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トーレムグレイグの日常
LV222 フミヤとモグ男①
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今や定番の乗り物となったマロッコに乗り、フミヤとモグ男はイナックへ向かう。なぜ、フミヤがマロッコを使えているのか? それは、ヴィオラが魔石に魔力を溜めてくれたおかげである。魔力をしこたまため込んだその魔石を制御盤に置く事で、メロがいなくても魔力の供給が可能になり、フミヤでもマロッコを使用できるようになったのだ。(LV125話参照)
それはそうと、フミヤの後ろに座るモグ男が珍しく大人しい。
「お、おい。フミヤ……ちょっと待った」
「またかよ! これで5回目だぞ」
フミヤがマロッコを止めると、モグ男は近くに合った草むらへダイブする。
エレエレエレ……乗り物酔いである。
フミヤは後ろからモグ男に近付き、背中をさする。
「うー。あかん……しんどいわ。このまま行くと町に着くころには死んでしまうかもしれん」
「まあ、まだ日にちはある事だしボチボチ行こう」
今日のフミヤは珍しくモグ男に優しい。
それでも頑張った方である。フミヤ達がトーレムグレイグを出発して早三時間、モグ男が乗り物酔いと戦いながらも、北西部にある国境まであと半分の距離まで進んでいたからだ。
「あと三時間くらいで国境に着くと思う。とりあえず今日はそこまで頑張ろう」
「三時間もあるんかいな……だんだん嫌になってきたな」
「頑張れモグ男!」
フミヤはマロッコに乗る。
「んーー! んーー!」
「ん?」
フミヤは後ろを振り向くと、巨大なミミズがモグ男の頭をパクリと咥えて離さないでいた。
*大口ミミズが現れた。
「モゴモゴ……バブベデーー!(助けて)」
*モグ男は仲間を呼んでいる。
「おいおい」
フミヤは大口ミミズを刺激しないようにじわじわと歩み寄る。
「あっ!」
*大口ミミズは逃げ出した。
大口ミミズはジッとフミヤの方を見つめると、危険を察知したかのようにモグ男を加えたまま土の中へ潜ってしまう。
「ああああああああああああ」
*フミヤは叫んだ。
一人取り残され、悩むフミヤ。だが、悩んでも特に良い答えが出てこない。
「かくなるうえは……」
フミヤの目が赤く染まる。
*フミヤは狂乱の戦神を発動した。
「うおおおおおおおお」
フミヤは猛烈な勢いで素手により地面を掘りだす。
「うらららららららら」
フミヤは辺り一帯を無造作に掘る――が、モグ男を発見できない。焦るフミヤは更に範囲を広げ掘る。掘る。掘る。
*フミヤは発掘のスキルLV1を習得した。
そうしているうちに、フミヤの発掘スキルの熟練度は瞬く間に貯まっていき、
*フミヤの発掘スキルがLV2に上がった。
*フミヤの発掘スキルがLV3に上がった。
*フミヤの発掘スキルがLV4に上がった。
「まだまだーー」
地面を掘る事、約15分。フミヤ達が元いた場所付近の数十メートル範囲は穴だらけとなっていた。
*フミヤの発掘スキルがLV5に上がった。
フミヤは一旦地上に戻る。
「うーん、まずいぞ。見つからない……」
「ヘイ、ステータス! 何かスキルはないのかよ?」
フミヤはこれまで急速なスキル習得により、自分自身で全ての能力を把握していなかった。というより、なんとなく今までうまくいく事が多かったため、把握しようともしていなかった。
「……」
「あった! 魔物探知だ」
*フミヤは魔物探知LV10を使用した。
「ああああああああああああああーー頭痛!」
フミヤは頭を抱える。
「探知多すぎ、頭割れるって! もっと少なく少なく……」
フミヤの魔物探索LVは最大。よって探索可能範囲は100km以上で、全ての情報量を把握するのに今のフミヤでは脳がついてこなった。人間では到底処理できない情報量である。
「範囲を絞って……、いた! 50m先、南南東の深さ10mに反応二つ」
フミヤは見つけた魔物目掛けて突撃。
ビンゴ! フミヤは見事、モグ男を捕獲した大口ミミズを発見する。そして、大口ミミズの背後に辿り着いたフミヤは大口ミミズの後方部を掴むと、勢いそのままに掘り進んだ穴から地上へ戻る。
「どりゃー―」
地上へ戻ったフミヤは空高く大口ミミズを放り投げた。投げられた大口ミミズが驚きのあまり口をパックリ開ると、咥えられていたモグ男も空へと舞う。
「いやーーーーん!」
女性のように叫ぶモグ男。
フミヤはピョンと飛び上がると、落下してきたモグ男を見事にキャッチ。大口ミミズは受け身をとれる筈がなく、地面に叩きつけられた。
*大口ミミズはピクピクしている。
