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第一章 まさかの幽霊
成人になりたい(2)
しおりを挟む道を歩く。
すれ違う人にちらちらと見られている気がするが、無視無視。自意識過剰かもしれないし。
キョロキョロ周りを観察しながら歩く。見るものの全てが目新しい。
レンガづくりの家もある。あ、あそこの家からいい匂いがする。レストランかな?
あーご飯食べたい。お金ないと無理か。
実体化していたらお腹空くのかな。というかご飯食べても美味しいと感じるのかな!? 感じなかったら泣く。
考えてみたら、胃とかの機能が止まってるじゃん私。いや、もしかしたら実体化することで機能が復活しているかも。
いい匂い、って実際思ってるし。
温かい、って実際感じたし。
……実体化中に大怪我したら死ぬのかな。幽霊なのに死ぬ可能性はあるもんね。
考えても分からないことばっかだ。
とか色々考えている間にギルドの前に到着。
「教会は?」
「もうちょい奥」
ホムラのあとを着いていく。
噴水広場を中心に考えると、ギルドよりも奥に、教会があった。
まじで見た目は教会のそれ。白い壁、屋根はとんがり、大きな鐘がある。扉は元々開かれている。中を見ると、これも教会らしく、正面に教壇があり、真ん中の道の左右には椅子がずらっと並んでいる。
人の姿は今のところ見られない。
中に入るのなんか緊張する。
思い返してみれば、今まで話していたのは幻獣と精霊でしょ? 人族とは初めて話すことになる!
ふーふーと呼吸を整えている間に、ホムラは普通に教会に入っていった。
ホムラくーん!! 私は心を整えていたというのに!
「何をしているレイカ。早く入ってきて」
置いていかれたくは無いから、失礼しますとちっさな声で言いながらそーっと教会の中に足を踏み入れる。
ホムラが真ん中の道を堂々と歩いているから、私も真ん中の道を歩く。
堂々とは歩いていないからね!
ホムラは正面の教壇の前に立って、ぐるりと教会の中を見渡した。
何をしているんだろう、と思っていたら、右にあった扉から女の人が出てきた。
この人、絶対教徒の人だ! もうそんな見た目してる。私は教徒です! と服装からアピールしてる。
シスター風の服。けど色は白。ホワイト。
その女の人は、ぺこりと頭を下げる。
「ようこそ、ビガスト教会へ。わたくしは、ミサ・ビュールと申します。何の御用でお越になりましたか?」
「この子成人なんだけど、Mリングもらえる?」
ホムラが私を指さしながら言う。この子って……。見た目から言えば、ホムラよりも私の方が年上に見えるよ。
でもそんなホムラの言動にミサさんは反応しなかった。
「かしこまりました。では、別室へ御案内します。どうぞこちらへ」
ミサさんに案内され、私達は扉の中に入る。
廊下に出ると、意外と教会って広いんだなーって思った。
部屋も結構ありそう。
ミサさんはずんずん奥へと歩いていく。
そして突き当たりに来る。
ミサさんはその部屋をコンコンとノックする。
「ダーム様、お客様がお見えです」
すると、部屋の中から長身の男の人が出てくる。その人は、見た目からして教会の中でも偉い人なんだなーということが分かるような服装だ。
刺繍とか豪勢にされているもん。
しかもこの人、金髪碧眼のイケメン。こりゃモテる顔だ。
イケメンは、私達を見てにっこりと微笑む。
「ようこそ、ビガスト教会へ。僕は、ビガスト教会の教会長を務めさせて頂いております、ダーム・テフラーと申します。お二人に出会えたことを光栄に思います。この出会いに感謝を」
イケメン――ダームさんは手を組んで少し頭を下げる。これは教会の挨拶なのだろうか。
「この子にMリングくれる? 成人だから」
「かしこまりました。では、どうぞ部屋の中へ」
勧められて部屋の中に入る。
部屋の中は思っていたよりもお偉いさんが使ってそうな豪華絢爛な家具が並んでたりしなかった。
一言で言うと質素。質素だけど、清潔感がある。
部屋の中心にあった椅子に座るよう言われたので、座る。
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