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第326話【光のオーブ】
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俺はラミア三姉妹に襲われただだっ広い大部屋を出てダンジョンの先を目指した。
そして、三時間ぐらいの放浪がランダムダンジョン内で続いた。
キャリオンクローラーの横穴に潜ってマジックアイテムを見付けたり、リビングアーマーの群れと戦いマジックアイテムを見付けたり、更にはサラマンダーの巣を荒らしてマジックアイテムを見付けたりしていた。
兎に角だ。
マジックアイテムがガッポガッポである。
大漁の超豊作である。
ラッキー!!
そんなこんなで俺は、今とても怪しい部屋を見付けて警戒していた。
部屋のサイズは30メートル四方ぐらいの部屋である。
部屋の奥には祭壇が有り、黒山羊頭の巨大石像が祀られていた。
完全にロード・オブ・ザ・ピットに類似している。
巨大石像の大きさは10メートルほどあるだろうか。
台座に胡座をかいて座って、片手にユラユラと燃えるトーチを持っている。
なに、この巨大像は?
オリンピックの聖火ランナーなのかな?
悪魔なんだから聖火なんて持たないか?
兎に角これは、ロード・オブ・ザ・ピットの石像なのだろうが、俺が知っているロード・オブ・ザ・ピットとは少し違っていた。
「おっぱい……」
そう、ロード・オブ・ザ・ピットの石像にはオッパイが二つも付いているのだ。
一つじゃあ無いんだよ。
ちゃんと二つ付いているんだよ。
何これ、女子?
俺が知っているロード・オブ・ザ・ピットはおち○ちんぶらぶらの男子だったのに──。
「んん~……。ロード・オブ・ザ・ピットの女子バージョンかな?」
って、ことは、オスメスが居るの?
ロード・オブ・ザ・ピットって種族名なのか?
いや、悪魔だから性別が無いとか?
天使と一緒なのか?
チン○ンもオマ○コも、両方付いているとか?
でも、俺が魔女にロード・オブ・ザ・ピットを紹介されたときには、オッパイなんて付いて無かったぞ。
チ○チンは付いてたけれどさ。
そうだ、もしかしたらこの石像にもチンチ○が付いているかも知れない。
胡座をかいているから見えないだけかも知れないぞ。
よし、近付いて見てみるか。
俺は警戒しながら部屋の中に入った。
何らかのモンスターの気配は無い。
俺は落とし穴にも気を付けて室内を進んだ。
そして胡座をかく巨大石像の前に到着する。
「よく見えないな……」
俺は石像の胡座に乗っかり股間をランタンで照らした。
あまりよく見えないが、チ◯コは付いて無いっぽい。
「やっぱり雌なのかな?」
『貴様、何処を覗いておるのじゃあ!』
声!?
俺は巨大石像から跳ね退き距離を作った。
ランタンで巨体石像の頭部を照らす。
ぼんやりと揺れるランタンの明かりに黒山羊頭が浮かび上がるが、それは石像で変わり無い。
だが、今間違いなくしゃべった。
俺は声を張る。
「誰か居るのか!?」
すると女の声で返答が戻って来る。
『お前こそ誰じゃあ?』
「えー……、冒険者です」
『えっ、一人? 仲間は死んだか?』
「いや、ソロです」
『ええ、そうなのかえ。凄いな』
「へへへ、それほどでも~」
『それより何故に冒険者がこのダンジョンに居るのじゃあ?』
「え、いや、冒険者だからダンジョンを探索してても可笑しくないでしょ」
『いや、まあそうじゃな……』
「あのー、すみませんが、どちら様でしょうか?」
『それはこっちのセリフだ。お前が私の社に、勝手に入って来たのだ。お前から名乗るのが筋だろう』
「あー、そうですね~。では──」
俺は一息ついてから自己紹介を始めた。
「俺はソロ専門の冒険者、アスランだ! よ、ろ、し、く、ね♡」
『お、お茶目な奴じゃのお……』
「えっ、呆れた?」
『うむ、呆れたぞ……』
祭壇のある部屋に静けさが流れた。
少し室温が下がる。
『では、今度は私が名乗ろうかの』
「よろしくお願いします」
『私はロード・オブ・ザ・ピットだ!』
あー、やっぱりロード・オブ・ザ・ピットなのね。
でも、別のロード・オブ・ザ・ピットっぽいな?
