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第七話

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僕の目の前にはもふもふ宿なる看板が…。

『ちょっと…?』

『主様、これは…』

『こういう奴は我は嫌いではないぞ』

という事でもふもふ宿に足を踏み入れる。
少し頑固そうなおじさんが一人だけ居る様だ。

「お客さん、宿泊かい?」

さっきの頑固そうなおじさんが声を掛けて来る。

「はい! とりあえず七日の宿泊でお願いします!」

「構わんが。 お前さんは動物が好きか?」

「はい、好きですよ!」

おじさんは【牙虎】 を召喚した。 これはテイマーなのだろうね。
凄く手入れされているからもふもふしているから宿の名前も…?

「第一関門はこいつに馴染んでもらう事だ。 こいつは残念ながら人見知りなんだよ」

「分かりました! この子のお名前は?」

「ティアラだ。 女の子らしい可愛い名前だろ?」

容姿とはすっごい差があるけど!? でも子虎の頃はきっと可愛かったんだろうな。
あれ? 自分からこっちにすり寄ってきたけど!?

「な! なんだと!?」

「よしよし。 良い子だね~近くで見るとすっごい凛々しいなぁ!」

『ニャァァァァゴ』

「な、なんてこった!!!」

店主さん? の驚きの表情に困惑しながらも、ずっと【牙虎】 を撫でていた。

「お、おい。 従魔は多くはないだがペットや商人達の馬が居たりする。 それとも仲良くしてやってくれ」

「もちろんですよ! 僕もテイマーなので!」

「なに!? テイマーだと!? ははは…もふもふの神よ…」

えぇ、この人僕より怖いよ!? どうにかしてください!

「もふもふの神とは…」

思わず声に出てしまった。 駄目だ駄目だ。
さっきから少しだけ外が騒がしい。

「おい! マルク! やっぱりここだったか! 緊急事態だ! ギルドまで来てくれ」

「はい!」

そのまま俺達は冒険者ギルドへと走って向かった。
距離的にも全然走れる距離だったので問題はない。

「おい、普通のテイマーだったら、息を切らしてるくらいの距離走ったぞ?」

「えぇ…」

「まぁ良い。 それよりこちらが騎士のエトワールさんだ」

「第二王女殿下の護衛を勤めております、騎士のエトワールです」

第二王女殿下の護衛…?

「マルクです。 明日正式なギルドカードを貰うので今はカードは無いですが冒険者です」

「伺っております。 殿下をお呼びしても宜しいですか?」

ええええええええええ? ガリウスさんの方を向くと、ガン無視された。
肝心な所で助けてくれないのかよ!!!

「大丈夫です…」

「感謝致します。 ではお待ちください」

ほんのちょっとだけ待っていると。

「お待たせ致しました。 第二王女殿下をお連れ致しました」

「私が第二王女のルティナ・ア…いえ、追放すらされそうな私に家名を名乗る筋合いはありませんわね」

ワケアリじゃないかあああああああああ!

「え、えっと、ルティナ王女殿下はどの様なご用件で…?」

「今、王都が危険なので貴方の持つ【猫馬】 をお借りしたい…。 と思っております。 不可能でしたらそれはそれでかまいません」

「一頭で良いんですよね?」

「えぇ、騎士の分も…はおこがましいですから」

召喚、【猫馬】 、ピンクの【猫馬】

「な、なんと!」

「どういう事ですの!?」

「騎士の方はこちらの通常のを、王女殿下にはこちらのピンクの希少種をお貸しいたしますね。 餌は知っての通り肉です」

「本当に宜しいのか? このまま奪い去る事だって…」

「そうなれば、こちらで強制的に回収します。 あとは親密度が高くなった場合はテイムを解除して、この子達をお渡しいたしますよ」

「なんとお礼を申し上げたら…」

「緊急で必要なのでしょう? この程度であれば大丈夫ですよ」

二人は僕に何度も感謝をし、【猫馬】 に乗ってその場を去っていった。
様になっているやらなっていないやら…。

「おい、マルク? ちょっとお話しようか」

はい、すいませんでした。
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