64 / 69
64・分身の術
しおりを挟む
「ガラシャ、突風を起こして、この忌々しい酸の霧を吹き飛してけれ」
「ハイ、畏マリマシタ、父上」
霧の中からムサシが蜥蜴娘に支持を出すと霧の反対側に居るだろう娘のガラシャが呪文を唱え始めた。
そして──。
「巻起コレ、吹キ飛バセ! ウィンドウェーブ!」
ガラシャの風魔法が放たれた。
魔法の風はぐるっと渦を巻いた後に、前方を押し潰すような突風の津波に変わって酸の霧を押し流した。
すると霧の中からムサシとキングの姿が現れる。
キングは腹を刀で刺されたのか、流血した傷を手で押さえていた。
苦痛に表情を歪めながら力無く両膝を崩してしゃがみ込んでいる。
一目で分かる敗北の状況だ。
キングの顔色は青くて口許からは鮮血を垂らしている。
見るからに大ダメージを追っているようだ。
その背後にムサシが立っていた。
しかし、何故かムサシは二体居る。
着物姿のムサシと、全裸でツルツルの鱗肌を露にしているムサシが立っていた。
両者共に片手に妖刀ムラサメを持っている。
だが、全裸のムサシには長い顎髭が生えていない。
そして、着物を着ているムサシは尻尾が切断されていた。
「あの蜥蜴ジジイ、増えてるぞ!?」
『ど、どう言うことでしょうか!?』
「また、伏兵か?」
『双子さんでしょうかね!?』
俺は目の当たりにした現象を見て素直に驚いた。
キルルもコボルトたちも驚いている。
「目の錯覚か!?」
『いえ、違いますよ。僕にも蜥蜴のお爺さんが二体に増えているように見えますから!』
キルルに続いてハートジャックも驚きながら発言する。
「ほら~、言ったでしょう。村の長老は魔法使いだって!」
確かに偵察から帰還した直後の報告だと、ハートジャックは長老が魔法使い風だと言っていたな。
俺は目を凝らして二匹に増えたムサシを見比べた。
「間違いがあるな……」
『間違い、ですか?』
「着物を着ているほうは髭がある。でも、全裸のほうは髭がない」
『髭……、確かにですね……』
「それに尻尾だ。着物を着ているほうは尻尾が切れている。なのに全裸のほうは尻尾も健在だ」
俺たちが間違い探しをしているとムサシが腰の鞘に妖刀ムラサメを戻しながら語る。
「その疑問の答えは簡単じゃてぇ」
「簡単?」
「これは分身の術じゃ」
「分身の術……?」
分身の術って、アレだよね。
忍者が使う忍法だよね。
凄いスピードで動くことで残像を作り出して自分が増えたように見せかける忍術のトリックだ。
だとすると、これは手品なのか?
更にムサシが述べる。
「だがのぉ、この分身の術は、お主らが知っているような分身の術とは、ちと違うのじゃ」
「違う?」
俺が蜥蜴ジジイの言葉に首を傾げた刹那だった。
着物を着ているほうのムサシが、腰を落とすと同時に鞘に納めた妖刀ムラサメを素早く抜いて、もう一人のムサシに切りかかった。
居合い抜きだ。
しかし、瞬速の居合い抜きだったが全裸のムサシはもう一本の妖刀ムラサメで受け止めた。
ガキーーンっと激しい金属音が鳴り響く。
『仲間割れですか!?』
「いや、自分割れじゃね!?」
全裸のムサシが切りかかって来たムサシを睨み付けながら述べた。
「やはり早くも仕掛けて来たか!」
すると、もう片方のムサシが返す。
「ちっ……。流石は儂だ。儂の不意打ちを受け止めるか……」
突然ながらムサシとムサシが歪み合い始めた。
自分と自分で争い始める。
「死ね、老いぼれ!!」
「黙れ、この卑怯者が!!」
ムサシとムサシが妖刀ムラサメを振り合いながら戦いを始めた。
その動きと表情は本気だ。
嘘や演技に見えなかった。
自分で自分と戦っているのにも関わらず本気の本気に見える。
互いに互いを殺す気満々で刀を振り合っていた。
殺気と殺気が弾け合う。
もう、わけが分からない。
「きぇえええ!!!」
「こなくそぉぉおお!!!」
俺たちは唖然としながら仲間割れを始めたムサシたちを眺めていた。
