上 下
357 / 604

第357話【ある日の朝食風景】

しおりを挟む
次の日の朝、俺は、屋根が吹き飛び朝日が拝めるログハウスのリビングで、ソドムタウンの皆と一緒に朝食を取っていた。

いつもながらのメンバーだ。

スカル姉さん、ゴリ、バイマン、オアイドス、それにガイアだ。

「旨いなー、人間のご飯は美味しいなー(棒読み)」

そうだった……。

こいつも居たんだった。

魔王城の森から連れて来たホビットのアインシュタインだ。

今日は朝食を済ませたら、スカル姉さんと一緒に君主に謁見することになっている。

その前にアインシュタインを森に帰してやろうと思っていた。

「なあ、アインシュタイン」

「なんだー、アスラン?(棒読み)」

「送ってってやるから飯を食ったら森に帰れ」

「えー、やだやだー(棒読み)」

「なんでだよ?」

「オラもここに住むー(棒読み)」

「なんで?」

「ご飯も旨いしー、屋根もあるからだー(棒読み)」

俺は吹き飛んで無くなった天井を見上げながら言った。

「屋根はもう無いぞ」

「あー、そうだなー。じゃあオラが作るだー(棒読み)」

「えっ、作れるの?」

なに、どう言うこと?

こんな小人が屋根を一人で作れるのか?

穴蔵に住んでたのに?

まーさかー。

「魔法か何かを使うのか?」

「日曜大工ならお手のものだー。任せろー(棒読み)」

俺は食卓を囲むスカル姉さんに訊いた。

「スカル姉さん、修理の大工っていつ入るの?」

「明日の予定だ」

じゃあ一日ぐらいアインシュタインに任せてみるか。

それで本気かギャグかが分かるだろうさ。

「まあ、大工が入るまで頑張ってみろ、アインシュタイン」

「おー、チャンスだー。頑張るぜー(棒読み)」

まあ、奇跡が起きるかも知れんしな。

「ところでスカル姉さん」

「なんだ、アスラン?」

「今日、君主のところに誰が集まるんだ?」

確か昨日、人が集まるみたいなことを言ってたと思う。

スカル姉さんがコーヒーを啜りながら俺の質問に答えた。

「パトロンたちだ」

「パトロン?」

パトロンって、スポンサーみたいなものか?

俺の魔王城町化計画に資金を出してくれるヤツらなのかな?

「誰よ?」

「私も詳しくしらん。ただ、お前の町作りに興味を持った金持ちたちが、いろいろと訊きたくて集まるんだ。それで、丁度本人が帰って来ているんだから、お前から話すのが筋かなってね」

「確かに俺の計画だから、俺から話すのが筋だわな……」

「だから朝食を食べたら町外れの洋館に出向くぞ」

町外れの洋館って、ヒルダやプロ子たちと出会った洋館だよな。

人形のお化けを祓ったら新君主が住むってミーちゃんが言ってたっけ。

てか、もう君主が交代しているはずなんだよな。

新君主ってどんなヤツだろう?

俺は会ったことが無い。

まあ、昔の君主もどんなヤツか知らんけれどね。

兎に角だ。

資金を出してくれるヤツらなら、顔ぐらい会わせといても損は無かろう。

もしも気に食わないヤツらや、気に食わない条件を出されたら、断れば良いだけだもんな。

そもそも俺一人でこの計画は遂行する気で始めたんだもん。

パトロンなんて要らないよ。

スカル姉さんが言う。

「なあ、アスラン。お前って、スーツとか持ってるか?」

「スーツ?」

「貴族パーティー用のスーツだ」

「勿論無いぞ!」

俺は胸を張って言った。

そんなオシャレな物は持っていないし、持つ気も無いぜ。

だって俺は冒険者だもの!!

