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暗黒大陸
LV246 野営
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現在の調査隊人数
英雄7人 生存
執事ヨルヨル 生存
精鋭兵 18名 生存(12名負傷により船へと帰還)
―――――――――――――――――――――――――
「――獣人集落跡についた俺達は、そこで野営の準備をして一晩を明かす事になった」
「そこで襲われたんですか?」
「いや、そうではないんだ」
ドレンはテーブルに置かれた水を半分ほど飲んだ後「ふぅ」と、ため息をひとつついた。
獣人集落の跡地についた調査隊は夜の野営に備え、それぞれがテントや寝袋を用意する。
「ミルミル様、テントの準備ができました」
「ご苦労様、ヨルヨル」
「さすが王女様はちがうねー」
「あなたのテント豪華すぎではありません?」
男勢は全員寝袋を用意して、女性陣はテントを張る。その中でベンとシロクの寝袋は特殊であった。本来の寝袋は体を全体的に覆うタイプであるが、ベンとシロクの寝袋は防水性・防寒機能がついた分厚いスウェットに似たような物だった。
これは、外敵から襲われた際に、手足が自由に動かせるように作られたためである。
寝床を準備できた一同は、焚火の前で集合した後に食事を取りながら次の日の打ち合わせをしだした。食事はもちろん現地調達した魔物達である。ベンとドレンが毒持ちの魔物は判別し、皆は安全な魔物の肉だけを食べる。味は最高級食材に劣らずであるが、ミルミルは「食事のバランスが最悪ですわ」と、一人文句を言っていた。
「――で、ドレン話ってなんだ?」
「んー、つまり厄災ってなんなのかな……と思って」
「そりゃー、アレだろ。俺達が燃えるほどの強敵が出るんだ」
「いや、私が王宮で調べた太古の文献では『厄災始まりし時、全てが無に帰す』と書いてあった。それが、ただの強い敵とは思い難いがの」
皆の意見が飛び交う中、ドレンは再びこう話す。
「でも、少し思いません? 例えばこの大地が何かの影響で消し飛ぶとかであれば、それを予め文献に記すというのは考え難い。――とすれば、人類が到底及ばないような敵の出現? でも、これほどの能力の偉人達や勇者……、それが簡単にその強敵に敗れるとは思いもよらないんだけど」
「確かに……」
「師匠……、家の地下にあるあの果てしない大地と関係があるんだろ?」
ドレンはベンに確信をつく質問をする。
「……」
「家の地下? それはなんだ」
サリエルはベンに尋ねる。
「あそこはまた別もんだ。今回の厄災とは全く関係ない」
「本当に?」
「ああ」
「そうなんだ……」
「いずれにしろ、隠者のほとりで何かしらの手掛かりが見つかれば、対策もとれるかもしれない」
「今までより、さらに慎重さが求められると言う訳ですわ」
「その通り」
ベンは呪文を唱える。
「皆、手の平を出してくれ」
皆はベンの言う通りに手の平を差し出した。
ベンは皆の手の平に特殊な魔法円を描いた。
「この魔法円は?」
「それは鍵だ」
「鍵?」
「そうだ。その魔法円と同じ紋様の魔法円を、あらかじめ魔法船の傍の浜辺に描いておいた。さらに同様の魔法円が俺の家にある」
「転送ゲート……」
「その通りだ。もし、これから何か不側の事態が起こった場合、すぐさま浜辺の魔法円へと戻ってくれ。そして、船の乗務員を連れ俺の家へ帰還してくれ」
「緊急避難用のゲートと言う訳ですな」
「万が一のためだ」
「ベンよ。そちを連れてきて正解であったわ」
「まあ、どんな敵であれ我は負けぬがのぅ」
だが次の日、調査隊はまさかの不測な事態に遭遇する事になる。
英雄7人 生存
執事ヨルヨル 生存
精鋭兵 18名 生存(12名負傷により船へと帰還)
―――――――――――――――――――――――――
「――獣人集落跡についた俺達は、そこで野営の準備をして一晩を明かす事になった」
「そこで襲われたんですか?」
「いや、そうではないんだ」
ドレンはテーブルに置かれた水を半分ほど飲んだ後「ふぅ」と、ため息をひとつついた。
獣人集落の跡地についた調査隊は夜の野営に備え、それぞれがテントや寝袋を用意する。
「ミルミル様、テントの準備ができました」
「ご苦労様、ヨルヨル」
「さすが王女様はちがうねー」
「あなたのテント豪華すぎではありません?」
男勢は全員寝袋を用意して、女性陣はテントを張る。その中でベンとシロクの寝袋は特殊であった。本来の寝袋は体を全体的に覆うタイプであるが、ベンとシロクの寝袋は防水性・防寒機能がついた分厚いスウェットに似たような物だった。
これは、外敵から襲われた際に、手足が自由に動かせるように作られたためである。
寝床を準備できた一同は、焚火の前で集合した後に食事を取りながら次の日の打ち合わせをしだした。食事はもちろん現地調達した魔物達である。ベンとドレンが毒持ちの魔物は判別し、皆は安全な魔物の肉だけを食べる。味は最高級食材に劣らずであるが、ミルミルは「食事のバランスが最悪ですわ」と、一人文句を言っていた。
「――で、ドレン話ってなんだ?」
「んー、つまり厄災ってなんなのかな……と思って」
「そりゃー、アレだろ。俺達が燃えるほどの強敵が出るんだ」
「いや、私が王宮で調べた太古の文献では『厄災始まりし時、全てが無に帰す』と書いてあった。それが、ただの強い敵とは思い難いがの」
皆の意見が飛び交う中、ドレンは再びこう話す。
「でも、少し思いません? 例えばこの大地が何かの影響で消し飛ぶとかであれば、それを予め文献に記すというのは考え難い。――とすれば、人類が到底及ばないような敵の出現? でも、これほどの能力の偉人達や勇者……、それが簡単にその強敵に敗れるとは思いもよらないんだけど」
「確かに……」
「師匠……、家の地下にあるあの果てしない大地と関係があるんだろ?」
ドレンはベンに確信をつく質問をする。
「……」
「家の地下? それはなんだ」
サリエルはベンに尋ねる。
「あそこはまた別もんだ。今回の厄災とは全く関係ない」
「本当に?」
「ああ」
「そうなんだ……」
「いずれにしろ、隠者のほとりで何かしらの手掛かりが見つかれば、対策もとれるかもしれない」
「今までより、さらに慎重さが求められると言う訳ですわ」
「その通り」
ベンは呪文を唱える。
「皆、手の平を出してくれ」
皆はベンの言う通りに手の平を差し出した。
ベンは皆の手の平に特殊な魔法円を描いた。
「この魔法円は?」
「それは鍵だ」
「鍵?」
「そうだ。その魔法円と同じ紋様の魔法円を、あらかじめ魔法船の傍の浜辺に描いておいた。さらに同様の魔法円が俺の家にある」
「転送ゲート……」
「その通りだ。もし、これから何か不側の事態が起こった場合、すぐさま浜辺の魔法円へと戻ってくれ。そして、船の乗務員を連れ俺の家へ帰還してくれ」
「緊急避難用のゲートと言う訳ですな」
「万が一のためだ」
「ベンよ。そちを連れてきて正解であったわ」
「まあ、どんな敵であれ我は負けぬがのぅ」
だが次の日、調査隊はまさかの不測な事態に遭遇する事になる。
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