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第一章 まさかの幽霊
はぐれ精霊(6)
しおりを挟む「ところでレイカ。聞いておきたいことなどはないか?」
「ん? いっぱいある」
ホムラ君――改めてホムラが私にそう尋ねる。私は速攻で頷いた。
聞きたいこと、たっくさん。検索では調べきれないからね。
「まず、ここってなんて国?」
「ユーレイト王国。人間界で一番人口が多い国でもある。農業が盛んで、比較的明るい国だ」
ユーレイト王国って言うんだ。しっかりと覚えておこう。明るい国って良いねー。住んでいる人達が明るいって事なのかな? お話するの楽しみ。
んー。次に聞きたいのはやっぱこれか。
「固有スキルって、珍しいものなの?」
「は?」
ホムラが私を見て、ぽかんとした表情になる。まるっきり予想外な質問がきたような顔だ。
「もしかして、レイカ、固有スキル持ってたりする?」
「え、持ってたらヤバいやつだったりする?」
質問を質問で返す。
「ヤバいやつって……まあ言っちゃそうなんだけど」
「まじっすか」
偉大なる創造神エクセラ様は、結構ヤバいスキルをくれたらしいです。
「この世界で固有スキルを持っているのは、12人だったかな?」
「まじっすか」
この世界の13人目になってしまったらしいです。13ってなんか不吉!
「レイカ、固有スキル持ってるなら、内緒にしといた方がいいよ。これ、ほんとに。バレたらめんどくさい事になる」
「まじっすか」
めんどくさいことって何!? 怖いんだけど! 絶対隠す!
「どんなスキルなの?」
「えーっと、『検索』って言って、単語とかスキルとか調べられるんだ。ケンパトで」
「ケンパト?」
ホムラがなにそれって顔をしたから、私はケンパトを出す。
じゃじゃーんと見せても、余計変な顔をされた。
「あ、ごめん。スキルって自分にしか見えないんだった」
「そういうものだからね……。見えたら余計危ないよ」
見えなくて良かった、ホムラはほっと安堵の息を吐く。
「調べて、どんな感じに出てくるの?」
「言葉で説明が書かれているんだ。ちょっと待って、一個調べてみる。『契約』でいっか」
ケンパトに「けいやく」と打つ。
『契約』強い結び付きを得る。契約相手の居場所がぼんやりと把握できる。また、契約相手に魔力を与えることもできる。
〈獲得条件〉契約を結ぶ
これを読み上げる。
「獲得条件まで分かるの!?」
「うん。楽でしょ!」
「楽だけど……そんなお気楽な事じゃないよこれ! 大問題!」
ホムラは手で頭を抱えた。
「スキルの獲得条件は、誰もが知りたいものなんだ。だってこれが分かったら、すぐに手に入れることもできるじゃない。今でも世界中の権力者達はスキルの獲得条件を求めている」
「まじっすか」
めんどくさいこと、がどのようなことかぼんやりわかってきた。
この世界って、お城があったし君主制とかそんな世界でしょ? お貴族様とかそういうえらーい人が、私のスキルを求めて色々命令してくるとか! 私平民じゃん! 逆らえねーよ!
絶対逆らうけど。
「レイカ。このことは僕と君だけの秘密だよ。そしてこのスキルは人前で使わないでね」
「了解」
ピシッと敬礼。ホムラはため息をついた。
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