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勇者探索任務~サイテハの洞窟
LV52 アロマイルフィッシュ
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フミヤは食材を逃すまいと、必死に釣り竿を引っ張る。
「ん?」
大物かと思いきや「ピョン」と、現れたのは手の平サイズの小さな魚。
「小さい……」
残念そうなヤマダとは裏腹にフミヤのテンションは上がる。
「おおおおおお!」
*フミヤは雄たけびを上げた。
フミヤは驚くのも無理はない。釣り上げたのは、市場にほとんど出回る事のない希少種、アロマイルフィッシュだったのだ。
サイトウが「そんなに小さいのが良いいのですか?」とフミヤに聞くと、フミヤは嬉しそうに答えた。
「いいなんてモンじゃない、俺も本でしか見た事ない貴重な魚なんだ。ものすごく美味しいらしいぞ!」
「本当っスか!」
美味しいと聞き、テンションが上がるヤマダ。
「よし! どんどん釣ろう」
フミヤは再び、釣り糸を湖へ垂らす。
「ヒャホー。また 釣れたっス!」
ヤマダは叫ぶ。
「どんどん釣れるぞ!」
その後も、驚くほど釣れるアロマイルフィッシュに皆のテンションは最高潮に上がっていた。
18匹ほどのアロマイルフィッシュとゲロマズ魚3匹。短時間のわりには、満足のいく成果だった。
「よし、半分はメロに収納してもらって……あとは食べるか?」
「わーい」
「やったっス!」
「モキュン」
フミヤは、火を起こし調理を始めた。手際よく料理をするフミヤを物珍しそうにメロは眺めている。
「メロ、もうすぐできるよ」
「モキュッ」
フミヤは、カバンから焚き火用の木を取り出し表面を削った。即席のお皿である。フミヤは、その即席のお皿に料理を盛り付ける。
「完成だ」
アロマイルフィッシュのムニエル
アロマイルフィッシュの甘辛煮
アロマイルフィッシュの刺身
ゲロマズ魚の串焼き
(うーん……最後のは一応ノリで作ってみたけど……たぶん食べたら吐きそう)
ゲロマズ魚は強烈な臭みがあり、とてもマズイ魚である。
「おいしそうですね」
「いい香りっス」
「モキュモキュ」
「いただきまーす」
「……」
「――うまーい!」
アロマイルフィッシュのおいしさに感動を覚え、皆が一斉に声を上げる。
「溶けるような身の柔らかさ、なくなった後に広がる芳醇な香り、そしていつまでも残る旨味……最高だ!」
フミヤは、笑みが止まらない。
その横でヤマダも魚料理に感動している。
「フミヤさん、これも美味いっよ。こんな美味い物初めて食べました」
「本当に?」
「本当ですよ、コレ最高です」
*ヤマダは美味しそうにゲロマズ魚を食べている。
「こっちの方がいいだろ?」
フミヤはアロマイルフィッシュをヤマダに渡そうとする。
「いや、それも食べましたが、あっさり過ぎるというか……」
「……」
ゲロマズ魚を食べているのはヤマダだけである。そこにあるだけで臭い魚をヤマダ以外は手を付けようとしなかった。
「ヤマダ、それ全部食べていいぞ」
「本当ですか?」
「ああ」
「やったー。サイトウにも上げないっスよ!」
「ぼ、僕はいらないです」
「後でいるって言っても遅いっスよ」
「は、はい。大丈夫です」
(魔物によってはあれもご馳走になったりするのか)
ゲロマズ魚をとても美味しそうに食べるヤマダを見て「味覚ってそれぞれなんだな」と、改めて思うフミヤだった。
―――――――――――――――――――――――――――
アロマイルフィッシュ 澄んだ水を好んで生息する魚。市場ではほぼ見る事がない幻の高級魚。
「ん?」
大物かと思いきや「ピョン」と、現れたのは手の平サイズの小さな魚。
「小さい……」
残念そうなヤマダとは裏腹にフミヤのテンションは上がる。
「おおおおおお!」
*フミヤは雄たけびを上げた。
フミヤは驚くのも無理はない。釣り上げたのは、市場にほとんど出回る事のない希少種、アロマイルフィッシュだったのだ。
サイトウが「そんなに小さいのが良いいのですか?」とフミヤに聞くと、フミヤは嬉しそうに答えた。
「いいなんてモンじゃない、俺も本でしか見た事ない貴重な魚なんだ。ものすごく美味しいらしいぞ!」
「本当っスか!」
美味しいと聞き、テンションが上がるヤマダ。
「よし! どんどん釣ろう」
フミヤは再び、釣り糸を湖へ垂らす。
「ヒャホー。また 釣れたっス!」
ヤマダは叫ぶ。
「どんどん釣れるぞ!」
その後も、驚くほど釣れるアロマイルフィッシュに皆のテンションは最高潮に上がっていた。
18匹ほどのアロマイルフィッシュとゲロマズ魚3匹。短時間のわりには、満足のいく成果だった。
「よし、半分はメロに収納してもらって……あとは食べるか?」
「わーい」
「やったっス!」
「モキュン」
フミヤは、火を起こし調理を始めた。手際よく料理をするフミヤを物珍しそうにメロは眺めている。
「メロ、もうすぐできるよ」
「モキュッ」
フミヤは、カバンから焚き火用の木を取り出し表面を削った。即席のお皿である。フミヤは、その即席のお皿に料理を盛り付ける。
「完成だ」
アロマイルフィッシュのムニエル
アロマイルフィッシュの甘辛煮
アロマイルフィッシュの刺身
ゲロマズ魚の串焼き
(うーん……最後のは一応ノリで作ってみたけど……たぶん食べたら吐きそう)
ゲロマズ魚は強烈な臭みがあり、とてもマズイ魚である。
「おいしそうですね」
「いい香りっス」
「モキュモキュ」
「いただきまーす」
「……」
「――うまーい!」
アロマイルフィッシュのおいしさに感動を覚え、皆が一斉に声を上げる。
「溶けるような身の柔らかさ、なくなった後に広がる芳醇な香り、そしていつまでも残る旨味……最高だ!」
フミヤは、笑みが止まらない。
その横でヤマダも魚料理に感動している。
「フミヤさん、これも美味いっよ。こんな美味い物初めて食べました」
「本当に?」
「本当ですよ、コレ最高です」
*ヤマダは美味しそうにゲロマズ魚を食べている。
「こっちの方がいいだろ?」
フミヤはアロマイルフィッシュをヤマダに渡そうとする。
「いや、それも食べましたが、あっさり過ぎるというか……」
「……」
ゲロマズ魚を食べているのはヤマダだけである。そこにあるだけで臭い魚をヤマダ以外は手を付けようとしなかった。
「ヤマダ、それ全部食べていいぞ」
「本当ですか?」
「ああ」
「やったー。サイトウにも上げないっスよ!」
「ぼ、僕はいらないです」
「後でいるって言っても遅いっスよ」
「は、はい。大丈夫です」
(魔物によってはあれもご馳走になったりするのか)
ゲロマズ魚をとても美味しそうに食べるヤマダを見て「味覚ってそれぞれなんだな」と、改めて思うフミヤだった。
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アロマイルフィッシュ 澄んだ水を好んで生息する魚。市場ではほぼ見る事がない幻の高級魚。
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