俺のことを知らないっぽいしさ。
あれ、まだ続きがあるぞ。
『地獄の守護神で有り、全知全能の神を裏切り地獄に追放された堕神であるぞ!』
堕神とは新しいニュアンスだな。
あれれ、まだ続けるのか?
『ここで出会ったのも何かの縁だ。何か一つ願いを叶えてやろう。なんなりと申すが良い!』
おおっ、いきなりお願いを叶えてくれるのか!?
ブルジョアな堕神さまだな。
「じゃあ、レイラ姫様に掛けられた呪いを解いてくれないか?」
『分かったぞよ、その願い聞き入れよう!』
「えっ、マジで!?」
『あー……、ちょっと待て……』
あらら、待っちゃったよ。
そのままの勢いで行ってしまえば良かったのにさ。
『なんでお前が呪われしレイラ姫を知っているのだ……?』
俺は正直に語る。
「俺をここに入れてくれたのは彼女だよ」
『えっ、仲良いの!?』
「まあ、ボチボチに」
『えー、でも、あのこ彼氏が居たでしょう、なんて言ったっけ、あの好青年?』
「ルークさん?」
『そうそう、ルーク君よ、ルーク』
「あの人さ、ちょっと焼き餅妬きなんだよね」
『えっ、そうなの?』
「俺とレイラお姫様が数時間二人きりになっただけで勘ぐって来るんですよ」
『あらあら、若いわね~』
「ところであなたはロード・オブ・ザ・ピットさんと、どのような関係ですか?」
『旦那よ、私は女房なの。ほらファミリーネームが一緒でしょう』
ロード・オブ・ザ・ピットって、ファミリーネームだったのか……。
しかも夫婦かよ……。
「じゃあ奥さん、早速ですがレイラ姫様の呪いを解いてくださいな」
『オッケー!』
軽いな!?
『でもなんで、あなたが家の亭主を知っているのじゃあ?』
そこに戻るのか……。
「えっと、まあ、いろいろありまして……」
『訳有りね。仕事関係かしら?』
「そ、そんなところです……」
『まあ、いいでしょう。もともと彼女がここまで到着出来たら呪いを解いて上げる約束だったんだしね。あなたでも構わないわ』
「構わないのか……」
そこまで石像が語ると黒山羊頭の額が眩しく光った。
額の五法星が輝いたのだ。
すると俺の周囲でオーブの明かりがプカプカと浮き上がった。
複数だ。
数々のオーブが床から浮かび上がりだしたのだ。
「これは?」
『レイラ姫の呪いが解けたから、この辺一帯に施された魔法が解除されたのじゃあ』
「もしかして、豊作の魔法か……?」
『そうじゃあ』
「じゃあ、この辺の土地は、また枯れるのか?」
『大丈夫じゃあないの。十年以上豊かに育ったんだから、そうそう枯れないじゃろ』
「肥料を与えなくても、一度耕した畑が簡単に枯れないようにか?」
『まあ、そんなところかのお』
以外に優しい話だな……。
本当に悪魔かよ?
『それじゃあ私もこのダンジョンを去るわね。私の仕事も終わりだから』
「ご苦労様でしたー!!」
俺は体育会系のように感謝を飛ばした。
『アスラン、あなたのことは主人にも宜しく言っておきますわ』
「そ、それは勘弁してください……」
『あら、敵なの?』
「味方ではありませんから……」
『分かったわ。でも、主人とも仲良くやってね。根は悪い邪神じゃあないのだから』
根が優しい邪神なんて居るのかな?
『では、さらばじゃあ!』
すると周囲が眩い光に包まれた。
視界が真っ白に染まったあとに目蓋を開くと、俺は森の中に立っていた。
夜だ。
俺はランタンを片手に滝の側に立っていたのだ。
「これでランダムダンジョンは終わりか……。なんだったんだ、いったいさ?」
俺は森を出てイルミナルの町を目指した。
そして、イルミナルの町が見える平原から町のほうを見れば、町がぼんやりと輝いているのだ。
その輝きは、複数のオーブと代わって天に登って行くのであった。
まるで昇天した魂のように──。
「まさか、町の人々が死んじゃったか!!」
俺は町に走った。
でも、違った。
一安心である。
【つづく】
そして、三時間ぐらいの放浪がランダムダンジョン内で続いた。
キャリオンクローラーの横穴に潜ってマジックアイテムを見付けたり、リビングアーマーの群れと戦いマジックアイテムを見付けたり、更にはサラマンダーの巣を荒らしてマジックアイテムを見付けたりしていた。
兎に角だ。
マジックアイテムがガッポガッポである。
大漁の超豊作である。
ラッキー!!
