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第252話【人形からの戦利品】

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俺は朝早く目が覚めた。

屋敷の窓から外を見てみれば、まだ少し薄暗かった。

こりゃあ完全な早朝だわな。

夜明けですわ。

俺はベッドから出ると欠伸と同時に背を伸ばす。

「ああ、まだちょっと早いが目が覚めちゃったぜ……」

俺が独り言のように声を出すと部屋の扉がノックされた。

「んん?」

扉の向こうからヒルダの声が聞こえて来る。

『アスラン様、お目覚めですか?』

「あ、ああ……」

これはヒルダは寝てないパターンだな。

きっと扉の向こうで、ずっと待機していたのだろう。

流石はミイラメイドだわ。

なんとも凄い奉仕精神だぜ……。

『では、朝食にいたしましょうか?』

「ああ、じゃあ飯を食ってから屋敷を出ようかな」

『では、食堂で頂きますか、それともこちらにお持ちしましょうか?』

「じゃあ、ルームサービススタイルで頼むは」

『畏まりました。しばしお待ちを』

じゃあ、待っている間に昨日の戦利品でもチェックしようかな。

それにレベルも上がってるから新スキルのチェックもかな。

そう俺が考えていると、部屋の扉がノックされた。

『アスラン様、朝食をお持ちしました』

「はやッ!!」

そして俺は部屋のテーブルで運ばれて来た朝食を頂くことにした。

てか、俺が起きる前から準備されてたのかな?

兎に角、完璧なメイドたちだわ……。

さてさて、今日の朝食は~。

メニューは、パンと肉入りコーンスープとサラダの盛り合わせだった。

あっ、あとゆで卵もあるや。

まあ、朝食だからこんなものかな。

『では、失礼します。ごゆっくり朝食をお楽しみくださいませ』

メイドたちが一礼すると部屋を出て言った。

俺はテーブルに付く前に異次元宝物庫から戦利品を出して床に並べる。

今回見つけたマジックアイテムは、シミターが三本、羊皮紙のスクロールが一つ、それとノミ、鉋、ノコギリなどと複数の工具だ。

俺はテーブルの上からパンを掴むと口に運んだ。

パンを噛りながらアイテム鑑定を始める。

じゃあまずは工具からかな。

そして鑑定の結果は工具すべてが+1だった。

能力はそれぞれだったが、ほとんどが戦闘用ではない。

ノコギリは切断作業の向上や、金槌は釘打ち作業の向上とかだった。

これは職人さんには凄い道具なのだろうが、クラフトスキルなんて持っていない俺には関係無いアイテムばかりだ。

これは纏めてセットで売ればいいだろうな。

単品でバラバラに売ったら、売れ残った工具が出てくると面倒臭いからね。

よし、じゃあ次はシミター三本だ。

一気に行くぜ。

【シミター+1。攻撃力向上】

【シミター+1。命中率向上】

【シミター+1。攻撃速度向上】

あー、全部がちょっとずつ違う+1だな~。

これなら売ってもいいが、とりあえず使ってシミターマスタリーを習得してから売りかな。

まあ少し使ってみるか。

さて、アイテム鑑定の最後は羊皮紙のスクロールだ。

どれどれ、どんな魔法かな~。

【魔法サモンパペットオーク。薪からオーク人形を召喚して、簡単な指示を与えることができる。一日にレベルが10おきに一匹召喚できる。召喚時間は術者レベル×かける4分程度】

パペットオークか~。

プチゴーレムだね。

これは単純な労働力を産み出す魔法だな。

おそらく戦闘力は低めなのかな?

インプよりは強いかな?

あれ、サモンインプってレベル×3分じゃなかったっけ?

これは4分だぞ。

パペットオークは薪を触媒にするから少し時間が長いのかな?

まあ、今度使って試してみるか。

てか、まだウィル・オー・ウィスプすら使ってないよね~。

今度使わんとな~。

さてさて、最後に新スキルチェックだな。

「ステータス、オープン!」

すると──。

『アスラン様、何かお呼びでしょうか?』

呼んでねーよ!!

俺は扉の向こうから声を掛けてきたヒルダに言う。

「いや、独り言だから気にしないでくれ……」

『はい、畏まりました』

あー、びっくりしたわ……。

俺は少し落ち着いてからステータス画面を見た。

新スキルは一つだけだった。

ちょっと寂しいな。

まあ、一つだけだから期待を込めて見てみようか。

どれどれ~。

【耐火スキル。炎系攻撃に対して抵抗力が向上する】

あら~……。

今回はファイアーボールを自爆とかさせてたから、これなのかな~。

って、ことはだ。

切腹とか繰り返していたら、刃物体勢スキルとか耐久性スキルとかを獲得できるのかな?

できるなら切腹を……。

いやいや、そこまで俺はクレイジーなサイコパスじゃあねえよ……。

こりゃあヤバイM思想だな。

やめだやめだ!!

まあ、今回はこんなもんかな~。

よし、ちゃんと飯を食うか……。

そして俺は戦利品を異次元宝物庫に仕舞ってからテーブルに付いた。

あー、ちょっとスープが冷めてますがな。

しゃあないか、まあ食うべ食うべ。

そして俺が朝食を食べ終わるころには窓の外は明るくなっていた。

賑やかな鳥の囀りも聴こえて来る。

俺は部屋の外に向かって言った。

「ヒルダさ~ん、食器を下げてくれないか~」

するとヒルダとミイラメイドが部屋に入って来て食器を下げて行く。

さて、どうするかな。

流石に今さっきメイドさんに食器を下げてもらってから直ぐに引っ越しってわけにはいかないかな。

先に俺は冒険者ギルドに報告してから戻って来ようかな。

「ヒルダさん」

『はい』

俺がヒルダを呼ぶと彼女が部屋に入って来る。

「俺はこれから冒険者ギルドに行って来るから、俺が帰ってきたら引っ越しにしようか」

『畏まりました。では、それまでに私たちの準備を済ましておきます』

「じゃあ、行ってくるわ~」

『お気を付けまして』

俺はヒルダに見送られて屋敷を出た。

ソドムタウンに向かってアキレスを走らせる。


【つづく】
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