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第398話【女神アテナの憂鬱】

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あー……、昨日のことが思い出せないわ……。

確か同僚のアフロディーテと仕事上がりに居酒屋で飲んで、愛の逃○行が面白いって進められたのは覚えているわ。

それで確かアフロディーテと別れたあとにレンタルショップに行ってブルーレイで全巻かりて、発泡酒を飲みながら観ていたのよね……。

そうよ、確か、そうよ……。

だから一人で家まで帰って来たはずよね。

じゃあ、これは誰よ……。

私が自室で目覚めると、知らない男性が全裸で隣に寝ていたの。

全裸よ、全裸!?

私はベッドからゆっくりでると台所でひとまずコップ一杯の水を飲み干したわ。

それからゆっくり考えたの。

やっぱり思い出せないわ……。

こんな野郎をお持ち帰りした覚えが無いの……。

しかもたいしてハンサムでもないわ。

私の好みか好みじゃあないかって言えば、全然好みじゃあないわよ。

むしろハズレだわ。

だってガキっぽいのですもの……。

私的にはアレスのような荒々しく男らしい行っちゃいな系の男性が好みなのに、なんでこんなどこの馬の骨か分からない糞ガキをお持ち帰りしちゃったのかしら……。

私、飢えてたの?

ストレスが溜まってたのかしら?

いや、どちらでもないわ……。

これは事故よ……。

突発的な人身事故よ。

そうよ事故だから保険の対象よ。

よし、この人間を埋めてしまおう。

人気の無い山に運んで埋めてしまえ。

証拠は隠滅よ。

そうすれば皆のアイドル的なアテナちゃんの純粋無垢なイメージが保てるわ。

確か倉庫にスコップとズタ袋が在ったはずよね。

よし、あったあった。

これに入れてアイツを山に埋めてやるわ。

あら……。

このズタ袋じゃあ小さいわね……。

どうしましょう?

あー、そうだわ。

バラしましょうか。

バスルームに運んでノコギリでばらしましょう。

パーツごとに小さくすれば、このズタ袋でも運べるわ。

あらら……。

ノコギリが無いわね……。

そりゃあそうよね。

何せ大工仕事なんて私はしないもの。

代わりに何か無いかしら?

確か台所に包丁があったけど、家庭用の包丁で人間をバラせるかしら?

アフロディーテのヤツがノコギリとか持ってないかしらね?

ちょっとLINEで訊いてみようかな。

よっ、よっ、よっと。

よし、メッセージを送ったわ。

返答はまだかな~。

おっ、返って来たわ。

【今は仕事中よ。あとにして】

えー、何よアイツは!

親友の女神が困っているのに、何を呑気に仕事なんてしてやがるのよ!!

アイツは真面目か!?

あっ、私も仕事だったわ……。

とうしよう、もうこんな時間だわ……。

こりゃあ無断欠席だわね……。

あとでタイムカードに小細工して出社していたことにしておきましょう。

まあ、いつものことだから大丈夫よ。

それよりも、このベッドの中の汚物をどうにかしないとならないわ。

んん?

あれ、この子って確か……。

あー、思い出せないわ……。

見覚えがあるんだけど思い出せないわ……。

でも、知ってる顔よ。

確かー、誰だっけなー……。

取引相手の社員だったっけな~。

それとも顧客の誰かだったっけな~。

「んん~……、あと五分……」

うわ、びっくりした!

なに、寝言!?

何があと五分よ!

ヤバイわね。

とりあえず五分後に目覚められると厄介だから、早めに息の根を止めておこうかしら。

このスコップで首を跳ねようかな?

あー、でもここで殺したら私のベッドが血で汚れるは。

ここでベッドを失ったら今晩私が寝る場所が無くなるじゃあないの。

とりあえずバスルームに運ぼうかしら。

「んん~……、あれ、アテナ、起きてたの?」

おーきーたーー!!

なんでここで目覚めるの、この糞ガキは!!

糞ガキがベッドの上で上半身だけを起こしたわ。

裸よ、裸!!

乳首が立ってるじゃんか!?

「どうしたんだよ、アテナ。そんなにびっくりした顔で俺を見つめるなよ」

いや、なに、なんでコイツはこんなに落ち着いているのよ!?

冷静と言いますか、凄く馴染んでない!?

なんでよ!?

「なあ、アテナ。昨日は凄かったよ。まさかあんなにアテナが乱れるなんてさ。予想外だったぜ」

私も予想外だわ!!

えっ、マジ!?

マジでそんなハードな関係に進んじゃったの、私たち!?

「ああ、やべ……。思い出した……」

膨らんでる!!

布団で隠れている股間の部分がテントを張ってますわー!!

しかも大きくない!?

かなりデカイわよ!!

マジ!?

「そうそう、アテナ。ベッドの中にワインの瓶が在ったぞ」

瓶かよ!!

紛らわしいところに瓶なんて入れるなよ!!

「よし、だいぶ寝たから、そろそろ起きようかな」

糞ガキが私のベッドから出た。

やはり全裸だ。

あれ、私は寝巻きを着ているわね?

服の乱れも無いわ……。

「あなた、なんで全裸なのよ?」

「えっ、だってベッドで寝るんだぜ。そりゃあ全裸にもなるだろ?」

「じゃあなんで私のベッドで寝てたのよ?」

「なんでって、そりゃあベッドがひとつしか無かったからだ」

「あなた、私に何かしなかった?」

「何かってなんだよ?」

「ほら、あれよ、あれ……」

「言ってる意味が分からんな。もっと具体的に言ってくれ」

「エッ、エッチなこと、とか……」

「はぁ?」

「私にエッチなことをしなかったかって訊いてるのよ!!」

「するわけ無いだろ」

「なんでしないのよ!?」

「だってお前は俺の好きなタイプどころか嫌いなタイプだもん。人身事故すら起きないぞ」

「ふざけんな、糞ガキ!!」

安心したけど、それはそれで超ムカツクは!!

たまには私だって突発的な人身事故ぐらい起こしたいわよ!

糞ガキは徐に脱ぎ捨ててあった衣類を着始める。

「なあ、それよりもだぁ。俺さ、レベル40になったからボーナスくれよ」

「えっ、ボーナス?」

「そうだよ、レベル10おきにボーナスをくれるんだろ」

あー、思い出したわ。

こいつは確か仕事で転生させた糞ガキの一人だわ。

「ボーナスはあげるわよ。それはそうと、なんで勝手に部屋まで入って来たのよ?」

「だってお前が寝ていたから」

「寝ている女神の部屋に勝手に入るかな、普通!!」

「でも、お前の寝顔は可愛かったぞ」

「なっ、何を言い出すのよ、この子は!!」

「何を照れてるんだ、おまえ?」

「もう分かったから。これあげるからさっさと帰ってよ!!」

私は側にあったスコップを糞ガキに投げつけた。

糞ガキはスコップを片手でキャッチすると質問してくる。

「なんだよ、このスコップは?」

「資源を堀当てる大地のスコップよ」

「資源を?」

「いいから、早く帰りなさい!!」

「おい、押すなよ!」

「いいから、早く帰れ!!」

私は糞ガキを扉から押し出した。

「ふぅ~……。やっと帰ったわ……」

私は扉に背をつけて溜め息を吐く。

それにしても思い出せないわ……。

あいつ、誰だっけ?


【つづく】
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