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勇者凱旋

LV175 早朝の出来事(前)

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 *モグ男はブリズエラを棒でツンツンしている。

 夜中から朝方にかけ、台風の影響により大雨となった。一晩中地面に横たわっていたブリズエラの体はビショビショに濡れていた。

 どうやら台風も直撃とはならず進路を変えて通り過ぎて行ったようで、早朝になると周辺には雲の隙間から爽やかな日が差していた。


「はうっ」

 *ブリズエラは目を覚ました。

 目を覚ましたブリズエラは辺りを見渡し考える。

「何が起こったんだ?」

 ブリズエラは目を覚ましたと同時に、飛び退き距離を置き警戒するモグ男に
話し掛けた。

「何故俺はここに倒れているんだ?」

 するとモグ男は
「そんなん知らんがな!」
と、答える。

「……」

 互いに沈黙。

「まあ、良い。それより勇者だ」

 ブリズエラは徐に立ち上がり、再びフミヤの家の扉の前に行く。

「ん?」

 そこには一人の男の姿が……どうやら先客のようだ。

「おい、お前そこをどけろ」
 ブリズエラは扉の前に立つ男に向かい強い口調で言う。

「なんだお主、ワシが先に待っておる。後にしろ」
 扉の前にいる男は負けじと言い返す。

「どうやら死にたいらしいな」
 ブリズエラは殺気を放つ。

「身の程知らずが、痛い目を見るぞ」
 対抗する男。

「名を聞こうか?」
とブリズエラが問うと、その男は「ゼウス」と答えた。

 そう扉の前で待機する男は人間の姿に扮した是渦であった。

「ほう、神か? じゃあ敵だな」
 ブリズエラは物怖じせず、ゼウスに対して攻撃を仕掛けた。

 ブリズエラはゼウスに凍てつく息を吹きかける。

 咄嗟にガードしたゼウス右手が瞬間に凍り付く。

 *ゼウスはスキル『全知全能』を使用した。
 
 凍ったハズのゼウスの右手が瞬く間に溶ける。

「本来は人間界には手を出さぬ事が理《ことわり》であるが……」
 ゼウスは自信の最強装備である『断罪の杖』を具現化し手に持った。

「神鳴《かみなり》」

 今まで晴れかけていた空が一瞬にして黒雲広がる空へと変貌していくと、数々の稲妻がブリズエラに襲い掛かる。

「暗黒障壁」

 ブリズエラもゼウスに対抗し、魔法を発。
 ブリズエラを黒い影が四方八方に包み込むと、降り注ぐ稲妻をことごとく吸収し無効化していった。

「ぬはは、やるではないか」

 ゼウスは笑う。

 その後、神対魔王の壮絶なる戦いが続いた。

 辺りには轟音が響き渡り、時折地震のような衝撃が大地を揺らす。

 ゼウスとブリズエラの戦いは双方譲らず互角の戦いを見せるのであった。

 ゼウスとブリズエラの戦いが30分程続いた頃、決着の時は訪れた。


「見せてやろう俺の最強破壊魔法!」

「ふはは、ではワシも見せてやるわ。渾身の破邪魔法を!」

 互いが最後の一撃を放とうと魔力(神力)を増幅させていく。


 バン!

 フミヤの家の扉と隣のモンスター部屋の扉が同時に開く。


「うるせえええええーぇぇ!」

「うるさいのじゃーーーー!」

 互いの家からフミヤとベレッタが怒りの声を上げ飛びだす。
 安眠の邪魔をされたフミヤとベレッタは怒っていた。

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