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波瀾のホームパーティー5

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「テントやテーブルの設置なんかも大変なのではありませんか?当日までにもお仕事があるでしょうし。」

マリアンヌ様に上手く遠ざけられたと気づいたアメリア嬢が言った。

んもう、図々しいというか神経が図太いというか。普通なら引くところだけど、そうね。彼女は普通じゃなかったわ。

「あら。嬉しいけど、生徒会の仕事は関係者じゃないと任せてはならない決まりですし…テーブルなんかの設置は、家の者に手伝ってもらうの。心配性な侍従が、私が物を運んだら落とすか怪我するかのどちらかだって言うのよ。失礼しちゃうわよね。」

これまた華麗に提案を断るマリアンヌ様。お見事です。

「生徒会の仕事は機密も多いから、本来は婚約者などの関係者でなければ関わることができない。婚約者でも許されないこともあるくらいだ。それを、部外者にさせるわけにはいかない。

ゲーム内では、ライトに気に入られたヒロインは生徒会の仕事を手伝うことになる。それは“超”例外なんだけど、彼女はそれを知らなかったのかもしれない。

まぁ、普通にゲームをやり込んだだけではわからない情報よね。でも、実際にこの学園に通っていたら普通に知り得る情報よ。それだけ前世を思い出す前のアメリアが呑気に過ごしていた証拠ね。

マリアンヌ様の発言の意味はそれだけじゃない。

人手は足りてます、と伝えると同時に冗談を言い合える侍従との仲の良さをアピールしているのだ。下の者の発言を「失礼だ」と一々咎めるような心の狭い人じゃないというアピール。

意地の悪い人なら、例えば既に“悪役令嬢”と認識されている人が同じ発言をしたらまた違ったのでしょうけど。きっと、誤解した周りの人間が、その侍従を嗜めに行ったに違いない。

悪役令嬢って周りの人が加速させるのよね。本人にその気がなくても。

「アメリア嬢、もしかして生徒会に入りたいと思っているんですか?」

明らかに引いた顔をした令嬢が、アメリア嬢に尋ねた。

無理もないよね。彼女は今、自分が無知と知らしめたか、暗に生徒会に入りたいと伝えたかのどちらかだ。

さて、彼女はどちらと答えるのか。

「生徒会に入りたいなんて、そんな大それたこと考えてませんわ。私は、ただ皆様のお役に立ちたいと提案しただけで…思いついたままに発言してしまいましたわ。失礼しました。」

しおらしく、無知だったことを認めた。

もちろん、入れるなら生徒会に入りたいんだろうけどあんな目をした人の前でそんなこと言えない。今の彼女は、周りからの好感度を高めるのが最優先。あと彼女は既に無知として知られてるから、認めたところでさほどダメージはない。

懸命な判断したわね。こちらとしては、警戒心が増したけど。
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