4 / 5
◯◯◯しないと出られない塔①
しおりを挟む見上げるほど大きな塔。
石材が金属かわからない、不思議な光沢のある塔の材質。窓は一つも見られない。鉛筆のようなタケノコのような。先の尖った円柱径の形。
「ちっ……高濃度魔素の停滞で魔塔を形成したのか?まずいな、遠方転移魔法陣に近い。このまま塔が拡大したら魔方陣が飲み込まれるかもしれない」
熟考したのち、セシルは部下に指示を出した。
「緊急性を考慮し、魔塔を偵察してくる。
俺が護衛しなくともあと僅かで魔方陣に到達する王子に危険はないだろう。
お前たちは先に王子を連れ聖都に帰還しろ。帰還後は副団長に報告し指示を仰げ!魔女お前もだ」
「嫌ですわ!
わたくしもセシル卿と御一緒します。どんな強力な魔物が居るのかわかりませんもの」
今まで大人しく指示に従っていたローズマリーが、塔の入り口に向かいまっしぐらに歩き出した。
「待て、扉に触るな。魔女は俺の言葉の意味が伝わらないようだな」
セシルがローズマリーを静止させようと手を伸ばす。ローズマリーはセシルの手を邪険に払うと、手のひらを扉に付けた。
その瞬間ーーー。
パアアーと神々しく扉が発光した。扉が唐突に内側に大きく開き、中からつむじ風が巻き起こった。
「くっ!トラップか?」
「セシル隊長!!魔女殿!」
風は驚き身構えるセシルと、ほくそ笑むローズマリーを巻き上げ、二人を塔の中に引き摺り込んだ。
「早く二人をお助けするんだ」
「大変だ!!扉が消えたぞ」
二人を飲み込んだ塔は入り口である扉を隠してしまった。
途方にくれた団員はセシルの言い付け通り先に帰還することにした。
20
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
嫌われ女騎士は塩対応だった堅物騎士様と蜜愛中! 愚者の花道
Canaan
恋愛
旧題:愚者の花道
周囲からの風当たりは強いが、逞しく生きている平民あがりの女騎士ヘザー。ある時、とんでもない痴態を高慢エリート男ヒューイに目撃されてしまう。しかも、新しい配属先には自分の上官としてそのヒューイがいた……。
女子力低い残念ヒロインが、超感じ悪い堅物男の調子をだんだん狂わせていくお話。
※シリーズ「愚者たちの物語 その2」※
男装騎士はエリート騎士団長から離れられません!
Canaan
恋愛
女性騎士で伯爵令嬢のテレサは配置換えで騎士団長となった陰険エリート魔術師・エリオットに反発心を抱いていた。剣で戦わない団長なんてありえない! そんなテレサだったが、ある日、魔法薬の事故でエリオットから一定以上の距離をとろうとすると、淫らな気分に襲われる体質になってしまい!? 目の前で発情する彼女を見たエリオットは仕方なく『治療』をはじめるが、男だと思い込んでいたテレサが女性だと気が付き……。インテリ騎士の硬い指先が、火照った肌を滑る。誰にも触れられたことのない場所を優しくほぐされると、身体はとろとろに蕩けてしまって――。二十四時間離れられない二人の恋の行く末は?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる