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死者の国 冥界
LV213 勇者闘気
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勇者闘気という肉体強化スキルは、勇者のみが使える専用スキルであると国宝『勇気の書』に記され、勇者の試練所『導きの塔』での鍛錬を経て、習得可能になるスキルである。その習得は困難を極め、タケルも習得に三ヵ月もの時間を要した。体力と魔力を何度も何度も極限まで削り習得したスキルに、タケルは絶対の自信を持っていた。
ヴィオラも肉体強化スキルを持っている。雷系最上位スキル『雷帝降臨』である。雷系魔法を極めし者のみが習得できるスキルで、体全身に雷を纏う絶対防御スキルで触れた者は皆、その雷の餌食となる。
さらに、体内に流れる電流が細胞を活性化させ、筋肉の収縮・瞬発力等を向上させる。簡単に言えばヴィオラの基本ステータスが飛躍的に上昇するのである。
ヴィオラの『雷帝降臨』には欠点がある。限界値を越えた細胞の活性化による筋肉の断裂、使用時の負荷による心肺機能の低下などである。よって、ヴィオラがこのスキルを使用できる時間は20分程度が限界なのだ。
それに対して『勇者闘気』には負荷がない。勇者が持つべくして持つスキルだからである。(体力の限界はあるのだが……)
「なぜ、最初から使わなかった?」と、ブリズエラは不満げに言う。
「強すぎるんですよ。手加減ができなくなる」
「じゃあ、その力を見せてみろーー!」
少しイラだった様子のブリズエラはタケルへ襲い掛かる。
(右・左・上・左下……)
タケルは即座にブリズエラの斬撃の軌道を読み涼しい顔で躱す。
「გამოდი ხმალი」
左手にもう一本の魔剣を召喚したブリズエラは双剣で攻撃を更に加速させていく。――が、それでもタケルには一撃も当たらない。
「これが、勇者の力なのか……素晴らしい」
ブリズエラは強者との闘いに心震え笑う。それとは逆にタケルは険しい顔を浮かる。
ブリズエラの左方向から振り下ろされた剣を右手の剣で受けたタケルは吠える。
「五月蠅い、魔人!」
ブリズエラは受け止められた左手の剣に力を込めながら、さらに右方向から横に一閃。
「バカッ、ブリズエラ! タケルを殺す気か‼」
フミヤの叫び声はもはや二人には届いていない。
決まると思われたブリズエラの右の一振り……タケルは闘気を纏った左手一本でで摘まむように受け止めた。
「おいおい、マジかよ!」
驚くブリズエラ。その刹那タケルの剣がブリズエラの胸元辺りに深く突き刺さった。
「おおお……がっ」
思わず苦痛の表情を浮かべるブリズエラ。
「殺す、殺す、殺す……」
タケルはぶつぶつと言う。
「ブリズエラ‼」
フミヤとヴィオラは叫ぶ。
「あのタケルって子、少し様子がおかしいよ」
「イルイルの言う通りじゃ……しかもあの闘気、徐々に澱んでいっておる」
ラオ老の言うように、タケルの黄金の闘気は次第に黒みを帯びていく。
*神薙は着眼局の神力を使用した。
「タケル殿はどうやら呪われているようです!」
フミヤ「えっ?」
ラオ老「なんじゃと!」
タケルはブリズエラに刺さったままの剣に闘気を込めた一撃を放つ。
「剣技、聖光一突《せいこういっとつ》」
「がああああーーーーぁ!」
剣から凄まじい闘気の塊が放出され、ブリズエラは数十メートル先まで吹き飛んだ。倒れたブリズエラの胸元には直径30㎝程の穴が開いていた。
ブリズエラは、むくっと起き上がり魔力を練る。
*ブリズエラの魔力がどんどん膨らんでいく。
「もうやめろって! お前等、ヴィオラ二人を止めた方が……」
フミヤは横に隣にいるヴィオラの方を見た。
ヴィオラはブリズエラとタケルの方を見ながらブツブツと独り言を言っていた。
「こうかな?」
「えええええええええ」
ヴィオラは金色に輝く闘気を体に纏わせる。
*ヴィオラは勇者闘気LV1を習得した。
*ヴィオラはセンスの塊の称号を手に入れた。
「フミヤ、できちゃった」
嬉しそうに微笑むヴィオラ。
「あ……そう、良かったね……」