そんなこんなで俺は、今とても怪しい部屋を見付けて警戒していた。
部屋のサイズは30メートル四方ぐらいの部屋である。
部屋の奥には祭壇が有り、黒山羊頭の巨大石像が祀られていた。
完全にロード・オブ・ザ・ピットに類似している。
巨大石像の大きさは10メートルほどあるだろうか。
台座に胡座をかいて座って、片手にユラユラと燃えるトーチを持っている。
なに、この巨大像は?
オリンピックの聖火ランナーなのかな?
悪魔なんだから聖火なんて持たないか?
兎に角これは、ロード・オブ・ザ・ピットの石像なのだろうが、俺が知っているロード・オブ・ザ・ピットとは少し違っていた。
「おっぱい……」
そう、ロード・オブ・ザ・ピットの石像にはオッパイが二つも付いているのだ。
一つじゃあ無いんだよ。
ちゃんと二つ付いているんだよ。
何これ、女子?
俺が知っているロード・オブ・ザ・ピットはおち○ちんぶらぶらの男子だったのに──。
「んん~……。ロード・オブ・ザ・ピットの女子バージョンかな?」
って、ことは、オスメスが居るの?
ロード・オブ・ザ・ピットって種族名なのか?
いや、悪魔だから性別が無いとか?
天使と一緒なのか?
チン○ンもオマ○コも、両方付いているとか?
でも、俺が魔女にロード・オブ・ザ・ピットを紹介されたときには、オッパイなんて付いて無かったぞ。
チ○チンは付いてたけれどさ。
そうだ、もしかしたらこの石像にもチンチ○が付いているかも知れない。
胡座をかいているから見えないだけかも知れないぞ。
よし、近付いて見てみるか。
俺は警戒しながら部屋の中に入った。
何らかのモンスターの気配は無い。
俺は落とし穴にも気を付けて室内を進んだ。
そして胡座をかく巨大石像の前に到着する。
「よく見えないな……」
俺は石像の胡座に乗っかり股間をランタンで照らした。
あまりよく見えないが、チ◯コは付いて無いっぽい。
「やっぱり雌なのかな?」
『貴様、何処を覗いておるのじゃあ!』
声!?
俺は巨大石像から跳ね退き距離を作った。
ランタンで巨体石像の頭部を照らす。
ぼんやりと揺れるランタンの明かりに黒山羊頭が浮かび上がるが、それは石像で変わり無い。
だが、今間違いなくしゃべった。
俺は声を張る。
「誰か居るのか!?」
すると女の声で返答が戻って来る。
『お前こそ誰じゃあ?』
「えー……、冒険者です」
『えっ、一人? 仲間は死んだか?』
「いや、ソロです」
『ええ、そうなのかえ。凄いな』
「へへへ、それほどでも~」
『それより何故に冒険者がこのダンジョンに居るのじゃあ?』
「え、いや、冒険者だからダンジョンを探索してても可笑しくないでしょ」
『いや、まあそうじゃな……』
「あのー、すみませんが、どちら様でしょうか?」
『それはこっちのセリフだ。お前が私の社に、勝手に入って来たのだ。お前から名乗るのが筋だろう』
「あー、そうですね~。では──」
俺は一息ついてから自己紹介を始めた。
「俺はソロ専門の冒険者、アスランだ! よ、ろ、し、く、ね♡」
『お、お茶目な奴じゃのお……』
「えっ、呆れた?」
『うむ、呆れたぞ……』
祭壇のある部屋に静けさが流れた。
少し室温が下がる。
『では、今度は私が名乗ろうかの』
「よろしくお願いします」
『私はロード・オブ・ザ・ピットだ!』
あー、やっぱりロード・オブ・ザ・ピットなのね。
でも、別のロード・オブ・ザ・ピットっぽいな?
