最強勇者の夫～陰であなたを支えます。

トーレムグレイグは今日も活気づく

LV91 ヴィオラの実力

ヴィオラVSシキート

トーレムグレイグチーム2勝
ゴータスフールチーム1勝と後がないレイモンド側。

開始早々、シキートがヴィオラに仕掛ける。
「妖《あやかし》達よ、我を保護し、我を妨げし者を排除せよ。」
「いでよ、那由多《なゆた》陀多羅《だたら》。」
シキートは呪術を唱えると　２体の妖《あやかし》を召喚した。

那由多「久しぶりだね、お兄《にい》。」
陀多羅「ぬう。」

那由多に足はなく下半身からスラっと伸びる尾がついている。
鋭利なハサミのような形の手をしており　宙を浮遊する。
顔には大きな一つ目、口が３つ、少し小柄な妖である。

一方、陀多羅は　完全人間型の巨漢。
体全体がゴツゴツした岩でできており　目と口は糸で縫《ぬ》われ
閉じられている。

那由多が真空波を放つ。
無数の真空波がヴィオラを襲う・・・が、それを上回る速度で、
ヴィオラは全ての攻撃を躱す。

ヴィオラが、トンと地面を蹴り、目にも止まらぬ速さで
那由多に切りかかった。
那由多は両手のハサミで剣を受け止めた。
「あっぶなーい、おめえ速いなあ。」
その刹那、体を反転させたヴィオラが、シキートに技を繰り出す。
「エアースレイブ。」

今度はシキートにヴィオラの真空波が、襲い掛かる。
「ぬう。」
傍にいた陀多羅が、シキートをかばい　エアースレイブを体で受け止めた。
技を繰り出した直後の隙をつき那由多が、ハサミで切りかかるも
ヴィオラは　それも簡単に躱し、少し距離をあけた。

ヴィオラ「・・・。」

「無駄だよ、那由多と陀多羅は攻守一体型の妖、那由多が敵を追撃し、
陀多羅が私を守る。私には　指一本触れる事はできないよ。」

高レベルの戦いに辺りは静まり返った後、一気に湧き上がる。

「素晴らしいー。後半戦、終盤に相応しい戦いだー。
両者の激しい攻防！これぞ、勇者。」
ウンサーの実況にも熱が入る。

ライガ「気付いてないのか？」
イルイル「みたいね。」
フミヤ「ん？」

「もっと　遊ぼうよー。」
那由多が再び、ヴィオラを攻撃。
両手のハサミを大きく開き、突進していく。

「どうやら　まだ気付いてないみたいね。」
ヴィオラが、那由多のハサミを　軽く剣でいなした直後、
その両手のハサミが、細切れになり砕け散っていく。
「えつ、なんで。」
間髪入れず、ヴィオラが那由多の胴を横線一刀両断。
「えー。なんでー。」
ヴィオラに切られた那由多は　黒い霧となり消滅していった。

ヴィオラは休む間もなく　そのまま陀多羅に向かい前進、
岩で覆われる陀多羅の腹部を剣で突き刺した。
「ぬう。」

「そんな剣じゃ、陀多羅の体は貫《つらぬ》けないよ。」
そう言いながら　更なる呪力を練るシキート。

ビキビキビキ。
「ぬう。」

剣の刺さった箇所から　先ほどエアースレイブが
当たった範囲にまで亀裂が走る。
「ぬうう。」

体がバラバラに砕けていく最中、陀多羅の目と口が開く、
血走る目で睨《にら》みつけながら　口の中で圧縮生成《あっしゅくせいせい》
した呪力の塊をヴィオラに放とうとしている。

「ライトニング！」

陀多羅が呪力を放つよりも先に　ヴィオラの魔法が、頭上より炸裂する。
「近距離での　溜め攻撃は命取りよ。」

事切《ことき》れた陀多羅はゆっくりと崩れ落ち、黒い霧となり消滅した。

「間に合った。」
笑みを浮かべるシキートが、練った呪力で新たな妖を召喚する。
「ハアハア、私の呪力を全てつぎ込んだ妖よ。
勝てるモンなら勝ってみな！」　　　　　　　　　　・・・つづく