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好みのドレス

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「貴方が言うならそうなのかもしれない。ありがとう」
「ライン様が頑張ったからです。これからも一緒に頑張りましょう」
「うん」

 おおおお、ちょっと笑ってくれた! レア笑顔、頂きました!

 私を受け入れてくれたみたいで、私が言うことなら前向きな言葉も信じてくれるようになった。大きな一歩だ。

 落ち着いたライン様に改めてドレスについて聞いてみる。すると、ライン様が頬を染めて私から視線を逸らした。乙女かい。可愛い!

「貴方は何でも似合うから、そのドレスで十分だ」
「ライン様はどのようなドレスがお好みですか?」
「私……?」
「はい」

 何でも似合うっていう褒め言葉より、ご両親と初対面の場でライン様が好きなドレスを着たい。

「私は、その」
「いきなり申し訳ありません。特になければこのままで」
「ある!」

 困っているみたいだったので話題を終わらせようとしたら、待ったをかけられた。

 あるんだ。つまり、私に興味があるんだ。嬉しい。次の科白をわくわくしながら待っていたら、ライン様が口をぱくぱくさせた後、どうにか声を絞り出してくれた。

「…………水色のドレスがいい」
「水色ですか? 分かりました、それでは水色のドレスを用意してもらいますね。有難う御座います」
「うん。時間になったら大広間に来てくれ」
「承知しました」

 ライン様が部屋から出ていく。本当は理由も知りたかったけど、これ以上追及したらライン様が倒れそうだったから我慢した。好みの色を教えてくれただけで今のところは満足。

 それにしても水色か。ドレスの形は何でもいいみたいだから、謁見するのに失礼じゃないドレスを持ってきてもらおう。

 セリさんを呼んで吟味してもらった結果、水色と白を基調としたドレスに決定した。あれ、これ王宮の色と似てる。

 ドレスを気に入ってくれるといいなぁ。その前に、私が皇帝皇后に気に入られないと。嫌われ妃じゃ肩身が狭すぎる。

 とにかく、どのような人たちが分からないうちは、大人しい従順な妃でいよう。
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