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第369話【二択】
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不覚!!
まさか落とし穴の真上に立って居たなんて!!
トラップ発見スキルが有るのになんてこったい!!
あのリッチの強い霊力ばかりに気を取られていたぜ!!
俺は現在真っ逆さまに落とし穴を降下していた。
不味いな、このままだと落っこちてペチャンコになってしまうぞ。
俺は手に有る黄金剣を壁に突き立てブレーキを掛ける。
前にもこんなの有ったな~。
懐かしがってる場合じゃあねえか!
「オラァァアアアア!!!」
ガリガリと剣先が石の壁を削る音を響かせながら俺は降下して行った。
少しは速度が落ちている。
でも、俺は落ちている。
止まらない。
「とーまーれーー!!」
抜け出た!?
着地!?
「どわぁ!?」
俺は落とし穴から部屋の天井に抜け出た直後、唐突に着地した。
「あ、し、が……」
足が痺れる……。
俺は体に受けたダメージが差程でもないと察すると、直ぐに周囲を見回した。
敵は居ない。
ここはどこ?
薄暗い室内だ。
明かりは無いが夜目スキルでうっすらと形が見える。
俺が落ちて来た天井の穴まで4メートルぐらいの高さだ。
部屋の広さは15メートル四方ってぐらいだろうか。
後ろと前に通路が一つずつ見える。
石造りでカビ臭いダンジョンって感じだろう。
俺は異次元宝物庫から虫除けのランタンを出すと明かりを灯した。
幾ら夜目スキルがあっても暗いものは暗いのだ。
夜目スキルは完璧な暗視スキルでは無い。
「さて、殺風景な部屋だな」
周りを明かりで照らして見れば、在るものと行ったら白骨化した死体ばかりだ。
しかもマジックアイテムどころか金目の物すら所持していない。
錆びれて朽ち果てそうな武具だけだ。
身形からして戦士だろう。
しかもボロボロだが以前は結構高価な武具だったのが分かる。
かなり風化した感じが見て取れた。
500年前の戦争で死んだ兵士かな?
一般兵士の装備じゃあないぞ。
騎士レベルかな。
「それにしても、どうするかだ……」
明かりで天井を照らした。
俺が落ちて来た落とし穴から上に帰還するのは難しいだろう。
ならば、このダンジョンを探索して、出口をさがすのが妥当なのかな。
「んん……?」
音がする。
両方の通路からだ。
ガシャンガシャンと鎧を弾ませ走って来る音だ。
二つの通路は人が一人通れる程度のサイズ。
その両方から出迎えがやって来る。
「挟まれたか……」
立地が悪いな。
だが、この音が鎧の音ならば、相手は物理系のアンデッドの可能性が高い。
ならばスケルトンどもだろう。
それなら挟まれて居ても余裕だぜ。
俺は壁を背にして身構えた。
どちらの通路も見れる位置だ。
すると右の通路から鎧を纏った騎士風のスケルトンが数体現れた。
念のため名前を判定してみる。
【スケルトンナイトです】
うん、見たまんまだな。
すると今度は左の通路から太った豚系アンデッドが数体現れた。
部屋に悪臭が漂う。
なんだ、このオークは?
腐ってやがる。
アンデッドオークか?
念のため名前判定だ。
【オークグールです】
あら、珍しいモンスターが出て来たな。
スケルトンナイツとオークグールたち。
その間に壁を背にする俺が居る。
スケルトンナイツとオークグールたちが俺を見た。
だが、その視線はすぐさま正面の団体に移る。
スケルトンナイツとオークグールたちが武器を構えて睨み合いを始めたのだ。
あれ、こいつら敵対してるのかな?
俺よりお互いをスゲー気にしているもの。
俺はしばらく様子を窺った。
部屋に入って来ているスケルトンナイツは五体。
同じくオークグールも五体。
数的には五分五分である。
スケルトンナイツの武装を見れば、ところどころにマジックアイテムが入っていた。
触れられないから能力鑑定は出来ない。
同じくオークグールもマジックアイテムを幾つか装備していた。
おそらく戦力も五分五分だろう。
その証拠に互いに睨み合うばかりで仕掛けない。
動かず睨み合っている。
こいつらはアンデッドだから時間なんて関係無いのだろう。
このままだと飽きるまで睨み合ってそうだわ。
そもそも飽きるのか?
