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暗黒大陸
LV243 目指せ隠者のほとり
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ベンは負傷した兵士の手の平に小さな魔法円を描く。すると負傷兵の体は光に包まれ消えていく。
「簡易ゲートだ。今頃、船室で医療班に保護されているはずだ」
ベンのスキルその2、『簡易ゲート』
予めマーキングしていた場所に同魔法円を宿した自分や味方または物資を転送できるスキル。マーキングは複数個所に使用が可能。但し、魔法円を発動している間は常に微量の魔力を消費する。転送先はマーキングの場所に書いた魔法円の呪文列と体に書いた呪文列の同一箇所に転送される仕組みとなっている。
ベンのマーキング箇所はこれまでに50は超える。ベンはその50以上の魔法円を保つため常に魔力を消費し続けている。しかし、ベンはそれでも十分すぎる魔力量を体に蓄えているのだ。膨大な冒険知識と魔力量、これがベンを『国宝級冒険家』と言われる所以である。
尚も調査隊は休む事なく進む。
「私が、『予見』で見た景色では岩が歪に積み重なった高台に小さな湖があった。その周辺には七色に輝く果実のなった木々があった。わかるか? ベンよ」
「ああ、それは隠者のほとりだな。ここから南南東にある。その近くには元獣人の集落もある筈だ。集落跡のあるあの場所なら野営に適している」
「師匠は行った事が?」
「前に獣人の生体調査で少しだけだがな……」
ミルミルの予見の場所へ向かう調査隊は、その後も人知を超えた魔物と対峙しながらも、確実に歩を進めていった。
*黒の異獣《いじゅう》が現れた。
「師匠あれはなんの動物になるんだ?」
「わからん。ただ、奴らは群れで襲って来る!」
調査隊は知らず知らずのうちに『黒の異獣』という獣の縄張りへ足を踏み入れてしったのだ。
体長約2m、熊のように二足で上がり調査隊を威嚇するかのように太い前足を広げ、奇声をあげる異獣。目は全部で8つ、鼻中心に半円を描くようについたその眼は広範囲に渡って獲物を捉える事ができる。口元は狼に似ており、頑丈な牙と顎は岩をも砕く。
一匹の異獣が雄たけびを上げてからまもなく、周囲の木々が一斉に揺れだす。
「かなりの数が来るぞ」
ベンが言う。
「今度は私の番もありそうだ」
サリエルは手首をブラブラと動かし準備運動をする。
――とその直後、周囲の茂みをかき分け、異獣の群れが一斉に調査隊へ襲い掛かる。
「うっ、うわああぁ。来たぞーー!」
「おお、湧き上がるのぅーー!」
「猛るぜーー!」
畏怖する精鋭兵に相反して、明らかに嬉しそうな英雄達。
黒の異獣の数、およそ100。
「何処から集まってくるんだよ!」
英雄の中でもあまり戦闘が得意ではないドレンは一人たじたじである。
「はっはーー! エアースレーーブ」
シロクは躊躇なく異獣の群れへ飛び込み剣技を振るう。エアースレイブに真っ二つにされた異獣の後ろからさらに異獣が襲い掛かる。シロクを切り裂こうと異獣は左へ右へと鋭い爪を振り回す。
B級冒険者であれば一瞬でお陀仏の攻撃もシロクには通用しない。シロクは何体もの異獣に襲われながらも、平然とした顔でいなし難なく敵を一体ずつ葬っていく。
「キラーダンシング」
ピエロは踊る。
ピエロのキラーダンシングは獣の苦手な超音波を放つ、およそ19.5KHzで奏でられる踊りにピエロを囲む異獣達は、悲鳴にも似た声を上げ悶えた。
「キラーサークルジャグリング」
ピエロは間髪いれず、踊りながら敵を切り刻む。
一匹が一国の兵士1000人にも匹敵する異獣100匹は、7人の英雄の前では全く歯が立たず赤子同然であった。
「簡易ゲートだ。今頃、船室で医療班に保護されているはずだ」
ベンのスキルその2、『簡易ゲート』
予めマーキングしていた場所に同魔法円を宿した自分や味方または物資を転送できるスキル。マーキングは複数個所に使用が可能。但し、魔法円を発動している間は常に微量の魔力を消費する。転送先はマーキングの場所に書いた魔法円の呪文列と体に書いた呪文列の同一箇所に転送される仕組みとなっている。
ベンのマーキング箇所はこれまでに50は超える。ベンはその50以上の魔法円を保つため常に魔力を消費し続けている。しかし、ベンはそれでも十分すぎる魔力量を体に蓄えているのだ。膨大な冒険知識と魔力量、これがベンを『国宝級冒険家』と言われる所以である。
尚も調査隊は休む事なく進む。
「私が、『予見』で見た景色では岩が歪に積み重なった高台に小さな湖があった。その周辺には七色に輝く果実のなった木々があった。わかるか? ベンよ」
「ああ、それは隠者のほとりだな。ここから南南東にある。その近くには元獣人の集落もある筈だ。集落跡のあるあの場所なら野営に適している」
「師匠は行った事が?」
「前に獣人の生体調査で少しだけだがな……」
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*黒の異獣《いじゅう》が現れた。
「師匠あれはなんの動物になるんだ?」
「わからん。ただ、奴らは群れで襲って来る!」
調査隊は知らず知らずのうちに『黒の異獣』という獣の縄張りへ足を踏み入れてしったのだ。
体長約2m、熊のように二足で上がり調査隊を威嚇するかのように太い前足を広げ、奇声をあげる異獣。目は全部で8つ、鼻中心に半円を描くようについたその眼は広範囲に渡って獲物を捉える事ができる。口元は狼に似ており、頑丈な牙と顎は岩をも砕く。
一匹の異獣が雄たけびを上げてからまもなく、周囲の木々が一斉に揺れだす。
「かなりの数が来るぞ」
ベンが言う。
「今度は私の番もありそうだ」
サリエルは手首をブラブラと動かし準備運動をする。
――とその直後、周囲の茂みをかき分け、異獣の群れが一斉に調査隊へ襲い掛かる。
「うっ、うわああぁ。来たぞーー!」
「おお、湧き上がるのぅーー!」
「猛るぜーー!」
畏怖する精鋭兵に相反して、明らかに嬉しそうな英雄達。
黒の異獣の数、およそ100。
「何処から集まってくるんだよ!」
英雄の中でもあまり戦闘が得意ではないドレンは一人たじたじである。
「はっはーー! エアースレーーブ」
シロクは躊躇なく異獣の群れへ飛び込み剣技を振るう。エアースレイブに真っ二つにされた異獣の後ろからさらに異獣が襲い掛かる。シロクを切り裂こうと異獣は左へ右へと鋭い爪を振り回す。
B級冒険者であれば一瞬でお陀仏の攻撃もシロクには通用しない。シロクは何体もの異獣に襲われながらも、平然とした顔でいなし難なく敵を一体ずつ葬っていく。
「キラーダンシング」
ピエロは踊る。
ピエロのキラーダンシングは獣の苦手な超音波を放つ、およそ19.5KHzで奏でられる踊りにピエロを囲む異獣達は、悲鳴にも似た声を上げ悶えた。
「キラーサークルジャグリング」
ピエロは間髪いれず、踊りながら敵を切り刻む。
一匹が一国の兵士1000人にも匹敵する異獣100匹は、7人の英雄の前では全く歯が立たず赤子同然であった。
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