「あー、死ぬか思ったわ。――っていうか、もっと早く助けんかーい」
*モグ男はフミヤにツッコミを入れた。
*フミヤはイラっとした。
(こっちの気もしらないで……)
ちょっと不満があるものの、モグ男が無事で良かったと思うフミヤであった。
それはそうと、フミヤの後ろに座るモグ男が珍しく大人しい。
「お、おい。フミヤ……ちょっと待った」
「またかよ! これで5回目だぞ」
フミヤがマロッコを止めると、モグ男は近くに合った草むらへダイブする。
エレエレエレ……乗り物酔いである。
フミヤは後ろからモグ男に近付き、背中をさする。
「うー。あかん……しんどいわ。このまま行くと町に着くころには死んでしまうかもしれん」
「まあ、まだ日にちはある事だしボチボチ行こう」
今日のフミヤは珍しくモグ男に優しい。
それでも頑張った方である。フミヤ達がトーレムグレイグを出発して早三時間、モグ男が乗り物酔いと戦いながらも、北西部にある国境まであと半分の距離まで進んでいたからだ。
「あと三時間くらいで国境に着くと思う。とりあえず今日はそこまで頑張ろう」
「三時間もあるんかいな……だんだん嫌になってきたな」
「頑張れモグ男!」
フミヤはマロッコに乗る。
「んーー! んーー!」
「ん?」
フミヤは後ろを振り向くと、巨大なミミズがモグ男の頭をパクリと咥えて離さないでいた。
*大口ミミズが現れた。
「モゴモゴ……バブベデーー!(助けて)」
*モグ男は仲間を呼んでいる。
「おいおい」
フミヤは大口ミミズを刺激しないようにじわじわと歩み寄る。
「あっ!」
*大口ミミズは逃げ出した。
大口ミミズはジッとフミヤの方を見つめると、危険を察知したかのようにモグ男を加えたまま土の中へ潜ってしまう。
「ああああああああああああ」
*フミヤは叫んだ。
一人取り残され、悩むフミヤ。だが、悩んでも特に良い答えが出てこない。
「かくなるうえは……」
フミヤの目が赤く染まる。
*フミヤは狂乱の戦神を発動した。
「うおおおおおおおお」
フミヤは猛烈な勢いで素手により地面を掘りだす。
「うらららららららら」
フミヤは辺り一帯を無造作に掘る――が、モグ男を発見できない。焦るフミヤは更に範囲を広げ掘る。掘る。掘る。
*フミヤは発掘のスキルLV1を習得した。
そうしているうちに、フミヤの発掘スキルの熟練度は瞬く間に貯まっていき、
*フミヤの発掘スキルがLV2に上がった。
*フミヤの発掘スキルがLV3に上がった。
*フミヤの発掘スキルがLV4に上がった。
「まだまだーー」
地面を掘る事、約15分。フミヤ達が元いた場所付近の数十メートル範囲は穴だらけとなっていた。
*フミヤの発掘スキルがLV5に上がった。
フミヤは一旦地上に戻る。
「うーん、まずいぞ。見つからない……」
「ヘイ、ステータス! 何かスキルはないのかよ?」
フミヤはこれまで急速なスキル習得により、自分自身で全ての能力を把握していなかった。というより、なんとなく今までうまくいく事が多かったため、把握しようともしていなかった。
「……」
「あった! 魔物探知だ」
*フミヤは魔物探知LV10を使用した。
「ああああああああああああああーー頭痛!」
フミヤは頭を抱える。
「探知多すぎ、頭割れるって! もっと少なく少なく……」
フミヤの魔物探索LVは最大。よって探索可能範囲は100km以上で、全ての情報量を把握するのに今のフミヤでは脳がついてこなった。人間では到底処理できない情報量である。
「範囲を絞って……、いた! 50m先、南南東の深さ10mに反応二つ」
フミヤは見つけた魔物目掛けて突撃。
ビンゴ! フミヤは見事、モグ男を捕獲した大口ミミズを発見する。そして、大口ミミズの背後に辿り着いたフミヤは大口ミミズの後方部を掴むと、勢いそのままに掘り進んだ穴から地上へ戻る。
「どりゃー―」
地上へ戻ったフミヤは空高く大口ミミズを放り投げた。投げられた大口ミミズが驚きのあまり口をパックリ開ると、咥えられていたモグ男も空へと舞う。
「いやーーーーん!」
女性のように叫ぶモグ男。
フミヤはピョンと飛び上がると、落下してきたモグ男を見事にキャッチ。大口ミミズは受け身をとれる筈がなく、地面に叩きつけられた。
*大口ミミズはピクピクしている。
「あー、死ぬか思ったわ。――っていうか、もっと早く助けんかーい」
*モグ男はフミヤにツッコミを入れた。
*フミヤはイラっとした。
(こっちの気もしらないで……)
ちょっと不満があるものの、モグ男が無事で良かったと思うフミヤであった。
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