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第2章
タオル
しおりを挟む仕事を始めて、1ヶ月経った頃。
ようやく慣れてきて、自分で自由に使えるお金も手に入るようになった。じゃあそのお金をどう使おうかと考えた時、やっぱり何かジェイドに送りたいという気持ちになって。
ノアさんに相談すれば、私が渡すものならなんでも喜ぶだろうと言われた。ビオレットさんはいつも使っているものだとハズレなしだと言っていた。ジェイドはあまり物欲がないため、2人でもプレゼントを選ぶ時は苦労するのだそうだ。困った。
それにしても、ジェイドがいつも使うものってなんだろう。
洋服は2人が選んだ方がセンスいいだろうし、料理器具は使わないものを買っても溜め込んでしまうだけだし。せっかくならいつも身につけてるものがいいけど、アクセサリーはちょっと・・・恋人でもはいのに・・・渡すのは、ねぇ?
そんな時だ。ジェイドが私の作った商品を見たいと言い出した。ちょうど昨日出来上がったハンカチがあったので、それを見せた。
「綺麗だね。すごい細かくて丁寧だ。」
キラキラした目でじっくり見るものだから、少し恥ずかしかった。
でもその様子を見て、手作りしたものをあげたらどんな反応をしてくれるんだろうって考えてしまった。何か作ってあげたいなって。
候補1. ハンカチ
ジェイドはあまりハンカチを使っているところを見たことがない。遠出をあまりしないからね。仕方ないけど却下。
候補2. カバン
森や畑仕事をする際に、動きやすいウエストポーチ的なカバンがあると便利かもしれない。でも現世みたいに、あのカチッとする部品がないから諦めよう。紐だと重いものを入れたり、動き回った時に解けそうだし。
候補3. タオル
あ、これなら刺繍を入れられるし畑や森に持って行ける。手軽に作れるし、ノアさんに頼めば布を持ってきてもらえるだろう。いい案が浮かんだ。
すぐノアさんに手紙で相談したら、二つ返事で次の週には布を送ってもらえた。ジェイドに似合うよう、薄い水色と薄い黄色の2枚。
作るものが決まってから仕事の合間など、ジェイドの目を盗んでタオル作りを進めた。
出来上がったタオルを渡したら、どんな反応をするだろう。喜んでくれるかな?瞳の色に合わせたから、似合わないことはないと思うんだけど。・・・気に入ってくれるかな。
隠し事があまり得意ではないので、仕事の話やノアさんの話をするとついうっかりタオルのことも話してしまう気がする。なのでできるだけ仕事の話題は避けた。しかし、きっと喜んでくれるだろうと思うとニヤニヤしてしまう。
早く渡したいなぁ!ご飯を食べ終えたら、自分の部屋で続きをしようっと。
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