俺のことを知らないっぽいしさ。
あれ、まだ続きがあるぞ。
『地獄の守護神で有り、全知全能の神を裏切り地獄に追放された堕神であるぞ!』
堕神とは新しいニュアンスだな。
あれれ、まだ続けるのか?
『ここで出会ったのも何かの縁だ。何か一つ願いを叶えてやろう。なんなりと申すが良い!』
おおっ、いきなりお願いを叶えてくれるのか!?
ブルジョアな堕神さまだな。
「じゃあ、レイラ姫様に掛けられた呪いを解いてくれないか?」
『分かったぞよ、その願い聞き入れよう!』
「えっ、マジで!?」
『あー……、ちょっと待て……』
あらら、待っちゃったよ。
そのままの勢いで行ってしまえば良かったのにさ。
『なんでお前が呪われしレイラ姫を知っているのだ……?』
俺は正直に語る。
「俺をここに入れてくれたのは彼女だよ」
『えっ、仲良いの!?』
「まあ、ボチボチに」
『えー、でも、あのこ彼氏が居たでしょう、なんて言ったっけ、あの好青年?』
「ルークさん?」
『そうそう、ルーク君よ、ルーク』
「あの人さ、ちょっと焼き餅妬きなんだよね」
『えっ、そうなの?』
「俺とレイラお姫様が数時間二人きりになっただけで勘ぐって来るんですよ」
『あらあら、若いわね~』
「ところであなたはロード・オブ・ザ・ピットさんと、どのような関係ですか?」
『旦那よ、私は女房なの。ほらファミリーネームが一緒でしょう』
ロード・オブ・ザ・ピットって、ファミリーネームだったのか……。
しかも夫婦かよ……。
「じゃあ奥さん、早速ですがレイラ姫様の呪いを解いてくださいな」
『オッケー!』
軽いな!?
『でもなんで、あなたが家の亭主を知っているのじゃあ?』
そこに戻るのか……。
「えっと、まあ、いろいろありまして……」
『訳有りね。仕事関係かしら?』
「そ、そんなところです……」
『まあ、いいでしょう。もともと彼女がここまで到着出来たら呪いを解いて上げる約束だったんだしね。あなたでも構わないわ』
「構わないのか……」
そこまで石像が語ると黒山羊頭の額が眩しく光った。
額の五法星が輝いたのだ。
すると俺の周囲でオーブの明かりがプカプカと浮き上がった。
複数だ。
数々のオーブが床から浮かび上がりだしたのだ。
「これは?」
『レイラ姫の呪いが解けたから、この辺一帯に施された魔法が解除されたのじゃあ』
「もしかして、豊作の魔法か……?」
『そうじゃあ』
「じゃあ、この辺の土地は、また枯れるのか?」
『大丈夫じゃあないの。十年以上豊かに育ったんだから、そうそう枯れないじゃろ』
「肥料を与えなくても、一度耕した畑が簡単に枯れないようにか?」
『まあ、そんなところかのお』
以外に優しい話だな……。
本当に悪魔かよ?
『それじゃあ私もこのダンジョンを去るわね。私の仕事も終わりだから』
「ご苦労様でしたー!!」
俺は体育会系のように感謝を飛ばした。
『アスラン、あなたのことは主人にも宜しく言っておきますわ』
「そ、それは勘弁してください……」
『あら、敵なの?』
「味方ではありませんから……」
『分かったわ。でも、主人とも仲良くやってね。根は悪い邪神じゃあないのだから』
根が優しい邪神なんて居るのかな?
『では、さらばじゃあ!』
すると周囲が眩い光に包まれた。
視界が真っ白に染まったあとに目蓋を開くと、俺は森の中に立っていた。
夜だ。
俺はランタンを片手に滝の側に立っていたのだ。
「これでランダムダンジョンは終わりか……。なんだったんだ、いったいさ?」
俺は森を出てイルミナルの町を目指した。
そして、イルミナルの町が見える平原から町のほうを見れば、町がぼんやりと輝いているのだ。
その輝きは、複数のオーブと代わって天に登って行くのであった。
まるで昇天した魂のように──。
「まさか、町の人々が死んじゃったか!!」
俺は町に走った。
でも、違った。
一安心である。
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