てか、生きてる俺が痺れて来たぞ。
こうなったなら──。
「ファイアーボール、ファイアーボール!!」
俺は互いのグループにファイアーボールを一発ずつ撃ち込んでやった。
カビ臭い部屋に爆炎が立ち込める。
よし、三体ずつやっつけたぞ。
しかし、残りの二体ずつは俺を睨み付けてきた。
おお、敵意が俺に向いてますな。
すると四体が飛び掛かって来る。
スケルトンナイツ二体とオークグール二体の同時攻撃となった。
しかし俺は二グループの間を駆けた。
「ふんっ、ふんっ!!」
スケルトンナイトの右足を斬り裂いて、返しでオークグールの左肩を斬り落とす。
更に体を翻した俺は、転倒したスケルトンナイトの頭を黄金剣でカチ割ると、振り返りざまの左裏拳で片腕を失ったオークグールの顔面を打ち殴る。
俺の鉄拳を食らったオークグールの首が回転しながら千切れ落ちた。
更に──。
「ウェポンスマッシュ!」
スキルを乗せた袈裟斬りで、残りのスケルトンナイトを両断。
更に──。
「ヘルムクラッシャー!」
強打スキルで残りのオークグールを頭から股間へと真っ二つに斬り裂いた。
袈裟斬りにされたスケルトンナイトの上半身が滑り落ちると、オークグールの体が左右に割れて倒れた。
よし、両軍討伐成功!
「さてさて、マジックアイテムでも漁ろうかな」
俺はマジックアイテムを漁りながら考えた。
右の通路から来たのがスケルトンナイツだ。
左の通路から来たのがオークグールだ。
これって、勇者軍の死体がアンデッド化した軍勢で、もう片方が魔王軍の死体がアンデッド化した軍勢じゃあないのかな?
「あー、なるほど……」
こいつらアンデッドどもは、戦後500年たっても、まだ戦ってるんだ。
アンデッドになってもさ……。
ふと、上の謁見室で言われたことを思い出す。
『汝、魔王か、勇者か……?』
リッチのマミーレイス婦人と思われるヤツが言ってたのは、これなのかな?
って、ことはだ。
俺を魔王軍か勇者軍として戦わせる気でいやがったのか?
まあ、分からん。
考えても答えが出ないから、とりあえずダンジョンを探索しようかな。
まずは出口探しが優先か。
俺は左右の通路を眺めながら考えた。
「あー、なるほどね……。もう選択を求められているんだ……」
スケルトンナイツが出て来た右の通路を進めば勇者軍。
オークグールが出て来た左の通路を進めば魔王軍か……。
どちらにつくかってことかな?
てか、進んだほうの軍勢と戦えば逆の軍勢につくってことか?
もしも殺されたら同じアンデッドになって、そっちの軍勢の仲間入りってことなの?
あー、難しい。
面倒臭いなー……。
さてさて、どっちに進むか悩んじゃう~。
どちらも進むけど、どっちを先に探索するかで悩んじゃうよ~。
どっちも先に進みたいわ~。
【つづく】
まさか落とし穴の真上に立って居たなんて!!
トラップ発見スキルが有るのになんてこったい!!
あのリッチの強い霊力ばかりに気を取られていたぜ!!
俺は現在真っ逆さまに落とし穴を降下していた。
不味いな、このままだと落っこちてペチャンコになってしまうぞ。
俺は手に有る黄金剣を壁に突き立てブレーキを掛ける。
前にもこんなの有ったな~。
懐かしがってる場合じゃあねえか!
「オラァァアアアア!!!」
ガリガリと剣先が石の壁を削る音を響かせながら俺は降下して行った。
少しは速度が落ちている。
でも、俺は落ちている。
止まらない。
「とーまーれーー!!」
抜け出た!?
着地!?
「どわぁ!?」
俺は落とし穴から部屋の天井に抜け出た直後、唐突に着地した。
「あ、し、が……」
足が痺れる……。
俺は体に受けたダメージが差程でもないと察すると、直ぐに周囲を見回した。
敵は居ない。
ここはどこ?
薄暗い室内だ。
明かりは無いが夜目スキルでうっすらと形が見える。
俺が落ちて来た天井の穴まで4メートルぐらいの高さだ。
部屋の広さは15メートル四方ってぐらいだろうか。
後ろと前に通路が一つずつ見える。
石造りでカビ臭いダンジョンって感じだろう。
俺は異次元宝物庫から虫除けのランタンを出すと明かりを灯した。
幾ら夜目スキルがあっても暗いものは暗いのだ。
夜目スキルは完璧な暗視スキルでは無い。
「さて、殺風景な部屋だな」
周りを明かりで照らして見れば、在るものと行ったら白骨化した死体ばかりだ。
しかもマジックアイテムどころか金目の物すら所持していない。
錆びれて朽ち果てそうな武具だけだ。
身形からして戦士だろう。
しかもボロボロだが以前は結構高価な武具だったのが分かる。
かなり風化した感じが見て取れた。
500年前の戦争で死んだ兵士かな?
