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謎ポイントなんです!

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 川原ソラです!大ピンチです! 
 
今、狭いシングルシーツの中、魔王くんに後ろから抱きしめられ、体をまさぐられています!魔王くんの細マッチの大胸筋が私の背中に合わさります!その逞しさにどきどきが止まりませんー! 
 魔王くんの節くれだった右手が首筋を撫で、鎖骨の形を確かめるように撫でていきます。逃げようにも、左腕は私のお腹に回されしっかりと捕獲(?)されています。 
 ううっ……お腹は緩いので贅肉、触らないで欲しいです。
「うっひゃあ!!ま、魔王くんくすぐったいです!」 
 首筋を撫でられ思わず変な声が出てしまい、身をよじり抗議します。
「はっ……色気のねぇ声だな?」 
「ひゃ!そ、そう思うなら離して下さい!」魔王くんの手が鎖骨の下と胸の膨らみの始点、際どい境目をVの字に撫でていきます。あと数ミリでおっぱいゾーンです。 
「離したら謎ポイント貯まらないだろう?今……委員会のいくつだ?」魔王くんが私の手首のカボチャ型時計を覗きます。この時計には時間と一緒に黒字でゲームポイント、オレンジ色で謎ポイントの数字が表示されています。 
 
「はひ、謎ポイントですか?今は……ひゃ!182です!」
「じゃあよ……ココ触るといくつになる?」 
「やん!魔王くんっ!おっぱいは……ひゃっ!!」 
 際どい境目を撫でていた魔王くんの手がおっぱいをわしづかみ、服の上から遠慮なく揉んでいきます。何とも言えない感覚がおっぱいから広がり、体がはわわっとしてます。 
  
 もにゅにゅと揉まれ胸の肉が魔王くんの手により中央に寄せられてます。ただでさえ布面積の狭い卑猥なビスチェの小悪魔風衣装からおっぱいのさ、先が見えそうです。
 
「ま、魔王くん!駄目ですよ!乳首見えちゃいます!!」手足をバタつかせ暴れます。 
「おいっ、暴れるなよ!ふーん?……誰のせいでゲームポイント貯まらなかったんだっけな?」 
「っ………ふえーん!全部私のせいです!ごめんなさい」
 
 そうです!こんなふうに魔王くんにお触りされているのは、まるごと全部私が足を引っ張ったからです!
  
 私の失敗は朝から始まっていました――。 

まず、ハロウィーンの衣装です。 
 社会人の姉(肉食系女子)に、そんな地味なのじゃ魔王くんを悩殺出来ないからと、シックな黒魔女風ワンピースから小悪魔衣装にすり替えられていました。なんて、酷い姉です! 
 学園の更衣室で姉の手紙を読みアワアワする私から手紙を奪った同級生女子に「面白いから協力します」っと、あれよあれよと着替えさせられ、化粧を施されて魔王くんの前にポイされました!皆さん酷いです。
  
 案の定魔王くんは、私の衣装。胸元と背中が広く開いたビスチェ(深紅)と太もも剥き出しのヒラヒラミニスカート(黒)に、その時を止めてしまいました。 
 数分固まったのちに、魔王くんは羽織っていた吸血鬼衣装のマント(足首まである)を私に巻き付けました。卑猥な衣装がすっぽりマントの下に隠れます。 
 ありがたいですが、魔王くん……吸血鬼衣装物凄く似合っていたのに勿体ないのです。  
 
「委員会命令だ!今日1日ぜってぇマントを取るなよ!んでっ、勇者の半径二メートル以内に近よるな!!」 
 ドスの効いた不機嫌過ぎる声に悲しくなります……そんなに衣装が見苦しいのでしょうか? 
「そ、そんなにこの衣装似合いませんか?」 
「チッ!………はー、似合うとか似合わねぇの話じゃねえ!奴は危険だからな!ほら早く転移ゲート行くぞ。誰よりも多くゲームポイントを集めて奴をけちょんけちょんにのしてやるぜ!」

 気合いを入れた魔王くんと共に転移ゲートをくぐり抜ければそこは、私達がハロウィン仕様に飾り付けたドリミアコクーンです。 
 ところ狭しとカボチャ、黒猫、お化け…とハロウィン定番の飾りが私達を出迎えてくれます。 
 楽しみ過ぎて、わくわくとどきどきが止まりません。魔王くんの足を引っ張らないようがんばらないと! 
  
