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暗黒大陸

LV247 隠者のほとり

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 獣人の集落跡で一夜を明かした調査隊は、隠者のほとりを目指し再び進軍を始めた。

「昨日はゆっくり休めた。これもピエロのおかげだな」
 シロクはピエロの肩を軽く叩く。

 昨夜、ピエロは就寝前に集落跡を囲むように完全防御結界を張った。それにより、魔物は調査隊に近付く事すらできなかった。

「一応、念のためだ。我々の力が分かる魔物であれば、むやみに近付こうとはしないだろう」

「確かに……」

「それよりもベン……やはり『国宝級』は、だてではない。範囲1kmにも及ぶ探知スキルを発動したまま、睡眠できるとは」

 探知スキルの継続は、常に体を動かすに等しく体に負荷がかかる。まして、1kmほどの広大な探索スキルであれば常に全力疾走で走っているのと変わらないほどのエネルギーを消費する事になる。
 ベンはそれを平然な顔でやり遂げる。

「さあ、おしゃべりもそろそろにして……もう着くわよ!」

「ミルミル様、念のため私が前を歩きます」

 先頭を切って歩くミルミルに代わり、ヨルヨルが前と出る。

「楽しみだのぅ。邪がでるか鬼がでるか」

「ははは、魔王がいれば邪でも鬼でも怖くないさ」
 ドレンはベレッタの頭をぽんぽんと優しく叩く。ドレンはこの旅でベレッタと結構仲が良くなったみたいだ。

「今の所この周辺には魔物はいないようだ」

「それはそれで退屈だねー」

「――ただ、近くに魔物がいないというのは逆に気になる」

「まあいずれにしろ、気を抜くなって事ね」

「そうだ」

 隠者のほとりは獣人の集落から西方面の山手にある。山と言ってもそれほどの比高はなくどちらかというと丘陵に近い。しかしながら、ほとりの全貌を拝むためには少しばかり急な斜面を登る必要があった。

「さあ、着きますぞ」

 調査隊はいつもの山の斜面を乗り越え、ついに「隠者のほとり」へと到着する。


 隠者のほとり……暗黒大陸にそぐわない透き通るような水が溜まる神秘的な湖のほとり。地底に沈む鏡のような石と太陽の光との乱反射により、七色の水の変色が拝める岸部。さらに周辺には特殊な光の影響なのか? ここでしか見られない七色の果実を実らせる木が生えている。

「――と聞いていたのだが、私の聞き違いでした?」

「いえいえ、その通りでございます。私も文献で確認したところ、そう記されておりました」

(それの文献を書いたのは師匠なんだけどね……)
 ドレンはベンの方を見てクスっと笑った。

「俺が前に来た時はそうだった……」
 ベンは深刻な表情で湖を見つめる。

「なんなんじゃ、これは」

「これが湖?」

「嫌な匂いがプンプンするのぅ」

 一同は驚きを隠せない様子で隠者のほとりで立ち尽くしていた。

――――――――――――――――――――――――――――
完全防御結界 物理攻撃及び魔法防御を兼ね備えた結界。ピエロの結界を破るにはピエロの結界能力値を越えた物理攻撃か魔法攻撃が必要。
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