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第一章 まさかの幽霊
はぐれ精霊(1)
しおりを挟む見つけたのは普通の少年じゃないよ。そうだったらこんなにためない。
何故普通じゃないって分かるって?
ふっふっふっ。
私と同じように透けているからさ!
もしかしたらこの少年は精霊かな? そうだったら『探索』の効果出てるかもね。
とりあえず……。声かける?
と言っても喋れないから思念会話でも使う?
いやいや。急にテレパシーされたらビックリするよね。私だったら叫ぶ。
じゃあ私の存在を認識してもらう。
そうしよう。
後先考えず少年の前に飛び出る。
少年がちらりと私を見る。そして声をかけてきた。
『お前、誰? 何者? 精霊じゃないよな』
声じゃない。思念会話! そしてお前呼び。上から目線だ!
少年は、十二、三歳くらいに見える。真っ赤な髪の毛で、綺麗なオレンジ色の瞳をしていた。とても美丈夫で、中性的な顔立ち。
はっ。答えを返さないと。思考加速しているから考えている時間三秒もないけど。
『精霊じゃないよ。私は幽霊! あなたは?』
少年の目が鋭くなった。疑ってるなこれ。私本当のことしか言ってないよ!
『ユウレイ? 何だそれは?』
少年は今まで聞いた事のない言葉を聞いたような顔をしている。あれ。もしや幽霊ってこの世界の人に通じない? 検索して確かめよう。
該当なし。
ないー。通じないー。
幽霊って存在しないの? でも私存在してるよ?
少年は私を怪しんでいるのか、立ち上がってきつく睨んでくる。
『変なこと言うんじゃない。ユウレイとは何だ?』
『変なこと言ったつもりはないんだけどなぁ。えっと、幽霊って言うのは、一回死んで実体を失った存在っていうのかな?』
『は?』
少年は心底不可解そうな顔。
『死んだら魂となり生まれ変わる。死んで霊体になることなどありえない』
『でも実際なっちゃったんだよね……』
少年はますます不可解そうな顔。
転生したことって言っていいのかなぁ? エクランドリー様にも何も言われてないし。状況を説明するには言わないとどうにもならないし。
私は肩を竦めて少年に笑いかけた。
『信じられない話かもしれないけど、実は私、別の世界から来たんだ。別の世界で死んじゃって、で、この世界に来たの。でもこの世界でも直ぐに死ぬって酷いと思わない?』
『別の世界? 何だそれは。そんなのあるのか?』
『あるみたいだよ。私にとってはこの世界が別の世界!』
少年は大丈夫かこの人とでも言いそうな目だ。やめてくれそんな目で見るのは。
これ、エクランドリー様の名前出していいのかな。幻獣、って言えば問題ない? あ。幻獣調べとこ。「げんじゅう」と。
【幻獣】神の使い。人の子の前に滅多に姿を見せない。手を出さない限り生物達を見守っている。
神の使い……だと……。本当にエクランドリー様は偉大なのでは? 自称していたけど。
でもこれは幻獣を出せば疑われないかな。なんたって神の使いだもの。
『どうしたらいいんだろなーってぼーっとしていたら、幻獣様が直接助けてくれたんだ!』
『幻獣様が!?』
少年が大きな声(大きな思念)を出し、ぽかんと口を開けた。そんなに驚くことなのだろうか。
『で。幻獣様に実体化するべきだと言われたんで、精霊さんを探していたの!』
『幻獣様に……? 本当か?』
少年が私を疑っている! やばい! 本当だけど証明するものはない!
あせあせしている私をちらりと一瞥し、少年は考え込む。
んー。どうやったら神力って貰えるんだろう。軽い感じで「神力ちょうだい!」って言ったらダメだよね。
んー。んー。
と考えているうちに少年が話しかけてきた。
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