『な、なんで自分同士で戦い始めたのでしょうか……?』
「知るか、俺が……。それよりもハートジャック、キングに手を貸してやれ」
「はいはいで~す!」
俺の支持を聞いたハートジャックが負傷のために膝をついているキングの元に駆け寄ると肩に腕を回す。
そして、一飛びで俺の元に戻ってきた。
キングは俺の前に膝をついて俯いている。
その表情は悔しさに奥歯を噛み締めていた。
キングもキングで敗北を認めているような表情である。
そんなキングに俺は冷たい眼差しを向けながら、更に冷たい声色で罵倒する。
「キング、貴様、負けたな」
「も、申しわけありませぬ、エリク様……」
『ハートジャックさん、早くキングさんにポーションを飲ませてあげてください!』
「はいは~い、畏まり~。でも、これが最後のポーションですよ~」
ハートジャックがキングにポーションを飲ませている間にもムサシとムサシは戦い続けていた。
刀を打ち合い、時には鍔迫り合いに火花を散らしている。
「死ねっ、このクソジジイ!!」
「黙れクソジジイ、死ぬかっ……!」
全裸のムサシが着物を纏ったムサシの胸を切付けた。
残撃に鮮血が舞うが切られたムサシは必死に跳ねて間合いを築く。
傷は浅い。
致命傷までは届いていない。
だが、その逃げた方角は俺たちが居る方向だった。
こいつ、わざと俺の居る方向に逃げてきやがった。
ダメージを受けた故の緊急避難先に俺を利用していやがるのだろう。
その証拠に全裸のムサシは追って来ない。
すると全裸のムサシが俺の側に逃げて来たムサシを罵倒する。
「この恥知らずの老いぼれめ。敵に助けをこうかぇ!」
「死ぬよりましじゃわい!」
俺は切られた胸を押さえているムサシの背中に声を掛けた。
「どう言うことだ。ムサシの爺さん。なんで自分と戦っている?」
着物を着たムサシは俺をチラリと横目で見た後に言う。
「これが儂の使う分身の術の問題点じゃ……」
「問題点?」
「儂の分身の術は、残像や幻覚を見せているような錯覚を利用した幻術の類いではない……。本当に分裂しているのじゃ」
「確かに二体になっているな。これは分身の術じゃなくて、分裂の術だわな」
「この術は、神から貰ったチートスキルなんじゃ……」
なるほど、それなら分かる分かる。
これがチートスキルならば、本体が二人になる壊れた超スキルな内容の術でも説明がつくな。
「ただし、分身側の寿命は一時間じゃ」
「あいつ、ほっとけば勝手に消えるのね」
「だが、タイムリミットまでに本体が死ぬと、代わりに分身が本体となって生き続けるのじゃ……」
「『なるほど……」』
俺もキルルもピーーンと来た。
ムサシとムサシが殺し合っているのは、今後の生存権利を獲得するために自分同士で戦っているのだろう。
要するに、分身も本体を殺してでも生き残りたいのだ。
「しかも、あの分身野郎、儂が刀を鞘に納めたら、もろに殺気を儂にぶつけてきおった……。だから殺される前に儂から仕掛けたのじゃ」
でも、不意打ちの居合い切りは失敗した。
「それで失敗。んんで、切られて不利になってきたからこっちに逃げて来たのか」
「正解じゃ!」
「正解じゃあねぇよ……」
「分身は産まれた直後は無傷で疲労も無い。だが、大抵本体は戦いで疲労していたり負傷していたりとダメージを受けていることが多いから不利なのじゃ……。それに絶対に尻尾が切れてるしのぉ」
おそらく切れた尻尾が分身に変化するチートスキルなのだろう。
蜥蜴らしいと言えば蜥蜴らしい能力だな。
「それで敵に媚を売るのか……」
この蜥蜴ジジイと言うか、リザードマン族の生存に関しての執着は、なんとも下品である。
どこまでも、なにをしても、なにがあっても生き残ることを優先しやがるんだな。
更に負傷しているムサシが言う。
「いつもならば、分身したら、敵を倒してから自分同士で戦うのが筋なのじゃが……」
うぬ?
