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第2章
芽生え
しおりを挟む「なるほど、その木材店の店主さんはジェイドのお兄さん的存在なのね。」
私たちは先程焼いたクッキーとジェイドの淹れたコーヒーでまったりしながら、ジェイドが行ったお店の話を聞いていた。
「うん、かなりお世話になった人だよ。アカリを紹介しろってうるさくて。色々言われると思うから、アカリが嫌なら断っておくよ?」
「ううん、会ってみたい。次行く時は一緒に行こう。」
そう言うと、ジェイドは複雑そうな顔をした。お兄さんに私を紹介したい気持ちと、その兄が私に何を言うのか不安ってところかな?
「そんなに心配しなくても・・・変わった人なの?」
「いや・・・あー、まぁ、豪快な人かな。」
「豪快・・・?」
遠い目をしているけど、過去に何があったんだろう。
「クッキー、やっぱり美味しいね!」
私を見てにっこりと笑う。
「ありがとう。」
・・・ジェイド、話の変え方下手だよ。
そう思っても言わないでおく。きっと、あまり触れてほしくないことなんだろう。
「そういえば、アカリは?何してたの?」
「私は野菜を収穫してたよ。今日の夜ご飯は任せて!献立も、もう考えたの。」
「え!ありがとう。・・・でも今日は僕も一緒に作りたい気分なんだけど、ダメかな?」
ジェイドに犬だったら、きっと捨てられた仔犬みたいに耳がペタンと垂れて、尻尾はだらんと下がっているだろう。
日に日に、ジェイドの感情表現が豊かになっている気がする。
「いいよ、一緒に作ろう。むしろ助かる!」
「よかった!」
ほらほら、そんなに尻尾を振ったらちぎれるよ?(ないけど)
現世では自分が頑張るのは当たり前で、それでも足りないとばかりにやる気の搾取をされていた。今みたいにたった1つ、して当たり前のことでも喜んでもらえるのは本当に嬉しい。
私はきっと、もうジェイドから離れられない。居候の身だから、ずっとここにはいられないのに・・・。ここ最近、どうしたらずっと一緒にいられるのかばかり考えている気がする。
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