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第一章 まさかの幽霊

転生(6)

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 そういえば、ケンパトでスキルも検索できるのかな? やってみよー。「けんさく」っと。
 
『検索』天村麗花の固有スキル。スキル・言葉の検索が可能。また、検索するものは己にしか見えない。
〈獲得条件〉神の承認

 へー。この検索でスキルの獲得条件も見ることができるんだ。すご。
 「天村麗花の固有スキル」って響き、かっこいいな。
 じゃあもう一個偉大なる創造神エクセラ様が付与してくださったスキル『翻訳』も調べてみよう。「ほんやく」っとな。

『翻訳』異言語が理解できるようになる。また、読み・書き共に可能。
〈獲得条件〉より多くの言葉を学ぶ、神の承認

 異言語が理解できるようになる!
 もしやエクランドリー様も私にとっての異言語で話していらっしゃったり? 「日本語」って分かります?

『ニホンゴとやらは知らぬ。我は地上語で話しておる』

 地上語とは? 検索検索ー。「ちじょうご」っと。

【地上語】エクセラで話されている主な言語。

 へー。私達でいう日本語みたいなものなんだ。ほうほう。
 じゃあさっきの街で人々が話していた言葉は地上語なのかな? さっきは意味が全く分からなかったからスルーしてたけど今は理解できるんだ。
 話したいなー。

『まずそなたが他の人族と話すには、実体化する必要があるぞ?』

 実体化ですか?

『そなたが調べれば良い事だ!』

 りょーかいです。「じったいか」と。

【実体化】霊体の存在が人々に見えるようになること。また、世界に干渉することも出来る。スキル『実体化』が必要。
『実体化』霊体の種族が必ず持っているスキル。実体と霊体の交代が行える。
〈獲得条件〉精霊から神力を受ける

 ダブル検索ー。「しんりき」

【神力】自然が持つ特別な魔力。精霊に神力を渡たすことで自然は姿を保っている。また、精霊はこれを持つことで存在を保っている。しかし、魔法の力量が上がる訳では無い。

 と、いうことは。
 私は精霊から神力を貰ったら実体化できるようになるってことか!
 実体化したら、皆に姿が見えるようになるのでしょ? ご飯食べれるでしょ? もふもふを触れるでしょ?
 実体化するに決まってるっしょ!

『もふもふとは我のことではないよな?』

 違いますよ。まあエクランドリー様も触ってみたいですけどねぇ。
 あ。そういえば、私幽霊で姿とか見えないはずなのにどうしてあなたには見えているのですか?

『ふん。我を誰だと心得ておる? ご主人様お付の幻獣だぞ! たとえ霊体であろうと我にはよく見える』

 へぇー。凄いですね。

『もっと褒めるが良い!』

 ちょっと魔法を調べてみよう。「まほう」、と。

【魔法】魔力を固めて形として放出したもの。己の属性により使える魔法は異なってくる。

 魔力と属性をダブル検索。

【魔力】全ての人が持っているエネルギー。睡眠によって形成される。魔力が尽きることは死を意味する。魔力核で形成される。
【属性】己が生まれながらに持っている魔力の種類。火・水・地・風・光・闇・空間がある。

 魔力が尽きたら死を意味するって怖いわー。属性はどうやったら何を持っているか分かるんだろう?
 魔力核も検索してみようか……。

『ちょっと待て! 我を無視するでない! 検索は後でもできるであろう!』

 おおっと、すみません。忘れてました。

『忘れてたとは……。ま、まあ良い! それよりもこれだけは聞いておきたいということはないか?』

 これだけは、か……。では、偉大なる創造神エクセラ様に会うことはできるのですか? 

『無理だ。絶対にな』

 何故そこまで断定するのです?

『ご主人様はとても多忙である。そなた一人に出会うだけで世界の安定が崩れてしまうやもしれぬ。そして、神は神の子に直接出会うことは出来ぬ』

 世界の安定? 神の子?

『詳しい説明は我には出来ぬ。規律違反になってしまうのだ』

 そうなんですか。残念です……。ま、いつか知る機会があれば、そのことについても聞いてみたいですね。
 色々ありがとうございます、エクランドリー様。それにしてもどうしてここまで私に教えてくださったのですか? あなたって偉大なる幻獣なのでしょう?

『確かに我は偉大な幻獣である。しかし、始めに言った通り我はご主人様に頼まれたのだ。ご主人様はそなたを手違いで直ぐに殺めてしまったことを大層気にかけておられた。その贖罪として、そなたに固有スキルを与えられたのだがな。それだけでは足りないらしい。我は十分だと思うのだが、ご主人様は心配性なのだ』

 偉大なる創造神エクセラ様……。私、今感激しています! 誰だ、あなたを責めた性悪は!
 エクランドリー様、偉大なる創造神エクセラ様にお伝えしておいて下さい。私、第二……第三の人生、めいいっぱい楽しんでみせます! 幽霊の方が良かったと思えるような人生にしますよ! それであなたに感謝するのです。私の意識がない時に幽霊にしてくださってありがとうございます、ってね。

『ふはっ。承知した。ご主人様に伝えておこう。きっとご主人様も安心するだろう』

 エクランドリー様もありがとうございました。もう右も左も分からない状態だったので……。これでこれからの道が開けました!

『うむ。それで良い。そなたにはその顔が似合っておるぞ』

 ふふっ。ありがとうございます。

『では、我は帰るぞ』

 さようならー! またいつか会えますか?

『そなたが強くなり、我に会うだけの力を得たら、可能性はあるな』

 じゃあ今度は、私の口でしっかり喋りますよ。そしてあなたをもふもふするのです!

『もふもふは控えて欲しいな。……ではさらばだ!』

 エクランドリー様は空から降りてきたように、空を駆け上がって消えた。
 私はそれを最後まで見送る。
 エクランドリー様の姿が見えなくなった時、心の中にあった不安や心配がすっかりなくなっているのに気がついた。

 ――第三の人生、楽しんでやろうじゃないの!
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