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第一章 まさかの幽霊
レベルを上げたい(6)
しおりを挟む途中、何度かナメクジに遭遇して倒した。七体目を倒してようやく。
『経験値が一定値に達しました。天村麗花がLv1からLv2になりました』
おおっ! レベルが上がったぞ!
心の中で手を上げて変なダンスをする。実際にしたらホムラに変な目で見られるから心の中で。
「レベル2になったよー」
ホムラに報告。
「ああ、良かったな」
……そういえばホムラって何レベなんだろう? 結構強そうなんだけど。
聞いてみよ。
「ホムラって何レベなの?」
「最近レベル上げをしていないからな……。何だったか? 30辺りだったような」
「30!?」
私なんかまだ2だよ! 30にいくまであと27レベル必要だよ!
まあでも……。ホムラって色々詳しいし、迷宮にも入っていたのかもしれないな。霊体ならふつーに入れるし。
安心できます!
廊下を進んでいく。暗さにも慣れてきて、視界が良くなった気がする。
お。魔物発見。あのフィルムは……ナメクジじゃない?
そういえばナメクジって、この世界ではナメらしい。なんか可愛い名前。
「あれなんだと思う?」
「スライムだな」
おっ。定番来ました! スライムさんです。
ゆーっくり近づく。
『獲得条件を満たしました。天村麗花にスキル『隠密』を付与します』
なんかスキルゲットしたー。『隠密』だって。まあ何度かこんな感じにゆーっくり気づかれないように近づいていたからなー。
と思いつつ『隠密』を使用する。
……変わった気がしないけど周りから見たら変わったのかな?
スライムのすぐ近くに来たけど、スライムは私に気づいてないみたい。
これも『隠密』の効果なのかな?
手に魔力を貯めて放出。炎の玉をスライムに当てる。
スライムはぴょんっとびっくりしたかのように飛び跳ねて、私の正面にボトリと着地する。
……あれ。魔法効いてない?
スライムはプニョプニョ変なダンスをしている。どっちが顔やねん。
「ホムラー。スライムに魔法効いてないよー」
「魔物によって相性もあるからな……。こいつは火属性に強いんだ」
そんなのあるんだ。じゃあ弱点属性とかもあるのかな?
火が効かないなら風で切ってやれ、と思っていたその時。
「レイカ!!」
ホムラが私の名を呼んで、後ろ襟をグイッと引っ張った。私はぐえっと変な声を出してしまう。
何するの! と言う前にその理由に気づいた。
スライムがべチョッと変な液体を、さっきまで私がいたところに吹き出したからだ。キモっ。
ホムラはこれを避けようと助けてくれたんだ。ありがとう、と言おうとしたら。
――変な液体が地面で跳ね返って、私の足にほんとちょっとだけ付いてしまった。見た目液体だけど足にこびりつく。
ぎゃー! 汚い汚いー!
あたふたしていたら泣き面に蜂、液体がかかった場所に痛みが。
なーにーコーレー! 刺すような痛みがする! 痛い痛いー! 汚いし痛いー!
助けを求めてホムラを見る。
「直ぐに水で流せ!」
魔力を固めて大量に水を出して、液体がかかった所を洗い流す。
こびりついていた液体は取れたけど、まだ痛い!
我慢はできるけど。例えるとしたら、紙で指を切った時みたいな痛みかな?
よくもやってくれたなとスライムを睨むとこやつは相変わらずプニョプニョと動いてやがる。ちっ。そのまま何もしてなかったらちょっとは可愛いのに変な液体が全てを台無しにしたぞ。
私は魔力で風のカッターみたいなのを作って、スライムにぶつける。
スライムはパスーンと綺麗に真ん中で切れた。
倒したかなー?
半分になったスライム。しかし魔石にはならない。
……プラナリア系じゃないよね。
もいっちょ風のカッター。
半分なのがもう半分に。
スライムは変わらずうにょうにょ。
「なんなのこれ! 永遠と続かないよね!」
「次倒せるんじゃないか?」
ホムラが冷静に言う。その通り風のカッターを半分の半分のスライム全てに当ててやったら、光って魔石になった。
……スライム相手にするのめんど。
スライム魔石は、銀色みたいな色だった。ポッケに突っ込んでおく。
やべー。そろそろポッケ満タンだ。
「ホムラ、さっきの変な液体何なの?」
「あれは毒だな。たとえスライムの毒だとしても、全身に浴びたら致命所になりかねない」
「うわぁ。ありがとう助けてくれて」
あの変な液体は、結構ヤバいやつでした。スライム恐るべし。
でもレベルは上がらなかった。経験値はそんなに多くないんだねー。
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