「じゃあ何故に敵である俺たちを残して自分同士で戦うんだ?」
「儂も分身も悟れているのじゃ……」
「悟れている?」
「儂らが分身で数を増やしても、そなたに敵わぬと……」
「なるほど、それで順序を違えて自分同士で戦い始めて、しかも負けそうになったからって更に順序を違えて先に寝返ったわけか」
「せ、正解じゃ……」
「だから、正解じゃあねえ~よ」
俺の言葉を聞いていた負傷したムサシが踵を返して俺のほうを向くと、袴を畳んで正座で腰を落とした。
そして、畏まりながら両手をついて頭を下げる。
土下座だ。
「魔王軍の方々、この長老ムサシは魔王軍に付く、だからあの分身を倒して儂を助けてけれ!」
「うわぁ~~……」
ここまでプライドが低いのか……。
かなりビックリだわ。
こうしてムサシの分身は、コボルトたちに取り押さえられ、一時間後に切断された尻尾に戻ってしまう。
「ハイ、畏マリマシタ、父上」
霧の中からムサシが蜥蜴娘に支持を出すと霧の反対側に居るだろう娘のガラシャが呪文を唱え始めた。
そして──。
「巻起コレ、吹キ飛バセ! ウィンドウェーブ!」
ガラシャの風魔法が放たれた。
魔法の風はぐるっと渦を巻いた後に、前方を押し潰すような突風の津波に変わって酸の霧を押し流した。
すると霧の中からムサシとキングの姿が現れる。
キングは腹を刀で刺されたのか、流血した傷を手で押さえていた。
苦痛に表情を歪めながら力無く両膝を崩してしゃがみ込んでいる。
一目で分かる敗北の状況だ。
キングの顔色は青くて口許からは鮮血を垂らしている。
見るからに大ダメージを追っているようだ。
その背後にムサシが立っていた。
しかし、何故かムサシは二体居る。
着物姿のムサシと、全裸でツルツルの鱗肌を露にしているムサシが立っていた。
両者共に片手に妖刀ムラサメを持っている。
だが、全裸のムサシには長い顎髭が生えていない。
そして、着物を着ているムサシは尻尾が切断されていた。
「あの蜥蜴ジジイ、増えてるぞ!?」
『ど、どう言うことでしょうか!?』
「また、伏兵か?」
『双子さんでしょうかね!?』
俺は目の当たりにした現象を見て素直に驚いた。
キルルもコボルトたちも驚いている。
「目の錯覚か!?」
『いえ、違いますよ。僕にも蜥蜴のお爺さんが二体に増えているように見えますから!』
キルルに続いてハートジャックも驚きながら発言する。
「ほら~、言ったでしょう。村の長老は魔法使いだって!」
確かに偵察から帰還した直後の報告だと、ハートジャックは長老が魔法使い風だと言っていたな。
俺は目を凝らして二匹に増えたムサシを見比べた。
「間違いがあるな……」
『間違い、ですか?』
「着物を着ているほうは髭がある。でも、全裸のほうは髭がない」
『髭……、確かにですね……』
「それに尻尾だ。着物を着ているほうは尻尾が切れている。なのに全裸のほうは尻尾も健在だ」
俺たちが間違い探しをしているとムサシが腰の鞘に妖刀ムラサメを戻しながら語る。
「その疑問の答えは簡単じゃてぇ」
「簡単?」
「これは分身の術じゃ」
「分身の術……?」
分身の術って、アレだよね。
忍者が使う忍法だよね。
凄いスピードで動くことで残像を作り出して自分が増えたように見せかける忍術のトリックだ。
だとすると、これは手品なのか?
更にムサシが述べる。
「だがのぉ、この分身の術は、お主らが知っているような分身の術とは、ちと違うのじゃ」
「違う?」
俺が蜥蜴ジジイの言葉に首を傾げた刹那だった。
着物を着ているほうのムサシが、腰を落とすと同時に鞘に納めた妖刀ムラサメを素早く抜いて、もう一人のムサシに切りかかった。
居合い抜きだ。
しかし、瞬速の居合い抜きだったが全裸のムサシはもう一本の妖刀ムラサメで受け止めた。
ガキーーンっと激しい金属音が鳴り響く。
『仲間割れですか!?』
「いや、自分割れじゃね!?」
全裸のムサシが切りかかって来たムサシを睨み付けながら述べた。
「やはり早くも仕掛けて来たか!」
すると、もう片方のムサシが返す。
「ちっ……。流石は儂だ。儂の不意打ちを受け止めるか……」
突然ながらムサシとムサシが歪み合い始めた。
自分と自分で争い始める。
「死ね、老いぼれ!!」
「黙れ、この卑怯者が!!」
ムサシとムサシが妖刀ムラサメを振り合いながら戦いを始めた。
その動きと表情は本気だ。
嘘や演技に見えなかった。
自分で自分と戦っているのにも関わらず本気の本気に見える。
互いに互いを殺す気満々で刀を振り合っていた。
殺気と殺気が弾け合う。
もう、わけが分からない。
「きぇえええ!!!」
「こなくそぉぉおお!!!」
俺たちは唖然としながら仲間割れを始めたムサシたちを眺めていた。
『な、なんで自分同士で戦い始めたのでしょうか……?』
