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第2章 魔法学園の入学式
測定、その後 ( 2 )
しおりを挟む「それでは、失礼しますわ」
サラちゃんが男の人の手を退けて、階段を降りようと歩を進め――
「この魔性が!」
男の人がそう叫んでサラちゃんの背中を突き飛ばした。
銀色の髪が広がり、サラちゃんの身体が宙に浮く。
「きゃぁっ!」
「危ない!!」
私は咄嗟に階段へ躍り出る。
考えている時間なんてない。この高さから落ちたら酷い怪我をするだろう。打ちどころが悪かったりしたら命も危ないかもしれない。
私に出来ることだけを考えるんだ。
階段から落ちる人を助けるなんて、私には、出来ない。でもそれは、前世の事だ。
この世界には、魔法というものが存在しているんだ!
「『風よ、サラちゃんを優しく受け止めて!』」
ふわりと優しい風が私の頬を撫でたような気がした。
落ちていくサラちゃんの身体が、まるでクッションがそこにあるかの様に受け止められる。
「大丈夫ですか!?」
サラちゃんに駆け寄り、彼女に怪我がないか確認する。
どこにも傷は無いように見える。良かった。
安堵の息をついている私を、サラちゃんがじっと見つめる。
「どうかしましたか?」
「――格好良い」
サラちゃんが瞳をうるませながら私を見ている。
んー? どうしたのかな、サラちゃん。
「ありがとうございます! 貴女は私の命の恩人ですわ!」
サラちゃんが私の手をグッと握り締め、そう言う。
なんだか勢いがすごい。若干引いてしまったではないか。
「い、いえ。人を助けるのは当たり前なので」
そう言ってニコリと笑うと、サラちゃんは何故か驚いたような顔をした。
しかし直ぐに顔を引き締めると、サラちゃんは私の後ろ――サラちゃんを突き飛ばした男の人を睨んだ。
「これは立派な犯罪ですわ。どう説明するつもりですの?」
男の人は何度か視線をさ迷わせ、そして踵を返して逃げて行ってしまった。
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