29 / 39
部活仲間
しおりを挟む
帰りは二年男子三人で仲良く買い食いをする。コンビニでアイスを買って食べ歩くだけだけど、ただ帰るよりずっと充実している。二人のうち、大友明が愚痴を言う。
「最近さぁ、アイス高くね」
「コンビニだから仕方ないよ」
「バイトしよっかな」
「僕、始めた。コンビニ」
僕がそう言うと、二人がすごい目で見てきた。そういえば、わざわざ知らせることでもないから尚たちにしか言ってなかったかも。
「マジかよ。コンビニ大変? 俺も何かしたくて」
「まだ一日だけだから分からないけど、みんな優しくてやりやすい」
「バイトする場所によるよね。俺もバイトしようかな。お金あった方が遊びの幅が広がるし」
二人とも元々興味はあったらしい。どうやってバイト先を見つけたのか、いつやっているのか質問責めにあってしまった。
「バイト中行ってもいい?」
「いいけど、バイト中だから相手できないよ」
「いいよ。バイトの参考にする」
明はにかっと大きな口で笑った。話を聞くに、お金が足りなくて本気でバイト先を探しているらしい。夏休みに海外アーティストのライブに行くとか。それはお金がかかる。チケットだけで一万円以上かかるし。
僕は高いものが欲しいわけじゃないから最低限の時間しか入っていないけど、慣れたら忙しい時は四時間まで入ることになっている。パートさんが休んだ時は臨時で入る場合もあるらしい。
部活が無い日なら全く問題無いけど、それより慣れていない時間帯にいきなりポンと入って役に立つかどうかが不安だ。
時間によって客層もお客の人数も違うと言っていた。サラリーマンが多ければ煙草の注文が多く、お昼は郵便物の対応があり、夕方以降は学生が増える。始めたはいいけれど、大丈夫かな。
「じゃあな」
「また」
ホームで別れ、一人電車に乗る。次の土日は唄さんのところに行く以外予定が無い。夏休みはバイト代とお小遣いで何か買い物をしたいけど、朝川さんがいないとなると一人になりそう。
一人で買い物は慣れているはずなのに、朝川さんが横にいないと違和感が出るようになってしまった。
いけない。友だちになれたのは嬉しいけど、あくまで友だちなのだから、一定の距離は保っていないと。依存したら迷惑をかけるだけだ。
新しい道を作ってくれたんだ。これからはそれを自分で広げていこう。
一人かぁ。たまにでいいから、また遊べるようになるといいな。
もしも買い物が駄目なら一人で行く。それより、朝川さんという存在を失うのが嫌だ。
「最近さぁ、アイス高くね」
「コンビニだから仕方ないよ」
「バイトしよっかな」
「僕、始めた。コンビニ」
僕がそう言うと、二人がすごい目で見てきた。そういえば、わざわざ知らせることでもないから尚たちにしか言ってなかったかも。
「マジかよ。コンビニ大変? 俺も何かしたくて」
「まだ一日だけだから分からないけど、みんな優しくてやりやすい」
「バイトする場所によるよね。俺もバイトしようかな。お金あった方が遊びの幅が広がるし」
二人とも元々興味はあったらしい。どうやってバイト先を見つけたのか、いつやっているのか質問責めにあってしまった。
「バイト中行ってもいい?」
「いいけど、バイト中だから相手できないよ」
「いいよ。バイトの参考にする」
明はにかっと大きな口で笑った。話を聞くに、お金が足りなくて本気でバイト先を探しているらしい。夏休みに海外アーティストのライブに行くとか。それはお金がかかる。チケットだけで一万円以上かかるし。
僕は高いものが欲しいわけじゃないから最低限の時間しか入っていないけど、慣れたら忙しい時は四時間まで入ることになっている。パートさんが休んだ時は臨時で入る場合もあるらしい。
部活が無い日なら全く問題無いけど、それより慣れていない時間帯にいきなりポンと入って役に立つかどうかが不安だ。
時間によって客層もお客の人数も違うと言っていた。サラリーマンが多ければ煙草の注文が多く、お昼は郵便物の対応があり、夕方以降は学生が増える。始めたはいいけれど、大丈夫かな。
「じゃあな」
「また」
ホームで別れ、一人電車に乗る。次の土日は唄さんのところに行く以外予定が無い。夏休みはバイト代とお小遣いで何か買い物をしたいけど、朝川さんがいないとなると一人になりそう。
一人で買い物は慣れているはずなのに、朝川さんが横にいないと違和感が出るようになってしまった。
いけない。友だちになれたのは嬉しいけど、あくまで友だちなのだから、一定の距離は保っていないと。依存したら迷惑をかけるだけだ。
新しい道を作ってくれたんだ。これからはそれを自分で広げていこう。
一人かぁ。たまにでいいから、また遊べるようになるといいな。
もしも買い物が駄目なら一人で行く。それより、朝川さんという存在を失うのが嫌だ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
神様、僕は恋をしました
みつ光男
青春
これは神様、きっと恋愛の神様が仕組んだ試練だ
神様、僕は恋をしてしまったじゃないか…
音楽のこと以外興味がない冴えない高校2年生、高科翔成
当然ながら恋愛に関してもさほど興味はないが
ある日突然目の前に現れた美人店員“ながのさん”によって
その退屈な毎日が一変する。
初めて誰かを好きになる気持ちを教えてくれた“ながのさん”
彼女と少しずつ縮まる距離、
彼は自分の想いを伝えることが出来るのだろうか?
