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死者の国 冥界

LV212 転生勇者VS魔王

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 両者が激しくぶつかり合う衝撃波がフミヤ達の元にも届く。

「魔力はブリズエラの方が上のようだね」

「だが、腕力は少しタケルが上かのう」

 イルイルとラオ老が二人の力量を即座に分析しようとしていた。

「二人ともまだ、遊んでるのね」

「いやいや、ヴィオラ。あれ、ほぼ本気だぞ……たぶん」

 タケルとブリズエラの強さを遥かに凌ぐヴィオラは二人の本気がわかっていなかった。ヴィオラはこういうところに鈍感である。


 徐々にタケルの剣がブリズエラの剣を押さえ込んでいるように見える。優位を感じるタケルはニヤッと笑う。

 わずかにブリズエラの口が動く。聞き取れない程に小さく呟いた言葉はヴィオラが最も得意とする雷系魔法の「ライトニング」だった。
 直後、タケルの頭上に稲妻が落ちる。タケルの周辺には黒煙が立ち込め焦げ臭い匂いが漂う。

「グ……ハッ」
 不意打ちを喰らったタケルは一瞬手の力が緩む。ブリズエラは、すかさず剣を押し返した。

「ヴィオラさんから学ばさせてもらった魔法だ。もっと喰らうがいい」

 *ブリズエラはライトニングを唱えた。
 *ブリズエラはライトニングを唱えた。
 *ブリズエラはライトニングを唱えた。
 *ブリズエラはライトニングを唱えた。

 ブリズエラの魔法が幾度どなくタケルへ降りかかる。

 ブリズエラは黒煙に包まれるタケルの状態を認識できないでいたが、明らかに力が弱まっている事に気付き、押し返す剣にさらなる力を込める。

 ガィ――ン

 弾かれたタケルの剣が宙に舞う。そのまま落下した剣は回転しながら近くの地面に突き刺さった。

 好機とばかりにブリズエラは大きく振りかぶった剣でタケルに斬りかかった。

「なに!」
 しかし、黒煙より姿を現したタケルを見てブリズエラは驚いた。

 タケルの周囲に黄金色の闘気が立ち込める。連続して放たれた雷魔法はタケルの闘気で打ち消されていたのだった。

 ブリズエラの剣を左手でいなしたタケルは、右拳に力を込める。繰り出した右拳はブリズエラの左脇腹に命中し、ブリズエラを1mほど後ろに退かせた。

「勇者闘気……魔法程度なら打ち消してしまう勇者用スキルです」
 タケルはゆっくりと歩き、地面に落ちた剣を拾い再度構えた。

「さらに言うと、この闘気は剣にも纏《まと》えます」
 タケルは体に纏った闘気を剣先まで伸ばす。

「なるほど、俺の*魔王の装束に近いものがあるな」

 二人は再度、剣を構え対峙する。

「勇者専用の勇者闘気……そんなものがあるんだ」
 フミヤはヴィオラの方を見る。

「知らなかった……」
 どうやらヴィオラも知らなかったようだ。

「知らんのかーい!」

 *フミヤはヴィオラにツッコミを入れた。           ……つづく

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*魔王の装束 魔王は自分の魔力で具現化した服で身を包んでいる。装束の魔力を下回る攻撃は全て無効化される。魔王の装束は、魔王の格や強さにより異なる。
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