「知るか、俺が……。それよりもハートジャック、キングに手を貸してやれ」
「はいはいで~す!」
俺の支持を聞いたハートジャックが負傷のために膝をついているキングの元に駆け寄ると肩に腕を回す。
そして、一飛びで俺の元に戻ってきた。
キングは俺の前に膝をついて俯いている。
その表情は悔しさに奥歯を噛み締めていた。
キングもキングで敗北を認めているような表情である。
そんなキングに俺は冷たい眼差しを向けながら、更に冷たい声色で罵倒する。
「キング、貴様、負けたな」
「も、申しわけありませぬ、エリク様……」
『ハートジャックさん、早くキングさんにポーションを飲ませてあげてください!』
「はいは~い、畏まり~。でも、これが最後のポーションですよ~」
ハートジャックがキングにポーションを飲ませている間にもムサシとムサシは戦い続けていた。
刀を打ち合い、時には鍔迫り合いに火花を散らしている。
「死ねっ、このクソジジイ!!」
「黙れクソジジイ、死ぬかっ……!」
全裸のムサシが着物を纏ったムサシの胸を切付けた。
残撃に鮮血が舞うが切られたムサシは必死に跳ねて間合いを築く。
傷は浅い。
致命傷までは届いていない。
だが、その逃げた方角は俺たちが居る方向だった。
こいつ、わざと俺の居る方向に逃げてきやがった。
ダメージを受けた故の緊急避難先に俺を利用していやがるのだろう。
その証拠に全裸のムサシは追って来ない。
すると全裸のムサシが俺の側に逃げて来たムサシを罵倒する。
「この恥知らずの老いぼれめ。敵に助けをこうかぇ!」
「死ぬよりましじゃわい!」
俺は切られた胸を押さえているムサシの背中に声を掛けた。
「どう言うことだ。ムサシの爺さん。なんで自分と戦っている?」
着物を着たムサシは俺をチラリと横目で見た後に言う。
「これが儂の使う分身の術の問題点じゃ……」
「問題点?」
「儂の分身の術は、残像や幻覚を見せているような錯覚を利用した幻術の類いではない……。本当に分裂しているのじゃ」
「確かに二体になっているな。これは分身の術じゃなくて、分裂の術だわな」
「この術は、神から貰ったチートスキルなんじゃ……」
なるほど、それなら分かる分かる。
これがチートスキルならば、本体が二人になる壊れた超スキルな内容の術でも説明がつくな。
「ただし、分身側の寿命は一時間じゃ」
「あいつ、ほっとけば勝手に消えるのね」
「だが、タイムリミットまでに本体が死ぬと、代わりに分身が本体となって生き続けるのじゃ……」
「『なるほど……」』
俺もキルルもピーーンと来た。
ムサシとムサシが殺し合っているのは、今後の生存権利を獲得するために自分同士で戦っているのだろう。
要するに、分身も本体を殺してでも生き残りたいのだ。
「しかも、あの分身野郎、儂が刀を鞘に納めたら、もろに殺気を儂にぶつけてきおった……。だから殺される前に儂から仕掛けたのじゃ」
でも、不意打ちの居合い切りは失敗した。
「それで失敗。んんで、切られて不利になってきたからこっちに逃げて来たのか」
「正解じゃ!」
「正解じゃあねぇよ……」
「分身は産まれた直後は無傷で疲労も無い。だが、大抵本体は戦いで疲労していたり負傷していたりとダメージを受けていることが多いから不利なのじゃ……。それに絶対に尻尾が切れてるしのぉ」
おそらく切れた尻尾が分身に変化するチートスキルなのだろう。
蜥蜴らしいと言えば蜥蜴らしい能力だな。
「それで敵に媚を売るのか……」
この蜥蜴ジジイと言うか、リザードマン族の生存に関しての執着は、なんとも下品である。
どこまでも、なにをしても、なにがあっても生き残ることを優先しやがるんだな。
更に負傷しているムサシが言う。
「いつもならば、分身したら、敵を倒してから自分同士で戦うのが筋なのじゃが……」
うぬ?
「じゃあ何故に敵である俺たちを残して自分同士で戦うんだ?」
「儂も分身も悟れているのじゃ……」
「悟れている?」
「儂らが分身で数を増やしても、そなたに敵わぬと……」
「なるほど、それで順序を違えて自分同士で戦い始めて、しかも負けそうになったからって更に順序を違えて先に寝返ったわけか」
「せ、正解じゃ……」
「だから、正解じゃあねえ~よ」
俺の言葉を聞いていた負傷したムサシが踵を返して俺のほうを向くと、袴を畳んで正座で腰を落とした。
そして、畏まりながら両手をついて頭を下げる。
土下座だ。
「魔王軍の方々、この長老ムサシは魔王軍に付く、だからあの分身を倒して儂を助けてけれ!」
「うわぁ~~……」
ここまでプライドが低いのか……。
かなりビックリだわ。
こうしてムサシの分身は、コボルトたちに取り押さえられ、一時間後に切断された尻尾に戻ってしまう。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる