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トーレムグレイグ

第4話 LV4 魔人

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 勇者ヴィオラを襲撃しようとする魔族対策のため、トーレムグレイグ郊外にフミヤとヴィオラは住んでいる。

 そんなある日の夜……

「ようやく見つけたぞ。雷帝ヴィオラ」

 悍ましいおぞましい声がフミヤ家の外で聞こえる。

「魔人!」

 邪悪な気配に気付き目を覚ましたヴィオラは、剣を持ち寝衣のまま外へ駆け出し空を見上げる。上空には羽を広げ、上空からヴィオラを見下ろす一匹の魔人がいた。

 *フミヤは安らかに眠っている。

「まさか家にまで押しかけるなんて、よほど自信家なのね」

「魔王様より恩恵を授かった我われの前では勇者などただの赤子よ」
 
 *魔人は魔法を詠唱している。
 
 それを見たヴィオラは「ふう」と、ため息をつく。

「初動が遅すぎです」

 ヴィオラは魔人目掛け高々と跳躍する。

「剣技、エアースレイブ」

「な、なに……」
 
 一刀両断! ヴィオラの放った真空波が魔人の胴を真っ二つに切り裂いた。

「速すぎるだろ……」

 上半身と下半身を分断された魔人は、地面に落下し蠢《うごめ》いている。

「そんな……こ、これほどまでに強いとは」
 
 魔人はなんとか上半身を起こし「ただでは死なんぞ」と言うと、フミヤのいる家の方へ勢いよく飛んでいく。

「せめて家の中にいる奴だけでも道ずれにしてくれるわー!」

「フミヤさーーーん」

「届け! ライトニーーング‼」 

 大きな音たて、空が一瞬光ると一本の稲妻が魔人へ落ちる。

 飛び散る瓦礫の傍らに黒焦げになった魔人が倒れている。

「くぅっ、畜生」
 ボロボロと崩れて灰になっていく魔人の姿を見て、ヴィオラは安堵する。
 
 *ヴィオラはレベルが上がった。

「フミヤさん、大丈夫ですか?」

 ライトニングの衝撃により屋根は崩れ落ち、部屋の中が露わになっている。

「‼‼」

 寝ていたフミヤに大量の瓦礫が重くのしかかっている。

「フミヤーーーー」
 急いで瓦礫からフミヤを救出するヴィオラ。

 *フミヤは虫の息である。
 
「おのれ、魔人め。よくもフミヤを……」
(いや、あなたのせいです)

 *ヴィオラはメガヒールを唱えた。

 *フミヤの体力とキズが回復した。

 *フミヤは混乱している。

「魔人に雷で撃たれて……家が崩れてきて」

「そうか、ヴィオラが倒してくれたんだね。ありがとう!」

「……」
 
 旦那に初めての秘密ができたヴィオラであった。

 *フミヤは瀕死体験によりレベルが大幅に上がった。
 *即死耐性が2から3に上がった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヴィオラのスキル
エアースレイブ  スキルLV8 渾身の力で剣を振るう事で生じる真空波を相手にぶつける技
ライトニング スキルLV10(マスター)稲妻魔法 雷系初級魔法
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