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第1章 勇者の資格

お金が無いです ( 7 )

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 急いでバルー様の元へ戻って、様子を見ます。
 血が止まっていません。
 呼吸はしているみたいなので、良かったです。

「え、エミカ…………」

 震える声でナミ様が心配そうに話しかけてきます。
 私は手で離れるように支持して、バルー様の頭の上に、手をかざします。
 できるだけ損傷が残らないように、痛まないように。

『治癒』

 すると、みるみるとバルー様の頭の怪我は治っていきます。
 バルー様の苦しそうだったお顔が、和らぎました。
 続いて私は折れた足を治すために、足に手をかざします。
 ――えーっと、骨折の場合、そのまま治癒をしたらおかしく繋がってしまいますから……

「『結合』の次は『治癒』」

 折れた骨を繋げて、それからその足を治癒して、損傷をなくします。
 最後には、痛みが無くなるように……

『痛み止め』
 
 バルー様の痛そうで真っ青だったお顔は、赤みを取り戻しています。

「バルー様、痛みは無いですか?」

 そう話しかけると、バルー様はゆっくりと目を開けました。

「――え、うっ……ん?」

 何が起こったのかさっぱりな様子。
 でも、良かったです。無事、助けることができて。

「エミカ」

 ナミ様が真面目な顔をして私を見つめます。
 私も姿勢を整えて、彼女を見ます。

「本当に、ありがとう」

 すると、ナミ様はぺこりと頭を下げます。
 私は手を振って、顔を上げるように言います。

「無事で良かったです」

 そう言って、ニコリと微笑むと、ナミ様は何故か固まってしまいました。
 ――――どうしたのでしょう?

「エミカ……。貴女、何者なの?」

 うーん。どうやって答えましょう。
 あっ。いいのを思いつきました。

「元、侍女です」

 そう言って、私はもう一度笑いました。
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