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勇者探索任務~サイテハの洞窟

LV68 フミヤVSゼヴィラス

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「いまさら雑魚《ざこ》が、悪あがきか?」
ゆっくりとフミヤに近付くゼヴィラスに
アクタの剣を手にしたフミヤが切りかかる。

あっさりと攻撃を躱したゼヴィラスは
フミヤの腹部を殴りつけた。
「うぐっ。」
フミヤは痛烈な攻撃にうずくまる。
「ちょっと 待って。」
「ん。」
*ゼヴィラスは虚《きょ》を突かれた。
「今だ。」
フミヤは油断したゼヴィラスに再度、切りかかる。

が、ミス。

またもあっさりと攻撃を躱され 腹部を殴られる。
「うおおお、痛い。」

・・・こいつは馬鹿なのか。
*ゼヴィラスは戸惑っている。

「あー痛い。」
お腹をさすりながら 何故か、歩き回るフミヤ。
「何がしたいんだおまえ。」
「いやー歩いたほうが 痛みがまぎれるかなって。」
「・・・。」
初めて見るキャラに困惑しているゼヴィラス。
「もう殺していいか?」

「だからもう少し待ってって。今、覚悟決めてるから。」
「死ぬ覚悟か?なかなかあきらめがいいな。」
「いや、死にかける覚悟かな。」

そういうとフミヤはスキルを発動する。

「狂乱《きょうらん》の戦神《せんじん》モード。」
フミヤの目が赤く染まっていく・・・。
「あああああああ。」
ゼヴィラスはフミヤのスキル発動に驚く。
「狂人化か、素晴らしいこんな奥の手があったとは。」

狂人化は主に魔族が使うスキルで、人間で修得した者は
かなり少ないと言われるスキルである。
その様子に ようやく立ち上がったイルイルが
信じられない様子で見ていた。
「えっ?狂人化を・・・あいつが。」

フミヤが、ゼヴィラスに攻撃をしかける。
「ああああああ。」

ガイーーン、ゴキッ

激しい音と共にフミヤがアクタの剣で
ゼヴィラスの槍の矛《ほこ》をへし折った。
「なんだと!」
そのまま切り替えす刃《やいば》が、ゼヴィラスを捉える。

ザン。
「ぐおおおお、なんだと。」

ゼヴィラスの槍を持つ右腕が宙に舞う。
「この雑魚がーーー。」
怒り狂うゼヴィラスが反撃。
鋭利な5本の左手の爪がフミヤに向かって伸びる。

即座に反応し、うまく避けたフミヤは剣で
次々と爪を切り落とす。
「ぬぅ。」
ゼヴィラスは苦しまぎれの攻撃を防がれ、しかめっ面を浮かべる。

一気に距離を詰めたフミヤの拳が、ゼヴィラスの胸を強く殴る。
「ぐおお。」
思わず距離を取るゼヴィラス。
強烈な打撃でゼヴィラスの胸が青黒くなり陥没している。

「この驚異的なつよさ、狂人化ではないぞ・・・。なんだそれは!」
いち早く気付いたイルイルは はっとする。
「ま、まさか・・・嘘、狂神化・・・なの?」

ゼヴィラスの表情から余裕がなくなった。
「馬鹿な、狂神化だと。」
ゼヴィラスは黒い炎を練り上げ またもあの呪文を放つ。
「黒炎!」
黒い炎がフミヤを追尾する。

初撃《しょげき》を回避するフミヤであったが、
全てを躱しきれないと判断するや否や
ゼヴィラスに向かい真っすぐ突っこんだ。
黒い炎を受けながらも 繰り出した剣が
左わき腹に突き刺さる。

「うがああ。」

たまらず、ゼヴィラスがフミヤを突き飛ばす。
「あいつ強いなんてもんじゃないよ。完全に押してる。」
いつの間にかイルイルはフミヤの強さに見とれていた。

「ふうぅぅ、ここまで強いとは さすがに奥の手を出すしかないなー。」
荒くなった息を整えながら、ゼヴィラスは呪文を唱え始めた。
「マクラリ・ワ・ダボ・デュエル・マド」

ゼヴィラスの体が異形《いぎょう》の変貌《へんぼう》遂《と》げていく。
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