤツなら貴族が戦争に使いたがるに違いねぇ。　生かして捕えろ」

「「おう！！！」」

懲りないね。

「は？　気配が消え…」

次の瞬間には首の落ちた一人の賊。
多分下っ端だろうか…。
一瞬の出来事に言葉すら出す事出来ずにこと切れている。
全く以て可哀想である。

『次は誰だ？』

「こ、降参だ！　俺達はもう駄目だ！」

『じゃあ、そこで弓を射ろうとしている奴もか？』

「なっ！！！」

腕を斬り落とされた弓術師は一瞬の事に何が起きたかすら分かっていなかった様で、理解」した瞬間に取り乱し始めていた。
僕がテイムした事でこの魔族は強化されてしまったのだろうか？

『テイムされるとテイマーの魔力が供給されるから実質強化されてるとも言えるわね。　あとは相性として【天馬】　なんかあまり恩恵はないんじゃないかしら？　ちょっと長距離飛べるみたいな？』

「なるほどね」

そんな効能があったのか…。

『それは鑑定などで表記される効果には無いから知らなくて当然だ。　従魔になって初めて我も初めて体感した』

そんなものなのか。
でもちょっと怖いね、もし万が一強い魔族とかをテイムしてしまおうものなら…。

『思っている様な事にはならないはずだ。　この様なスキルや魔法などは全て神が管理しているため、世界を崩壊させるほどの事には至らない様に…調整されて…いる…はず』

はずってなんだろうか？

「なんでそんなに詳しいの？」

『一応【天馬】　は魔物の中でも神獣に近い位置とは言われているからだろうな』

「なるほどね！　凄いんだね」

そう言えば前もそんな話していた様な気もしなくは…。

「貴様ら、我が国で随分と好き勝手して暮れている様だな？　奴隷を解放し、大人しく捕まって貰おうか」

「て、てめぇはなにもんだよ…」

「俺は、この国の王子で冒険者だが？」

「…もう良いよ、投降するよ。　なんでこんな意味分かんねぇホラ吹きに捕まったんだよ俺達…」

多分これ、盗賊というかこの人達、信じてくれてないよ？
むしろ僕達を魔王か何かだとすら思ってる節はあると思う。