 ……気合いを入れ挑戦した初回アトラクション迷路(脱出までのタイムを競う)では、いきなり私のピンヒールが折れ、魔王くんにおんぶされて脱出するという大失態。 
 脱出までに時間がかかりゲームポイントはなんと低い10点でした。 
 魔王くんの逞しい背中にくっ付けたのはとっても嬉しく、どきどきしましたが、自分のどんくささにがっかりです。 
 背中でひたすら謝る私にさすがの魔王くんも言葉少なく時折、不自然なほど前屈みになり、「ああっ」とか「ううっ」とか唸っていました。顔も赤く完璧に怒っている様子です。悲しいことに、目すら合わせてくれません。 
 魔王くんは、救護テントに待機していた保健医のアシュリー先生に私の足首の診察を頼むと「頭を冷やしてくる」と、そそくさとトイレに走り去って行きました。 
 私をおんぶしていたから、トイレにも行けなかったのですね……ううっ。本当にごめんなさいー!
 しばらくして、戻って来た魔王くんは、心なしかスッキリした顔。手には替えのペッタンコ靴を持っていました。怒っていたはずなのに、魔王くんは優しいのです。 
 幸い足首を少し捻っただけですんだので、そのままゲーム続行です。今度こそ魔王くんのお役にたちます。ゲームポイント貯めますよ!  
 
………私の気合いは全て空回りしました。 

 ジェットコースターシューティング(乗りながらお化けやジャックオランタンを銃で撃ち落とす)では、急勾配が怖すぎて魔王くんにしがみつき邪魔をしてしまいました。 
 次のメリーゴーランドカボチャ釣りゲーム(暴れ馬と化したメリーゴーランドに乗りながら空を舞うカボチャの魚を釣る)では、釣り針が魔王くんに借りたマントに刺さり自分を釣ってしまいました。 
 その次のゴーカート飴ちゃん運び(ゴーカートに積まれた沢山の飴をカボチャのお化けから守りつつゴールを目指す)では、方向音痴が炸裂しお化けの群れに突っ込んでしまい転倒。魔王くんは私を助けようとして、哀れ私の下敷きになりました。 
 情けないことに、その後のアトラクションでも足を引っ張ることになり………ランチタイムに発表された中間ゲームポイントでは、堂々の最下位。 
 ぎりりと歯ぎしりする魔王くんを振り返ることが出来ません。 
「………おい、委員会」 
「ひいい!ごめんなさい。すいません魔王くん~!」  
「怒ってねぇよ……呆れてるだけた。俺もどんくせえ委員会を上手くフォロー出来なくて悪いな?」 
 言ってることは酷いですが、私の頭を労るようにポンポンする魔王くんの手は優しく、瞳は穏やかに労るようです。 
「魔王くんー!なんて優しいんですか?私、なんでもします!午後はゲームポイント挽回しますから」  
「……無理だな」 
「そ、そんなハッキリ否定しなくても……」 
「それより、謎ポイントの順位見てみろよ」 
「謎ポイントですか?」 
 ハロウィン広場の空中に浮かぶ文字を眺めます。魔王、川原ソラペア――合算謎ポイント336ポイント、一位。 
「えええ?えー?謎ポイントの順位、一位ですか?何で?何で?失敗ばかりだったのに?」 
「ああっ。俺たちの場合ゲームポイントは、キッパリ諦めて謎ポイントを解析して貯めた方が早いな」 
 カボチャ時計は分刻みのポイント加算が表示出来ます。これで朝から今までの謎ポイントがわかります。 
「そうですね。謎ポイントが高かった時間帯に何をしてたか思い出しましょう」 
 カボチャのクリームシチューを飲み干すと私達は解析を始めました。 

  
 解析の結果――私も魔王くんも謎ポイントが高かったのは、アトラクション開始前に私が足を挫き、魔王くんにおんぶされた時間帯だったのです。 

「謎ポイントは、おんぶポイントなんでしょうか?」食後のお化けパフェを食べつつ話します。 
 
「……違うな。他のアトラクション中も上がってるしな……俺が……次に謎ポイントが上がった時間帯は……委員会に下敷きにされたときだ……ああっ、そうか……どちらも……わかったぜ!謎ポイントが!」魔王くんはテラスの椅子から立ち上がりました。 
「本当ですか?魔王くん!」 
「……委員会、なんでもするって言ったよな?」 魔王くんは牙を見せつけるようにニヤリと笑いました。暁色の瞳が怪しく煌めき私を捕らえます。 
 へっ?初めて見る魔王くんの表情に嫌な予感しかしません。 
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