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暗黒大陸
LV233 集合
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モンペロが改装工事を始めて、一か月と6日。
ついに改装工事を終えたモンペロに久しぶりの面々が集まる。
「待たせたなお前等!」
ご機嫌な様子で話すジンの前には総勢13名の従業員が整列する。
フミヤ(肩にはメロが乗っているが従業員ではない)
モコ
ヤマダ
サイトウ
モグ男
その他、新人で厨房担当が四人、ホール担当が四人だ。
「リニューアルオープンはこれより二週間後、それまでに厨房担当とホール担当に分かれてそれぞれ研修を行なってもらう」
「はーい、ホール担当は私が教えるよー」
モコは手を挙げた。
「じゃあ、俺が厨房担当に指導を……」
フミヤは手を挙げる。
「お前は俺とだ」
ジンはフミヤに言った。
「え?」
「厨房はヤマダとサイトウで教えてやってくれ。新しい設備の使用方法はこの紙に書いてあるからな」
ジンは説明書をサイトウに渡した。
ジンはフミヤを連れ別室に入っていく。新しくできたモンペロは一・二階にホールがあり、別にジン用の別室と従業員用の更衣室兼休憩所が設けられている。今までよりモンペロは大きくなっている。ジンはモンペロの隣の土地も購入し、店舗を広げたのである。
ジンがフミヤを連れていった部屋はジン用の別室である。畳三畳ほどのジンの別室には二人用のテーブルとイス・簡易な調理場が設けられてあった。
「――で、できたのか?」
「できました」
「じゃあ、作ってみろ」
*ジンはスキルアイテムボックスを使用した。
「この中から好きな調味料と食材を使っていいぞ」
フミヤとジンが話しているのは、フミヤに与えられていた課題『新メニューの開発』の事である。
「オーナーもそのスキルを持ってるんだ」
「当たり前だ、冒険者にとっては必須のスキルだったからな」
「俺もそのスキル欲しいなー」
「お前には無理だ。とりあえず作ってみろ」
アイテムボックスのスキルは便利である。ボックス内に収納した物は時間の概念をなくす。つまり、食材が腐らないのである。未開の地や洞窟などに長期滞在する冒険者にとって、もっとも重要であるのが食料の確保。そのため、一流の冒険者はまずこのスキルの取得を目指す。習得方法は比較的簡単ではあるが、収納できるサイズは能力者の資質により大小がある。
このスキルは時空系魔法に近い位置取りとなり、魔法が全く使えないフミヤにとっては習得困難なスキルである。
フミヤはジンに促され調理場に立った。
「メロ、アレ出して」
「モキュ!」
メロはフミヤの肩から飛び降り、口から食材を出した。
「おお、グリッターバイソンの肉か」
「そうです!」
フミヤはグリッターバイソンの肉をレア焼きにし、アイテムボックスから取り出した三種の野草と一緒に皿に盛る。次に、千寿葱のみじん切りと唐辛の実を混ぜ合わせたものを甘くした醤油ベースのソースにからめ、ひと煮立ちさせたうえでレア焼きした肉にかけた。
「グリーターバイソンのピリ辛千寿葱ソースがけです」
できた料理をフミヤがテーブルに置くと、ジンがナイフで一口サイズに切り試食する。
「味はいいが、ソースの辛みで肉本来の味がぼやけている」
「結構試食したんだけどなぁ」
「次!」
続けて、フミヤは料理をつくる。
ハッピクジラの煮込みシチュー
アボガンドとしゃくりトマトのワカモーレ
アロマイルフィッシュの魚スープ・イイチコトリュフを添えて
フミヤが考案した新メニューは4品だった。
全てを試食したジンはフミヤと協議を重ねていく。
「シチューはうまいがクジラの塩分が強すぎる。塩抜きしてからだな」
「わかりました」
「ワカモーレは逆に風味が弱い、もう少し何かを足そう。それと、カリカリに揚げたパンを薄切りにして一緒に出すのはどうだ?」
「それいいですね!」
「アロマイルフィッシュ……、なんだこの名前は?」
「いや、そんな料理名が流行っているような気がして」
「ダサい! 料理名却下だ」
「仕入れはどうする?」
「グリッターバイソンとアボガンドは、イナックのトンズさんにお願いして定期的に輸送してもらえるよう契約してきました。しゃくりトマトはこの辺りでも手に入ります。ハッピグジラは独自のルート(ネレウス)があります」
「よし、それは大丈夫だな。じゃあ、オープンまでの二週間で新メニューを完璧に仕上げるぞ」
「うっす!」
そして、二週間後『モンペロ』はリニューアルオープンする。
ついに改装工事を終えたモンペロに久しぶりの面々が集まる。
「待たせたなお前等!」
ご機嫌な様子で話すジンの前には総勢13名の従業員が整列する。
フミヤ(肩にはメロが乗っているが従業員ではない)
モコ
ヤマダ
サイトウ
モグ男
その他、新人で厨房担当が四人、ホール担当が四人だ。
「リニューアルオープンはこれより二週間後、それまでに厨房担当とホール担当に分かれてそれぞれ研修を行なってもらう」
「はーい、ホール担当は私が教えるよー」
モコは手を挙げた。
「じゃあ、俺が厨房担当に指導を……」
フミヤは手を挙げる。
「お前は俺とだ」
ジンはフミヤに言った。
「え?」
「厨房はヤマダとサイトウで教えてやってくれ。新しい設備の使用方法はこの紙に書いてあるからな」
ジンは説明書をサイトウに渡した。
ジンはフミヤを連れ別室に入っていく。新しくできたモンペロは一・二階にホールがあり、別にジン用の別室と従業員用の更衣室兼休憩所が設けられている。今までよりモンペロは大きくなっている。ジンはモンペロの隣の土地も購入し、店舗を広げたのである。
ジンがフミヤを連れていった部屋はジン用の別室である。畳三畳ほどのジンの別室には二人用のテーブルとイス・簡易な調理場が設けられてあった。
「――で、できたのか?」
「できました」
「じゃあ、作ってみろ」
*ジンはスキルアイテムボックスを使用した。
「この中から好きな調味料と食材を使っていいぞ」
フミヤとジンが話しているのは、フミヤに与えられていた課題『新メニューの開発』の事である。
「オーナーもそのスキルを持ってるんだ」
「当たり前だ、冒険者にとっては必須のスキルだったからな」
「俺もそのスキル欲しいなー」
「お前には無理だ。とりあえず作ってみろ」
アイテムボックスのスキルは便利である。ボックス内に収納した物は時間の概念をなくす。つまり、食材が腐らないのである。未開の地や洞窟などに長期滞在する冒険者にとって、もっとも重要であるのが食料の確保。そのため、一流の冒険者はまずこのスキルの取得を目指す。習得方法は比較的簡単ではあるが、収納できるサイズは能力者の資質により大小がある。
このスキルは時空系魔法に近い位置取りとなり、魔法が全く使えないフミヤにとっては習得困難なスキルである。
フミヤはジンに促され調理場に立った。
「メロ、アレ出して」
「モキュ!」
メロはフミヤの肩から飛び降り、口から食材を出した。
「おお、グリッターバイソンの肉か」
「そうです!」
フミヤはグリッターバイソンの肉をレア焼きにし、アイテムボックスから取り出した三種の野草と一緒に皿に盛る。次に、千寿葱のみじん切りと唐辛の実を混ぜ合わせたものを甘くした醤油ベースのソースにからめ、ひと煮立ちさせたうえでレア焼きした肉にかけた。
「グリーターバイソンのピリ辛千寿葱ソースがけです」
できた料理をフミヤがテーブルに置くと、ジンがナイフで一口サイズに切り試食する。
「味はいいが、ソースの辛みで肉本来の味がぼやけている」
「結構試食したんだけどなぁ」
「次!」
続けて、フミヤは料理をつくる。
ハッピクジラの煮込みシチュー
アボガンドとしゃくりトマトのワカモーレ
アロマイルフィッシュの魚スープ・イイチコトリュフを添えて
フミヤが考案した新メニューは4品だった。
全てを試食したジンはフミヤと協議を重ねていく。
「シチューはうまいがクジラの塩分が強すぎる。塩抜きしてからだな」
「わかりました」
「ワカモーレは逆に風味が弱い、もう少し何かを足そう。それと、カリカリに揚げたパンを薄切りにして一緒に出すのはどうだ?」
「それいいですね!」
「アロマイルフィッシュ……、なんだこの名前は?」
「いや、そんな料理名が流行っているような気がして」
「ダサい! 料理名却下だ」
「仕入れはどうする?」
「グリッターバイソンとアボガンドは、イナックのトンズさんにお願いして定期的に輸送してもらえるよう契約してきました。しゃくりトマトはこの辺りでも手に入ります。ハッピグジラは独自のルート(ネレウス)があります」
「よし、それは大丈夫だな。じゃあ、オープンまでの二週間で新メニューを完璧に仕上げるぞ」
「うっす!」
そして、二週間後『モンペロ』はリニューアルオープンする。
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