最強勇者の夫～陰であなたを支えます。

死者の国 冥界

LV192 フミヤパーティー VS 7匹の餓鬼

「すごいなメロ、大きさを変えれるようになったんだな」
　
　＊フミヤはメロをなでなでしている。

「モキューー」
　メロはフミヤに撫でられ嬉しそうだ。

「僕も触っていいですか？」
　タケルはもじもじしながらフミヤに聞く。

「ああ、いいよ」

　フミヤの快諾を得たタケルは、すぐさま近付き必要以上にメロをなでまわす。タケルは随分前からメロに触りたいと思っていたらしい。


「おい、お前等……」

　7匹の屈強そうな餓鬼に囲まれたフミヤ達は驚く様子もなく話をしている。いつもと違う死者にすこし困惑している餓鬼達。

「無視するんじゃねー！」
　フミヤの側面に立っていた１匹の餓鬼が業を煮やし、手に持っていた太い金棒をフミヤの頭へ振り下ろす。

「フミヤ殿、危ない」
　神薙の呼びかけも空しく、餓鬼の攻撃はフミヤの頭部に直撃し「ゴキン」と、鈍い音がした。

「ん？」
　フミヤは横を見る。

「あわわわわ……」
　頭の形に曲がった金棒を見て餓鬼はたじろぐ。精神体の強さは精神の強さに比例する。鋼の精神力を持つフミヤの精神体もまた鋼のように硬かった。

「フミヤさん、コイツ等やってしまいましょうよ」
　戦闘狂のブリズエラはウズウズしている。

「そうだな。コイツら弱そうだし……」
　敵が自分より弱いと知った時のフミヤは積極的である。

　＊神薙は『隠匿』の神力を発動した。
　神薙が正四角形の白い結界を覆った瞬間、餓鬼達は神薙を見失いキョロキョロと探す。

　神薙は言う。
「私はこの中に隠れておりますゆえ……」


「モキューーーー！」

　＊メロは巨大化した。

　メロは餓鬼の2倍程の大きさになり、拳を左右に振り回す。

「ギャッ」

「グエッ」

「ギャイン」

　メロは3匹の餓鬼を瞬殺した。

「料理人パーンチ！」
　フミヤは頭を殴られた餓鬼を一撃で倒す。

「ウ……ウソだろ？」
「あっ」
　そして、ブリズエラはすっかり委縮しあとずさりする2匹の餓鬼に後ろから近寄りそっと肩を組んだ。

「俺の相手はお前達だな」

「ひえぇぇ！」

　2匹の餓鬼は必死にブリズエラの手を払うとその場で土下座し許しを乞う。

「すいませんでした。許してください」

　ブリズエラはつまらなさそうに顔をムッとさせた。
「はあ、話にならん。もっと強いヤツいないの？」

　それを見ていた最後の1匹は、ブリズエラが2匹の餓鬼に気を取られている隙をつき、一目散に逃げだした。

　だが、それを読んでいたタケルが行く手を塞ぐ。

「お前の相手は僕だ！」

　両手で剣を構えたタケルがじりじりと餓鬼に近付いて行く。

「クソッ！　やぶれかぶれだーー」
　餓鬼は「逃げる事はできない」と、意を決しタケルに襲い掛かる。

「新聖乱撃斬《しんせいらんげきざん》」
　タケルが剣技を使う。

「うおおおおおおぉぉ！」
「おおおおおおおおおぉぉ！！」

　両者が激しくぶつかる。


「お？」

　＊タケルは餓鬼に致命的な攻撃を受けた。
　＊タケルはピクピクしている。

　＊餓鬼は驚き戸惑っている。

　精神体の強さは精神に比例する。タケルは精神的に弱かった……。

　タケル敗北。
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神力　隠匿……白い結界に包まれた者は気配や姿を隠す事ができる。多少の防御壁ともなる。