一般兵士の装備じゃあないぞ。
騎士レベルかな。
「それにしても、どうするかだ……」
明かりで天井を照らした。
俺が落ちて来た落とし穴から上に帰還するのは難しいだろう。
ならば、このダンジョンを探索して、出口をさがすのが妥当なのかな。
「んん……?」
音がする。
両方の通路からだ。
ガシャンガシャンと鎧を弾ませ走って来る音だ。
二つの通路は人が一人通れる程度のサイズ。
その両方から出迎えがやって来る。
「挟まれたか……」
立地が悪いな。
だが、この音が鎧の音ならば、相手は物理系のアンデッドの可能性が高い。
ならばスケルトンどもだろう。
それなら挟まれて居ても余裕だぜ。
俺は壁を背にして身構えた。
どちらの通路も見れる位置だ。
すると右の通路から鎧を纏った騎士風のスケルトンが数体現れた。
念のため名前を判定してみる。
【スケルトンナイトです】
うん、見たまんまだな。
すると今度は左の通路から太った豚系アンデッドが数体現れた。
部屋に悪臭が漂う。
なんだ、このオークは?
腐ってやがる。
アンデッドオークか?
念のため名前判定だ。
【オークグールです】
あら、珍しいモンスターが出て来たな。
スケルトンナイツとオークグールたち。
その間に壁を背にする俺が居る。
スケルトンナイツとオークグールたちが俺を見た。
だが、その視線はすぐさま正面の団体に移る。
スケルトンナイツとオークグールたちが武器を構えて睨み合いを始めたのだ。
あれ、こいつら敵対してるのかな?
俺よりお互いをスゲー気にしているもの。
俺はしばらく様子を窺った。
部屋に入って来ているスケルトンナイツは五体。
同じくオークグールも五体。
数的には五分五分である。
スケルトンナイツの武装を見れば、ところどころにマジックアイテムが入っていた。
触れられないから能力鑑定は出来ない。
同じくオークグールもマジックアイテムを幾つか装備していた。
おそらく戦力も五分五分だろう。
その証拠に互いに睨み合うばかりで仕掛けない。
動かず睨み合っている。
こいつらはアンデッドだから時間なんて関係無いのだろう。
このままだと飽きるまで睨み合ってそうだわ。
そもそも飽きるのか?
てか、生きてる俺が痺れて来たぞ。
こうなったなら──。
「ファイアーボール、ファイアーボール!!」
俺は互いのグループにファイアーボールを一発ずつ撃ち込んでやった。
カビ臭い部屋に爆炎が立ち込める。
よし、三体ずつやっつけたぞ。
しかし、残りの二体ずつは俺を睨み付けてきた。
おお、敵意が俺に向いてますな。
すると四体が飛び掛かって来る。
スケルトンナイツ二体とオークグール二体の同時攻撃となった。
しかし俺は二グループの間を駆けた。
「ふんっ、ふんっ!!」
スケルトンナイトの右足を斬り裂いて、返しでオークグールの左肩を斬り落とす。
更に体を翻した俺は、転倒したスケルトンナイトの頭を黄金剣でカチ割ると、振り返りざまの左裏拳で片腕を失ったオークグールの顔面を打ち殴る。
俺の鉄拳を食らったオークグールの首が回転しながら千切れ落ちた。
更に──。
「ウェポンスマッシュ!」
スキルを乗せた袈裟斬りで、残りのスケルトンナイトを両断。
更に──。
「ヘルムクラッシャー!」
強打スキルで残りのオークグールを頭から股間へと真っ二つに斬り裂いた。
袈裟斬りにされたスケルトンナイトの上半身が滑り落ちると、オークグールの体が左右に割れて倒れた。
よし、両軍討伐成功!
「さてさて、マジックアイテムでも漁ろうかな」
俺はマジックアイテムを漁りながら考えた。
右の通路から来たのがスケルトンナイツだ。
左の通路から来たのがオークグールだ。
これって、勇者軍の死体がアンデッド化した軍勢で、もう片方が魔王軍の死体がアンデッド化した軍勢じゃあないのかな?
「あー、なるほど……」
こいつらアンデッドどもは、戦後500年たっても、まだ戦ってるんだ。
アンデッドになってもさ……。
ふと、上の謁見室で言われたことを思い出す。
『汝、魔王か、勇者か……?』
リッチのマミーレイス婦人と思われるヤツが言ってたのは、これなのかな?
って、ことはだ。
俺を魔王軍か勇者軍として戦わせる気でいやがったのか?
まあ、分からん。
考えても答えが出ないから、とりあえずダンジョンを探索しようかな。
まずは出口探しが優先か。
俺は左右の通路を眺めながら考えた。
「あー、なるほどね……。もう選択を求められているんだ……」
スケルトンナイツが出て来た右の通路を進めば勇者軍。
オークグールが出て来た左の通路を進めば魔王軍か……。
どちらにつくかってことかな?
てか、進んだほうの軍勢と戦えば逆の軍勢につくってことか?
もしも殺されたら同じアンデッドになって、そっちの軍勢の仲間入りってことなの?
あー、難しい。
面倒臭いなー……。
さてさて、どっちに進むか悩んじゃう~。
どちらも進むけど、どっちを先に探索するかで悩んじゃうよ~。
どっちも先に進みたいわ~。
【つづく】
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