上 下
153 / 314
亡者の大森林へ向かえ

LV148 一方その頃

しおりを挟む
 どうもフミヤです。

 ついに辿り着きました。ピラミッドの頂点。

 光り輝く財宝で溢れています。

 でも、お腹空きました。

 食材なんかとうの昔に尽きています。

 財宝ではお腹が膨れません。


「……ヤ……」

「ミ……ヤ」

「起きて、フミヤ」

 ヴィオラの呼びかけで目を覚ましたフミヤは辺りを見渡すとため息をついた。

「夢じゃなかったのね。あ~腹減った」

「確かにもう三日間は何も口にしていないが、どうやらここが終点みたいじゃぞ」
 ラオ老の肩を借り、起き上がるフミヤ。

 目の前には黄金に輝く台座と周囲にあふれるばかりの財宝がある。

「こういう事だったったのね」
 イルイルは妙に納得していた。

「この数知れないトラップをくぐり抜け、延々と続いた迷路の先に辿り着いた最終地点だけど、こんな大量の財宝……持ち帰れない」

「そうね。イルイルの言う通り、この大量の財宝を持ち帰るには私達の体力も人手も足りない」

 ヴィオラ達の推測通り。過去にここまでたどり着いた者はいるにはいたが、かなりの重量になる財宝を全て持ち帰る事は誰にもできず、せいぜい手に持てるほどしか持ち帰った者しかいなかった。

「フッフッフッ」
 フミヤは笑い出した。

「ついにお腹空きすぎて頭がおかしくなったのね。可哀そうに」

「違うわ!」

 *フミヤはイルイルにツッコんだ。

「メロ君、出番ですよ」

 フミヤが笑みをこぼし、メロを呼ぶ。

「モキュ」

*メロはお口に収納のスキルを発動した。 

 メロは辺りにある財宝を片っ端から口へ吸いこんでいく。財宝を飲み込んだメロの体は1m程に膨れ上がった。

「あれ、なんだかメロちゃんの巨大化少なくない?」
 ヴィオラは疑問に思う。

「本当だ。これだけ大量に収納しているのにあまり大きくならないなー」

 ヴィオラとフミヤが不思議に思っていたが、それはメロの奥地に収納のスキルレベルが上がったからであった。
 お口に収納のスキルはレベルが上がれば上がるほど体にかかる影響が変わる。メロはフミヤ達と一緒に旅を続けていく事でレベルアップし、お口に収納のスキルは今やLV5になったいたのだ。

「モキュキュ」

*メロは得意気に反り返っている。

「残るはあの台座じゃな」
 ラオ老は中央にある台座へ歩み寄る。

 フミヤは胸にぶら下げていた『ベンの方針』が強い光を放つと、
その光に導かれるように台座の前へ行く。
 
「これは……」
 そして、フミヤは台座に置いてあるアイテムに手を伸ばす。

*フミヤはベンの道しるべを手に入れた。
*フミヤはベンの手紙を発見した。

 フミヤが手に入れた物は見た事もない素材でつくられたベルのような物だった。

「これは手紙?」
 イルイルはフミヤの横から手を伸ばし、ベンの手紙を手に取り開こうとする。

「これは誰の手紙? ん、開《ひら》かない」
 イルイルが手にした手紙はどんなに力を込めても開かなかった。

「何をしておるんだイルイル、貸してみろ」
 ラオ老がイルイルから手紙を受け取り、再度開こうとするが……

「開《ひら》かないぞい」

 それは特殊な魔力を込められた手紙であった。

 ヴィオラはフミヤに言った。
「もしかして……フミヤあけてみて」

 フミヤは手紙を手に取り開いてみる。

フミヤは
「えっ、普通に開いたけど」
と言い、フミヤは手紙を読む。

~~~

 親愛なる者へ

 この手紙を開ける者よ、これはフミヤとドレンの魔力にしか反応しない
ように呪法を施してある。

 ここに来るという事は、さしずめフミヤであろう。

「ご名答……」
 フミヤはボソっと呟いた。

 ドレンがここに来るには少々短気すぎるのでな。

 時にフミヤ自分の境遇に疑問を思うか、否か。もし、何も思わず今が幸せであるならばこれ以上の詮索はやめた方がいい。

 だが、もしこの世界の理《ことわり》を知ろうと思うのであれば、俺のアイテム全て揃える事だ。

 神とは何か、自分とは何か?

 その答えは決してお前を幸せにするとは限らない。良く考え、この先を求むがいい。

                        永遠の冒険家 ベン

                                 ~~~

「どういう意味なんだ?」
 フミヤは考え込む。

「何か、意味深ね」
と、ヴィオラはフミヤに話しかける。

「そうだねヴィオラ。この先か……」
 
 ベンの手紙の内容に考え込むフミヤであった。
 


「ワイ、全然話参加できてへんけど」

 *モグ男は寂しそうにこちらを見ている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――
メロ(ゴールドゲキレアスライム)10歳
LV82
HP 3010
腕力 30
守備力 3211
魔力 1888
素早さ 1153
スキル
 お口に収納 LV5
 甘えるLV3 (時折、甘えられた者はたまに魅了状態になる)
 お口で回復 LV4
 急速消化LV3
称号 食べるのも経験
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす

こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...