最強勇者の夫～陰であなたを支えます。

死者の国 冥界

LV210 強靭な体力

　フミヤ達はジンの手料理に舌鼓を打っていた。店は次第に忙しくなりフミヤ達を構っている余裕がなくなっていく。サイトウが接客のヘルプのためホールに出る。
　早々にフミヤ達に気付いたサイトウはフミヤ達に声を掛けた。

「フミヤさんお帰りなさい。戻って来られたんですね」

「おお、サイトウ久しぶり！　ただいま」

「えっ、フミヤさんっスか？」
　サイトウの言葉でヤマダが厨房からひょっこりと顔を出した。

「ヤマダも久しぶりだな！」

「本当にフミヤさんだ。お帰りッス！　冥界は楽しかったっスか？」

「楽しい訳ないだろ！」

　久しぶりにフミヤの顔を見れてヤマダとサイトウ嬉しそうだ。

「おい、ヤマダ。今はそれどころじゃねえ、早くこっちを手伝え！」
　ジンが厨房内で声を上げる。

「はいっス！　じゃあフミヤさん後で」
　ヤマダは再び調理に戻った。

「モコ――！　ビアおかわり」
　フミヤは陽気な声で言う。

　*ビアも入り次第に盛り上がっていくフミヤ一行。

「隊長！　私、魔力を全開放したいであります」
「やめろ、ブリズエラ。店が吹っ飛ぶだろ」

　＊フミヤはブリズエラに絡まれている。
　
「メロ殿、神仏というものはあらゆる者に加護を与え私達をお守りしてくださるのです。そして信仰とはそれぞれが拝める神仏が違い…………」
「モギュギュ」
　
　＊メロは神薙に絡まれている。
　
　その中で一人だけ浮かない顔をしているタケル。
「う……」

（なぜなんだ、僕は異世界から来たこの世界を救うために来た勇者ではないのか？
　特別な存在だろう？　この人達の強さはなんだ？　私は脇役なのか？　何故僕はこの世界に飛ばされてきたのか？　否……　否……）

　自分の不甲斐なさにタケルは悩んでいたのだ。


「フミヤ－－！」

「ヴィオラーー」

　フミヤ達の帰還を聞いたヴィオラがイルイルとラオ老を連れ店にやってきた。

「まずい、フミヤさん。早くパワーセーブを解除してください」
　ブリズエラは慌ててフミヤに声を掛ける。

「あっ」

　ベキバキバキョ

　ヴィオラとフミヤは熱い抱擁と交わす……と同時にフミヤの全身の骨が砕ける音がする。

　＊ヴィオラの攻撃。
　＊フミヤは痛恨のダメージを受けた。
　＊フミヤはピクピクしている。

「あ――フミヤさーん」
　ブリズエラは必死にヴィオラを引き剥がそうとする。

　＊ヴィオラは我を忘れている。

　目を閉じフミヤの温もりを感じるように抱きつくヴィオラは、フミヤが死にかけている事に気付いていなかった。

「ヴィオラさん、ヴィオラさん！　フミヤさんが泡を吹いてます」

「モキュモキュ」

　＊ヴィオラは我を忘れている。

「久しぶりのフミヤの温もり。フミヤ……会いたかった」

「ヴィ□ラさん、※▲〇※▽」
　もはや、ブリズエラの声はヴィオラに届いていない。

「ああ、フミヤの温もり……。……がなくなって」

「あっ？」
　次第にフミヤの体がひんやりとしていく。

「フミヤぁあああああああーー！」

　＊ヴィオラはメガヒールを唱えた。

　＊フミヤの体はまだ回復しない。
　＊フミヤはピクピクしている。

「フミヤーーーー！」

「メガヒール、メガヒール、メガヒール、メガヒール……」

　＊ヴィオラはメガヒールを連射した。
　
　＊フミヤの体力は全回復した。

　なんとか息を吹き返したフミヤ。

　フミヤはいつの間にかヴィオラのメガヒール一回だけでは完全回復できぬほどの強靭な体力の持ち主になっていたのだった。

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*ビア　フミヤの世界でのビール