上 下
11 / 22

第十一話

しおりを挟む
「うっひょー! 空の旅って気持ちいい!!!」

えぇ、この人本当に王族なの?
僕らには分からない世界なんだろうな…。
それより、あと半刻もせずに着いちゃいそうだなぁ。

「殿下、あそこに見えているのがガイロリュートですよ」

「え、もう着くのか…。 こんな綺麗なのは初めてだ! 姉様にもいつか見せてやりたいね」

『ちっ! この我に魔力をぶつけて来る不届き者がいるぞ』

「「えぇっ!?」」

なるほど、攻撃してきているのはゴブリンマジシャンかな?
だとしたら上位種来てる可能性も高いのか。
ジェネラルか、キングか。
もう少しガイロリュートの街に近付いてから考えよう。

『全力で抜ける!』

魔力で風を防いでいるはずなのにもの凄い風圧を受けている。
しかも寒い!

ぐおおおおおおおおおおおおおお!

という轟音に耳を破壊されかけながらも僕と殿下は必至に耐え抜く。
軽く振り向くと苦笑いしながらプルプルと震える殿下の姿。
これから戦うのが怖いのか、それとも高所が怖いのか…。

「殿下、これをお飲みください」

「これは?」

「リラックス効果のある薬草を粉にしたものです。 水無しで飲めるので便利ですよ」

「なら貰うよ…! なんだこれっ! 口の中からスース―するぞ!」

そう言う物ですからね?
とは言わずそのまま放っておく。
このままガイロリュートの街に入り込んでしまうか?

「マルク、ここは外周から降りて街の中へと入ろう。 攻撃されてはたまったもんじゃないからな」

「はい、天馬! ここで降ろして」

『む、招致した』

「天馬、休憩しててくれ」

俺はスキルで天馬をしまう…。 しまうって言う言い方は御幣がありそうだが。

「殿下行きますよ!」

「ここからはFランクの冒険者アリエスとして扱ってくれ。 そこそこありきたりな名前だから王族だなんてバレないからさ」

「分かったよ、アリエス!」

「適応はやいなっ! 流石だよ!」

オーガやオーク、森狼なんかも居るな。
複数種族による同時攻撃だなんて…。 計画性が凄すぎるよ、これ。
上空を見てて思ったのは門がほぼ塞がれていること。
なら突破するしかない!!!

「なっ! 剣で戦うのか?」

「はい、戦えないとテイマーは出来ないからね」

「ははは…」

何ですかその乾いた笑いは!
僕は殿下を無視して駆け抜ける。

「おりゃああああああ!!! くっらええええええええええええ!!!」

思いっきり振り抜いたら、僕らの向かっている門の方の魔物がほとんど散り散りになる。
そこから門まで行き、門の向こうの人に声を掛ける。

「フィーロの街から応援に来た冒険者です! 開けてもらえませんか?」

「わ、分かった! 一瞬だけ開けてやる! 早く入るんだ!」

あ、入れてくれるのね?

「こんな状況で援軍は二人か…」

「大丈夫ですよ、僕ら強いので!」

街の外に居る魔物と比べると…ね。
そのまま門番は放置してギルドへと向かう事にした。

騎士団とかの応援が来るまでに全部狩りつくしちゃっても良いのかなぁ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

平凡な私が選ばれるはずがない

ハルイロ
恋愛
私が選ばれるはずはない。 だって両親の期待を裏切った出来損ないなのだから。 ずっとそうやって生きてきた。 それなのに、今更...。 今更、その方は私の前に現れた。 期待してはダメ。 縋ってはいけない。 私はもう諦めたのだから。 ある国の片田舎に、異能者の番となる特別な印を持った少女がいた。 しかし、その少女にはいつまで経っても迎えは来なかった。 両親に虐げられ、奴隷にまで落ちた少女は、全てを諦めながら残された人生を生きる。 自分を助けてくれた優しい人達に感謝しながら。 そんなある日、彼女は出会ってしまった。 彼女を切り捨てた美しい番と。 他視点あり なろうでも連載中

勇者一行パーティから追放された治癒魔法師の物語

夢空莉羽
ファンタジー
【序章完結!第一章完結!第二章連載中!!】 リーナ・ルミエールは(自称)勇者一行のパーティーに所属していたが、治癒魔法しか使えないため、お前より使える(自称)聖女がいると言われ追放される。不満を持っていたリーナはすぐに受け入れるが、魔法の杖と冒険者ギルドカード以外は置いてけと言われてしまう。めんどくささから言うことを聞き、杖とカード以外を地面に置き、素早く去る。これからの行動を悩んだ末、まったり旅をすることに決める。 門を出た途端、魔物に襲われるが通りすがりの冒険者に助けられる。ただ、その冒険者がリーナを庇って腕に怪我をしてしまい、焦ったリーナは全力で治癒魔法を使う。その治癒能力の高さに驚いた冒険者――リオネルはリーナに、パーティーを組まないかと誘う。一人では何もできないリーナはその誘いに乗る。 ※閑話には重要なことがあったりするので読むのをおすすめします。 ※設定メモもありますが、メモなので、あんまり内容は書かれていません(九月七日追記) ※ファンタジー大賞にエントリーしています ※不定期投稿です

県立冒険者高等学校のテイマーくん

丸八
ファンタジー
地球各地に突如ダンジョンと呼ばれる魔窟が現れた。 ダンジョンの中には敵性存在が蔓延り、隙あらば地上へと侵攻してくるようになる。 それから半世紀が経ち、各国の対策が功を奏し、当初の混乱は次第に収まりを見せていた。 日本はダンジョンを探索し、敵性存在を駆逐する者を冒険者と呼び対策の一つとしていた。 そして、冒険者の養成をする学校を全国に建てていた。 そんな冒険者高校に通う一人の生徒のお話。

天秤の絆 ~ベル・オブ・ウォッキング魔法学園~

LEKI
ファンタジー
五つの大陸と、大小様々な島々で構成されているクレティア。 その大陸の中で最も小さいグラナディール大陸にある、ベル・オブ・ウォッキング魔法学園。 魔法剣士、魔法銃士、攻撃魔法士、補助魔法士、治癒魔法士、精霊術師、結界術師の七つの学科に分かれる学園に、精霊術師のユヅキが入学してくるところから物語は始まる。 幼馴染の魔法剣士であるナギト(一年生四回目)や、契約精霊であるアルバやセラータと共に、ベル・オブ・ウォッキング魔法学園で過ごす日々の話。

【完結】本当にあった怖い話 ~実話怪談集『図書館の“あれ”』・『旅先の怪』・『負のパワースポット』~

悠月
ホラー
実話怪談のショートショートを集めた短編集。 『図書館の“あれ”』 私の出身大学の図書館、閉架書庫には“あれ”がいる。私以外のほとんどの人が遭遇したという“あれ”。 しかし、“あれ”に遭遇した人たちの人生が、少しずつ壊れていく……。 『旅先の怪』 非日常の体験がしたくて、人は旅に出る。ときに、旅先では異界を覗くような恐怖を体験してしまうこともあるのです。 京都、遠野、青森……。 そんな、旅先で私が出遭ってしまった恐怖。旅先での怪異譚を集めました。 『負のパワースポット』 とある出版社からパワースポット本の取材と執筆を請け負った、フリーランスライターのN。「ここは、とてもいいスポットだから」と担当編集者から言われて行った場所には……? この話、読んだ方に被害が及ばないかどうかの確認は取れていません。 最後まで読まれる方は、どうか自己責任でお願いいたします。 ※カクヨムに掲載していたものの一部を修正して掲載しています。

処理中です...