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亡者の大森林へ向かえ

LV153 第二ラウンド

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 再びライガとカーチスが対峙する。

 その様子を見ながらベレッタは空からゆっくりと舞い降りる。

「さあさあ、ライガ。見せてもらおうかのぉ」

 ベレッタの口調ではライガにはさらなる手がありそうだ。

「でも、あれって……」
 ファリスは不安な表情を浮かべる。

「ふぅ」と一息ついたライガは、ベレッタの方を振り向いた。

「これは本当に理性がなくなるんだ。何かあったら責任取って止めてくれよ、ベレッタさんよ」

「おー任せておけ、そっちの方がおもしろそうだ」


「オオオオオオオオオッ」

 カーチスは耳を塞ぎたくなる程の大きな雄たけびを上げた。
「何処の馬の骨とも分からない小娘に馬鹿にされるだけでなく、たかが半獣人ごときに好き放題囀《さえず》られるとは、舐められたものだな」

 カーチスの魔力が増幅していく。
「格の違いをみせてやろう!」


「半獣人は獣人化する事はできない。ただし、裏技が一つだけある」
と、ライガは言う。


 半獣人は人間と獣の間にできた子供を表し、ライガは半獣人の二世である。

 半獣人は同じ半獣人もしくは人間と交わる事が多く、その獣の遺伝子は薄くなり人間よりになっていく。半獣人の二世であるライガも例外ではなく、本来では獣人化する事はできない。

 しかし、ライガの裏技を使えばその問題は解決できる。その裏技とは、獣の血を直接体内に注入する事だ。

 獣人国家で戦闘兵器として育てられたライガは幼き頃より両親から引き離され、国の秘密機関で幽閉され実験体となっていた。ライガはその被検体1号である。

 今ではその国はもうない。ライガがその機関もろとも一人で壊滅させたからである。
 
「元々、俺の体質は人間よりでね。獣人化の前に覚えたスキルがある」

 ライガの目が赤く充血していく。

「お前も使っていた。狂人化だよ! 俺は『キングモード』って呼んでるがな。周りにいる全てを食い荒らしてしまうからな」

 獣人化した体でライガは狂人化を使った。

「ガフ、フルルルゥゥ」
 理性を失った虎の化け物がカーチスを襲う。

 カーチスはライガの超スピードを目で追う事ができない。

「うがぁぁぁぁぁー」

 喉元を食いつかれたカーチスはもがき苦しむ。それ止めようとカーチスはライガを鷲掴みにする。
 しかし、ライガは強化された双爪(両手)でカーチスの手を切り刻み脱出。そのまま、カーチスの左目を抉《えぐ》った。
 悶えるカーチスにライガは次々と攻撃を繰り返す。
 
 ライガの攻撃はカーチスの体は瞬く間にボロボロにしていく。カーチスはなんとか抵抗しようと試みるが、吐く炎も爪や尾での攻撃も全てを躱さる。

 想定をはるかに超えるライガの速さと強さに成すすべがなかった。
 カーチスは確実にダメージが蓄積している。

 たまらず空へ飛び立とうと翼を広げ空へ逃げようとするが、飛ばせまいとしてファリスが魔法を詠唱する。

「クッ、こんなに強かったとは。出直す! 覚えておけよお前等」


「バリ・アラダ・フィッサーレ(留める結界)」

 ファリスの魔法により出現した8本の光の杭がカーチスを取り囲む。次にファリスは手を突き出し、カーチスの翼に照準を定めた。
 光の杭は上下左右に振り回すファリスの手の動きに合わせ放たれると、カーチスの翼に次々と突き刺さっていく。
 8本の光の杭は全てカーチスの翼へ命中した。

「な、なんだ……翼が動かぬ!」

 ダンはファリスに話しかける。
「変異する前の方が、速さと攻撃にムラがなくて強かったな。竜になり巨大化し、攻撃力は上がったようだが速さがない」

 ファリスはニコリと微笑み
「そうですね。あれでは私の魔法は避けられない」
と、言った。

「お前等、卑怯だぞ」
 カーチスは怒りを露わにする。

「何を言うか、一対一の勝負の最中に逃げようとする主が悪いのではないか」
と、ベレッタは反論する。

「ぬぅ……」
 カーチスの顔が怒りから苦渋の表情へと変化する。

 その後もライガの容赦ない攻撃は続いた。
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