「じゃあ君主のところに行く前に、古着屋でそれなりの物を揃えて行くぞ」

「なんで? 皮鎧にローブでいいだろ?」

「富豪が出るか、貴族が出るかも分からんのだぞ。そんな汚い格好で行かせられるか。今回はお金の話をするんだ。少しは気をつかえ」

「じゃあ、スカル姉さんはボディコンに白衣じゃあなくって、ドレスでも着て行くのか?」

「とうぜんだ」

「「「「えっ、マジ!!」」」」

食卓を共にしていた野郎どもが声を揃えて驚いた。

まさか気品の欠片も持ち合わせていない姉御肌のスカル姉さんが、レディーのような可憐なドレスを着るとは信じられないからだ。

ゴリが言う。

「スカル姉さんって、ドレス着るんだ……」

バイマンが言う。

「もうただの仮装パーティーですよね……」

オアイドスが言う。

「えっ、ギャグ……?」

ガイアが言う。

「アインシュタイン、私が作ったご飯は旨いか?」

アインシュタインが言う。

「オラのために朝御飯を作ってくれたんだなー。結婚しよー(棒読み)」

俺が言う。

「まあ、皆、とりあえず落ち着こう。これは天変地異じゃあないんだから……」

スカル姉さんが言う。

「この野郎ども、相変わらず失礼だな。全員そこに列べ。ジャーマンで投げてやるから」

「分かった。それなら俺もパーティー用スーツを一着用意しよう」

「物わかりがいいな、アスラン。だが、私を侮辱した罪は消えんぞ」

「「「「ははーーーん……」」」」

俺たちヤローズは四人ならんで土下座した。

ジャーマンの女神の怒りを宥める。

「アスラーン、オラとガイアは結婚するぞー(棒読み)」

「しない……。パンダ、このホビットを摘まみ出しなさい」

「うーわー、たーすーけーてー!(棒読み)」

アインシュタインがパンダゴーレムに抱えられて室外に放り投げ捨てられる。

外の地面に転がったアインシュタインの上に、少し高い位置からダイブしたパンダがヒップドロップで追い討ちを入れていた。

命令以上の攻撃をするパンダゴーレム、素晴らしい!!

頭が壊れているとは思えないぞ。


【つづく】
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

mio
ファンタジー
 特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。  神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。 そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。 日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。    神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?  他サイトでも投稿しております。

特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。 どんなスキルかというと…? 本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。 パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。 だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。 テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。 勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。 そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。 ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。 テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を… 8月5日0:30… HOTランキング3位に浮上しました。 8月5日5:00… HOTランキング2位になりました! 8月5日13:00… HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ ) 皆様の応援のおかげです(つД`)ノ

俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。

ヒィッツカラルド
ファンタジー
ハクスラ異世界×ソロ冒険×ハーレム禁止×変態パラダイス×脱線大暴走ストーリー=前代未聞の地味な中毒性。 ⬛前書き⬛ この作品は、以前エブリスタのファンタジーカテゴリーで一年間ベスト10以内をうろちょろしていた完結作品を再投稿した作品です。 当時は一日一話以上を投稿するのが目標だったがために、ストーリーや設定に矛盾点が多かったので、それらを改変や改編して書き直した作品です。 完結した後に読者の方々から編集し直して新しく書き直してくれって声や、続編を希望される声が多かったので、もう一度新たに取り組もうと考えたわけです。 また、修整だけでは一度お読みになられた方々には詰まらないだろうからと思いまして、改変的な追加シナリオも入れています。 前作では完結するまで合計約166万文字で601話ありましたが、今回は切りが良いところで区切り直して、単行本サイズの約10万文字前後で第1章分と区切って編成しております。 そうなりますと、すべてを書き直しまして第17章分の改変改編となりますね。 まあ、それらの関係でだいぶ追筆が増えると考えられます。 おそらく改変改編が終わるころには166万文字を遥かに越える更に長い作品になることでしょう。 あと、前作の完結部も改編を考えておりますし、もしかしたら更にアスランの冒険を続行させるかも知れません。 前回だとアスランのレベルが50で物語が終わりましたが、当初の目標であるレベル100まで私も目指して見たいと思っております。 とりあえず何故急に完結したかと言いますと、ご存知の方々も居ると思いますが、私が目を病んでしまったのが原因だったのです。 とりあえずは両目の手術も終わって、一年ぐらいの治療の末にだいぶ落ち着いたので、今回の企画に取り掛かろうと思った次第です。 まあ、治療している間も、【ゴレてん】とか【箱庭の魔王様】などの作品をスローペースで書いては居たのですがねw なので、まだハクスラ異世界を読まれていない読者から、既に一度お読みになられた読者にも楽しんで頂けるように書き直して行きたいと思っております。 ですので是非にほど、再びハクスラ異世界をよろしくお願いいたします。 by、ヒィッツカラルド。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...