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第436話【セクシープレート装着】

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新しく仲間に加わった四体のインテリジェンスソードのハイランダーズ。

彼らは光る剣が本体で、鎧を操る能力を持っているが、自力で移動ができない不便な連中であった。

普段はフルプレートを操って移動している。

しかし俺との戦いで、スターチとプディングは利き手を失い、キャッサバは両手を失っている。

これでは連れて歩いても戦力外だな。

「お前らのヨロイって、マジックアイテムじゃあないんだ?」

「はい、そうですが……」

俺が魔法感知スキルで見回したが、彼らの鎧はどれも光り輝かない。

ノーマルの甲冑のようだ。

「おい、キャッサバ」

「なんでしょうか、アスラン様?」

「お前だけ両手が無くって不便そうだな?」

「はい、不便でありますぞ。何せアスラン様に両腕もろともぶった斬られましたからな」

「ああ、悪かったな」

「ところでそれが何か?」

「お前らは、どんな鎧でも動かせるのか?」

「はい、全身鎧ならば」

「マジックアイテムでもか?」

「はい、問題ありません」

その答を聞いた俺は異次元宝物庫からブラックフルプレートメイルを取り出した。

【ブラックフルプレート+3。装備者のみ、この防具の重量軽減効果。防御率の向上。強度向上】

「なあ、これに乗り移ってみろよ」

「こ、これは……」

「以前拾ったマジックアイテムだ。使ってないから、良かったらくれてやるぞ」

「ほ、本当ですか!?」

「「「いいな~!!」」」

「ただし、安くはないからな。このマジックアイテムは!!」

俺はプレッシャーを掛ける。

「か、畏まりました。この恩義に答えられますように精進いたします……」

他の三人が羨ましがるなか両腕の無いキャッサバがブラックフルプレートに抱きついた。

するとブラックフルプレートが動き出して、首に刺さったキャッサバ本体の剣を引き抜く。

「こ、これは素晴らしい!!」

ブラックフルプレートの手に持たれたキャッサバが、自分の新たな体を見回していると、お古のフルプレートが崩れ落ちた。

「か、軽いですぞ!!」

「アスラン様、キャッサバだけずるい~!!」

「「そうだそうだ!!」」

他の三人が駄々をこね始めたので、俺は何か無いかと異次元宝物庫を覗き込んだ。

「なあ、革鎧とか行けるか?」

俺の質問にタピオカが答える。

「我々が動かせるのは、鉄製の鎧だけですわ」

「なら~……」

今度は異次元宝物庫からビキニアーマーとスケールメイルを取り出す。

【ビキニアーマー+2。攻撃速度向上。耐火向上】

【チェインメイル+1。強度向上】

「こ、これは……」

「「「ビキニアーマー!?」」」

男たちが俺の手の中に在るビキニアーマーを凝視していた。

「初めて見ますぞ……」

「私もです……」

「これが噂に名高い女性専用鎧のビキニアーマーですか……」

「なんだ、見るのは始めてか?」

「はい、噂には聞いてましたが、見るのは始めてですわ……」

黒騎士たちが三人で肩を寄り添いながらコソコソと話し出す。

「姫様がアレを装着したらエロイかな?」

「たぶんエロイぞ!」

「うわ、見てみてー!!」

俺はタピオカのほうにビキニアーマーを差し出しながら言った。

「だそうな──。タピオカ、着てみろ」

「じょ、冗談はよしてください、アスラン様!!」

「冗談でこんなことが言えるかよ。頭と手足はピンクプレートを使って、胴体はチェインメイルで補強すれば着れるんじゃあないか?」

「いや、たぶん装備はできると思いますが……」

「だったら早く着ろよ!」

「「「そうだそうだ!!」」」

「もう、仕方無いな……」

男たちに押されてタピオカがビキニアーマーの装着を承諾した。

「ちょっとの間だけ、あっちを向いててくださいよ。いいって言うまで絶対にこっちを見ないでくださいね!」

「分かったから早く着替えろよ!」

男たち四人はビキニアーマーに着替えるタピオカに背を向けて待った。

「ドキドキするな!」

「初ビキニアーマーだもんな!」

「ワクワクするな~」

むむぅ~……。

モンスターの思考はよく分からんが、興奮しているのはよく分かった。

こいつらも雄なんだな~って実感する。

「よし、装着完了です。こっちを向いてもいいですよ」

俺たち男衆が踵を返した。

そこには頭と手足はピンクプレートのままだが、胴体だけがビキニアーマーに変わっているタピオカが立っていた。

ビキニアーマー以外の胴体はチェインメイルで、ボディーラインがはっきり分かるスレンダーな体型をしていた。

肥満体なピンクプレートの時とは雲泥の差だ。

なんと驚いたことにクビレがあるのだ。

これはこれでセクシー100倍である。

兎に角セクシービキニフルプレートなデザインだった。

「「「「おおっ!!」」」」

男たちの歓声が上がる。

つい俺までもが声を上げてしまうほどにエロイラインだった。

「ちょっと、そんなにジロジロ見ないでくださいよ……」

タピオカが内股でモジモジしながら照れていた。

「姫様、ナイスなセクシーで御座いますぞ!!」

「あー、私は本当に姫様について来て良かったわ~。マジ正解だったわ~」

「本当に姫様の夫になられる殿方が羨ましいでございますぞ!」

「もう今晩は眠れないでございます。本当にご馳走さまですぞ!」

なに、ちょっと野郎ども、歓喜しすぎだぞ……。

まあ、確かにセクシーだけれどね。

「お腹の中はどうなってるんだ?」

タピオカのお腹に顔を近付けた俺は、チェインメイルの編み目から中を覗き込んだ。

外から見ると体のラインがあるが、中身は空洞のようだった。

よくこれで体が支えられているものだ。

本当に不思議である。

「ア、アスラン様、そんなにジロジロ覗き込まないでくださいませ。私も花を恥じらう年頃の乙女なのですから……。ポッ」

何をこいつマジで照れてやがるんだ?

「とりあえず、今在る甲冑はこのぐらいだから、スターチとプディングの片腕は、また今度な」

「我々もマジックアイテムが欲しいですぞ、アスラン様!!」

「懇願されてもな……。まあ、その辺は検討してみる……」

「「やりぃ~!!」」

本当にこいつら良く声が揃うよな……。

「じゃあ、そろそろ本題だ。俺はテイアーの研究室を目指しているのだが、どう行ったらいいか、道のりを知らないか?」

タピオカが答える。

「テイアー様の研究室なら二つ下のエリアですね」

続いてキャッサバが話し出した。

「ですが、そのためには謀反軍のエリアを通って、死海おも通らなければなりませんぞ」

謀反軍って、ハイランダーズから脱退した二十一体のインテリジェンスソードたちだよな。

それに死海のクラーケンか……。

「死海は聞いてるぞ。なんでもクラーケンがエリアマスターだとか。だが先ずは、その謀反軍のエリアを無事に通過しないとならないんだな」

「「「「はい」」」」

「じゃあ、その謀反軍の話を詳しく訊かせてくれや」


【つづく】
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