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トーレムグレイグは今日も活気づく

LV89 勇者の乗り換え

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「オーナー大丈夫ですか?」
フミヤが心配するも 全く平気そうなジン。
「ああ問題ない、爪も牙もそんなに深くまでは刺さってないしな。」
・・・この人は相変わらず化け物だな。
フミヤはつくづくと思う。

ウンサー「トーレムグレイグチーム、まずは一勝です。
さあ 次は一体どうなる事やら。代表選手前へどうぞ。」

次の代表者が前と進む。

「やっと憂さ晴らしできるよ。」
連日の鬱憤が溜まっていたイルイルは 解放感に浸《ひた》っていた。
「フッ、この炎煉《えんれん》のイレイザ、やり過ぎてしまわないか心配だ。」
*イレイザは自分に酔いしれている。
*イルイルはイラっとした。

フミヤ「・・・。」
ジン「・・・。」

「オーナーなんかアレ見た事ありません?」
「ん~なんか見覚えあるような・・・。」
フミヤとジンは 思い出そうとするが、なかなか思い出せないでいた。

ウンサー「それではお二方、よろしいですか?」

「いつでもいいわよ。」
「おお、好きに始めてくれ。」

ウンサー「それでは 第二試はじめ!」

イルイルVSイレイザ

漆黒の鎧に身を包むイレイザが、赤く染まった剣を振りかざすと
その剣には炎が宿る。
「俺の 新技、受けきれるかな。」
「煉獄《れんごく》の炎に包まれな。秘技、豪炎煉波《ごうえんれんぱ》!」

イレイザが剣を大きく振ると 波状《はじょう》の炎が
イルイルに目掛け、飛んで行く。

フミヤ「なんか、このくだり見覚えあるぞ。」

波状の炎がイルイルの体全体を包む。
「ハハハ、早く負けを認めないと焼け死ぬぞ。」

ウンサー「これは危ないイルイル、炎に飲み込まれているぞ。大丈夫か?」

炎の勢いが次第に弱くなっていき、イルイルの姿が見えてくる。
イルイルの周りに無数の光の粒子が、渦となり回っている。
光の粒子に包まれているイルイルは 焦げ跡すらついていなかった。

「なんだと、無傷だと。」
「はぁ・・・。」
イルイルはため息をついた。
「私の妖精達は この程度の炎、なんともないのよ。」
「ぬ、卑怯《ひきょう》な奴め、では これならどうだ。」
イレイザはさらに炎を練り上げ、より大きな炎を剣に宿わせる。
「くらえ、豪炎乱波《ごうえんらんぱ》!」
波状の炎が連続してイルイルに襲い掛かる。

「あーーーーーーーー。」
*フミヤは雄たけびをあげた。
「オーナー、アイツです。ほら、洞窟行く前の・・・。
ゴブリンの集団の時に。」

「あ。」
ジンもようやく気付いた。
「あの弱いヤツだ。アイツ、あっちの国に行ったのか。」

イレイザは勇者探索任務の時に現れた、ゴブリンロードに一撃で倒された男。
任務失敗により住み辛くなったトーレムグレイグを出ていき、
ゴータスフールの勇者に取り入り チームに加入したのだ。
※36話参照

ウンサー「イレイザの怒涛の攻撃、イルイル大丈夫か?」

イレイザ「なっ!!」

イレイザの攻撃はまたもイルイルに効かないず、
何事もなかったかのような平気な顔をしている。
「ねえ、もう終わり?」

「くそ、こうなれば 究極奥義を受けてみろ。
燃えろ、燃えろ、我が灼熱の剣。悪鬼を倒すべく 燃え盛れ。」

ゴン!

「もういいって!」

ウンサー「イルイルの飛び蹴りだー。」

素早く距離を詰めたイルイルが、飛び前蹴りを食らわせると
イレイザは勢いよく吹き飛び倒れた。

ウンサー「イレイザ倒れました!大丈夫か?」
イレイザは一向に起き上がらない。

ウンサー「イレイザ?」

ウンサー「イレイザ選手?」

ウンサー「起き上がれない。失神している。」

ウンサー「またも トーレムグレイグチームの勝利だー。」

「アイツ弱すぎない?」
自陣に戻るとフミヤ達の前で呟く。
「そうなんだよ・・・。アイツ弱いんだよ。」

なんとなくゴータスフールチームの実力がわかってきた
フミヤ達だった。
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