*フミヤは目を見開き驚いている。 ……つづく
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
着眼局 状態異常を発見する神力
センスの塊 スキルを取得しやすくなる称号
ヴィオラも肉体強化スキルを持っている。雷系最上位スキル『雷帝降臨』である。雷系魔法を極めし者のみが習得できるスキルで、体全身に雷を纏う絶対防御スキルで触れた者は皆、その雷の餌食となる。
さらに、体内に流れる電流が細胞を活性化させ、筋肉の収縮・瞬発力等を向上させる。簡単に言えばヴィオラの基本ステータスが飛躍的に上昇するのである。
ヴィオラの『雷帝降臨』には欠点がある。限界値を越えた細胞の活性化による筋肉の断裂、使用時の負荷による心肺機能の低下などである。よって、ヴィオラがこのスキルを使用できる時間は20分程度が限界なのだ。
それに対して『勇者闘気』には負荷がない。勇者が持つべくして持つスキルだからである。(体力の限界はあるのだが……)
「なぜ、最初から使わなかった?」と、ブリズエラは不満げに言う。
「強すぎるんですよ。手加減ができなくなる」
「じゃあ、その力を見せてみろーー!」
少しイラだった様子のブリズエラはタケルへ襲い掛かる。
(右・左・上・左下……)
タケルは即座にブリズエラの斬撃の軌道を読み涼しい顔で躱す。
「გამოდი ხმალი」
左手にもう一本の魔剣を召喚したブリズエラは双剣で攻撃を更に加速させていく。――が、それでもタケルには一撃も当たらない。
「これが、勇者の力なのか……素晴らしい」
ブリズエラは強者との闘いに心震え笑う。それとは逆にタケルは険しい顔を浮かる。
ブリズエラの左方向から振り下ろされた剣を右手の剣で受けたタケルは吠える。
「五月蠅い、魔人!」
ブリズエラは受け止められた左手の剣に力を込めながら、さらに右方向から横に一閃。
「バカッ、ブリズエラ! タケルを殺す気か‼」
フミヤの叫び声はもはや二人には届いていない。
決まると思われたブリズエラの右の一振り……タケルは闘気を纏った左手一本でで摘まむように受け止めた。
「おいおい、マジかよ!」
驚くブリズエラ。その刹那タケルの剣がブリズエラの胸元辺りに深く突き刺さった。
「おおお……がっ」
思わず苦痛の表情を浮かべるブリズエラ。
「殺す、殺す、殺す……」
タケルはぶつぶつと言う。
「ブリズエラ‼」
フミヤとヴィオラは叫ぶ。
「あのタケルって子、少し様子がおかしいよ」
「イルイルの言う通りじゃ……しかもあの闘気、徐々に澱んでいっておる」
ラオ老の言うように、タケルの黄金の闘気は次第に黒みを帯びていく。
*神薙は着眼局の神力を使用した。
「タケル殿はどうやら呪われているようです!」
フミヤ「えっ?」
ラオ老「なんじゃと!」
タケルはブリズエラに刺さったままの剣に闘気を込めた一撃を放つ。
「剣技、聖光一突《せいこういっとつ》」
「がああああーーーーぁ!」
剣から凄まじい闘気の塊が放出され、ブリズエラは数十メートル先まで吹き飛んだ。倒れたブリズエラの胸元には直径30㎝程の穴が開いていた。
ブリズエラは、むくっと起き上がり魔力を練る。
*ブリズエラの魔力がどんどん膨らんでいく。
「もうやめろって! お前等、ヴィオラ二人を止めた方が……」
フミヤは横に隣にいるヴィオラの方を見た。
ヴィオラはブリズエラとタケルの方を見ながらブツブツと独り言を言っていた。
「こうかな?」
「えええええええええ」
ヴィオラは金色に輝く闘気を体に纏わせる。
*ヴィオラは勇者闘気LV1を習得した。
*ヴィオラはセンスの塊の称号を手に入れた。
「フミヤ、できちゃった」
嬉しそうに微笑むヴィオラ。
「あ……そう、良かったね……」
*フミヤは目を見開き驚いている。 ……つづく
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センスの塊 スキルを取得しやすくなる称号
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