一途に好きなら死ぬって言うな
松藤かるり
青春
私と彼、どちらかが死ぬ未来。
幽霊も予知も過去もぜんぶ繋がる、青春の16日が始まる――
***
小学生の頃出会った女の子は、後に幽霊として語られるようになった。
兎ヶ丘小学校の飼育小屋には幽霊がいる。その噂話が広まるにつれ、鬼塚香澄は人を信じなくなっていた。
高校二年生の九月。香澄は、不思議な雰囲気を持つ男子生徒の鷺山と出会った。
二人は神社境内の奥で転び、不思議な場所に辿り着いてしまった。それはまもなく彼らにやってくる未来の日。お祭りで事件に巻き込まれて死ぬのはどちらかと選択を迫られる。
迷わず自分が死ぬと告げた鷺山。真意を問えば「香澄さんが好きだから」と突然の告白が返ってきた。
超マイペースの変人な鷺山を追いかけ、香澄はある事実に辿り着く。
兎ヶ丘町を舞台にはじまる十六日間。
幽霊も予知も過去もぜんぶ繋がる最終日。二人が積み上げた結末とは。
【完結】これを愛と呼ぶのなら、君だけで埋らぬ切なさ抱きしめて、オレは生きることになる
天田れおぽん
青春
その恋は、重くて、つらくて、甘酸っぱい
君に全てを捧げられない切なさを抱きしめて、僕は生きていく。
高校に進学した|伊吹 冬吾《いぶき とうご》は百合ップルとして有名な|葵帆乃夏《あおい ほのか》と|秋月 美羽《あきづき みう》の二人に出会う。
そして|秋月 美羽《あきづき みう》から交際を申し込まれる。
「私ね、ガンなの」
そんな残酷な一言を添えて。
優秀で順風満帆だからこそ薄ぼんやり生きてた高校生|伊吹 冬吾《いぶき とうご》の青春は、急激に動き出す。
地獄と天国を佃煮にしてお茶漬けで掻っ込むような青春小説を、どうぞ。
※ちょっと改稿中です 8/10
*:..。♡*゚¨゚゚·*:..。♡ ☆宣伝☆ ♡ ..。*゚¨゚·*♡:..。
「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」
レジーナブックスさまより発売中です。
どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
『女になる』
新帯 繭
青春
わたしはLGBTQ+の女子……と名乗りたいけれど、わたしは周囲から見れば「男子」。生きていくためには「男」にならないといけない。……親の望む「ぼく」にならなくてはならない。だけど、本当にそれでいいのだろうか?いつか過ちとなるまでの物語。
PictureScroll 昼下がりのガンマン
薔薇美
青春
舞台は日本の温泉地にある西部開拓時代を模したテーマパーク『ウェスタン・タウン』。そこで催されるウェスタン・ショウのパフォーマーとタウンのキャストの群像劇。※人物紹介は飛ばして本編からでも大丈夫です。
我らおっさん・サークル「異世界召喚予備軍」
虚仮橋陣屋(こけばしじんや)
青春
おっさんの、おっさんによる、おっさんのためのほろ苦い青春ストーリー
サラリーマン・寺崎正・四〇歳。彼は何処にでもいるごく普通のおっさんだ。家族のために黙々と働き、家に帰って夕食を食べ、風呂に入って寝る。そんな真面目一辺倒の毎日を過ごす、無趣味な『つまらない人間』がある時見かけた奇妙なポスターにはこう書かれていた――サークル「異世界召喚予備軍」、メンバー募集!と。そこから始まるちょっと笑えて、ちょっと勇気を貰えて、ちょっと泣ける、おっさんたちのほろ苦い青春ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる