128 / 604
第128話【売買】
しおりを挟む
俺とポラリスはワイズマンの屋敷で客間に通された。
ソファーの隣にはポラリスが座り、テーブルを挟んで前には正装して来たワイズマンが腰かけている。
いつものようにパンダの剥製がお茶を運んできたが、ポラリスは微動だにしない。
平然としている彼女には、パンダがお茶を運んで来ても珍しい光景では無いようだ。
「なんでアスランくんが、ポラリスさまを連れて歩いているんだい?」
ワイズマンが怪訝そうに訊いて来たので、俺は面白半分に冗談を飛ばす。
「あ~、言ってなかったっけ?」
「何をだね?」
俺は隣に座るポラリスの肩を掴んで身体を引き寄せた。
「俺たち、結婚します!」
「本当かい!?」
「そんなわけが有るかーー!!」
俺は怒ったポラリスにドスコーイと突き飛ばされて、長ソファーを飛び出して数メートルも離れた壁に激突した。
「うごぉ………」
く、首が折れるかと思ったぞ……。
次からはやめよう。このネタは危険だわ。
俺はヨタヨタとソファーに戻った。
まだポラリスは頬を膨らまして怒っている。
「まあ、こいつはさておいてだ」
俺は懐から手の平サイズのダイヤと宝刀のダガーを取り出した。
「これを買い取ってもらいたい」
俺が二つのアイテムを滑らせワイズマンの前に動かす。
ワイズマンはテーブルの上から宝刀のダガーを取ってマジマジと見回した。
「これはマジックアイテムかね?」
「いいや、二つとも閉鎖ダンジョン内で拾った物だがマジックアイテムではない」
「ふふん~」
ワイズマンは虫眼鏡を出して、二つを観察してから述べる。
「マジックアイテムでなければ、安値だな。まず、これはガラス玉だ」
ワイズマンは、ガラス玉だと評価したダイヤをテーブルの上でクルクルと回した。
「あら、ガラスなのかよ」
ならばただ同然だな。
畜生、あのゴーレムはトラップかよ。
結構強かったのにさ。
「次にこの宝刀の出来は素晴らしいが、それだけだな。まあ、高くても500Gかの~」
うわぁ~、思ったより安いな。
これじゃあ二日目の戦利品は赤字だわ。
まったくもって死にかけたかいが無いぞ。
「なるほどね。やっぱりマジックアイテムじゃあないと金にならないか」
「閉鎖ダンジョン内は、ほとんど物品は無いのかね?」
俺がポラリスをチラリと見ると、真剣な眼差しで俺を見ていた。
俺は視線をワイズマンに戻す。
なんか俺は悔しかったから方位磁石を出した。
「これは?」
「マジックアイテムだぞ。周囲10メートル内の気配を感じ取る方位磁石だ」
針は隣のポラリスを指していた。
「針は一つだから、最短の人物を指すようだな」
「だな」
「それならば2500Gで買い取ろう」
「売ったぜ」
「まあ、私の取り分は、ほとんど無いがね」
「まだ始まったばかりだからな。またマジックアイテムを拾ったら持って来るよ」
「でぇ~、今日来たのはそれだけではないだろう?」
「分かっているね、ワイズマン」
「なんだい?」
「知りたいことがある」
「それは?」
「閉鎖ダンジョンに巣くう英雄クラスのアンデットの名前が知りたい」
「ほほう、それは面白い話だな」
テイアーから聞いたのは外見だけだ。
「一体目は大柄の重戦士。二体目は魔法使い。三体目は黄金の剣を持った戦士だ。これらの外観から分かる情報は無いかな?」
ワイズマンは腕を組んで考え込む。
そして述べた。
「重戦士と魔法使いは情報量が少なすぎて分からないが、三体目の黄金の剣を有して居る剣士は分かるな」
「それは誰だ?」
「百年前ぐらいに閉鎖ダンジョンへ挑んだ、黄金剣のセルバンテスだろう」
「セルバンテス……」
「百年も前の冒険者だったが、それはえらく強かったと聴いているわい。何でもソロだったとか」
「俺と同じソロの勇者ですか」
「それが、勇者って柄じゃあ無かったらしいぞ。ソロだから不意打ち闇討ちなんでも上等、勝つためなら何だってやるタイプだったとか」
うわっ、俺と同じタイプだよ。
まさに勇者じゃあないわ。
「今までも閉鎖ダンジョン内で黄金の剣を持ったアンデットに出合ったことがあるって噂が有ったけれど、本当だったんだね」
「もしも、その黄金の剣を持ってきたら、幾らになる?」
「さっきも言っただろう。すべては強力なマジックアイテムかどうかだ」
「分かったぜ。ゲットできたら持ってくるかも」
「やはり売らずに使うかね」
「そりゃあそうだろ」
「やはり幾つかはマジックアイテムを拾っとるな」
「じゃあ、俺は帰るぜ」
そう言うと俺はワイズマンの屋敷を出た。
テクテクと進む俺の後ろをチョコチョコとポラリスが速足で付いて来る。
「なあ、ポラリス」
「なんじゃ?」
俺は振り向かずに述べた。
「俺についてこれるかな?」
「ついて来る?」
「よーーーい、どんっ!」
俺はダッシュで走り出すとポラリスが必死に追い駆けて来る。
だが、彼女は遅いな。
「ひゃはっはっはっ~~、遅いぞお姫さま~」
「な、なにを!!」
俺とポラリスの間が少しずつ開いて行く。
まあ~、俺はスキルでマラソンコストダウンとノットランを持ってるからな。
怪力では向こうだが、脚力なら負けないぜ。
いざとなったら魔法オーバーランも有るし、やっぱり脚力だと負けやしないな。
俺はゴモラタウンの第一ゲートまで走ると遅れているポラリスを待った。
「遅いな~」
「ぜぇはー、ぜぇはー……」
しばらくすると、彼女は激しく息を切らせてやっとゲートに到着した。
「お、おぬしは足が、は、速いのぉ……」
ポラリスが息絶え絶えに言うと、俺は彼女の肩を叩きながら述べる。
「やっぱりお前を連れて冒険には出れないわ」
「な、何故じゃ!?」
「足が遅いもの」
「だからそれがどうした!?」
「だって俺はソロだよ。そんな俺がお前をパーティーとして迎えても、二人のパーティーだ。俺は敵が多ければ逃げも隠れもする。そんなスタイルの冒険がお前にできるか?」
「逃げも隠れもするって、何故に戦わない!?」
「戦ったら負けるからに決まってるだろ。負けたら死ぬんだぞ」
「だからって、逃げるなんて……」
「普通、逃げるだろ」
ポラリスは可愛らしくコクリと頷いた。
するとゲート内に向かって走り出す。
まるでマラソンでもするようにだ。
そのまま居なくなる。
「なんなんだ、あいつ?」
その日からポラリスのトレーニングが筋トレだけでなく長時間のマラソンまでメニューに組み込まれたと言う。
あの馬鹿お姫さまは、諦めていないようだ。
今からマラソンに励んで脚力を上げるらしいな。
【つづく】
ソファーの隣にはポラリスが座り、テーブルを挟んで前には正装して来たワイズマンが腰かけている。
いつものようにパンダの剥製がお茶を運んできたが、ポラリスは微動だにしない。
平然としている彼女には、パンダがお茶を運んで来ても珍しい光景では無いようだ。
「なんでアスランくんが、ポラリスさまを連れて歩いているんだい?」
ワイズマンが怪訝そうに訊いて来たので、俺は面白半分に冗談を飛ばす。
「あ~、言ってなかったっけ?」
「何をだね?」
俺は隣に座るポラリスの肩を掴んで身体を引き寄せた。
「俺たち、結婚します!」
「本当かい!?」
「そんなわけが有るかーー!!」
俺は怒ったポラリスにドスコーイと突き飛ばされて、長ソファーを飛び出して数メートルも離れた壁に激突した。
「うごぉ………」
く、首が折れるかと思ったぞ……。
次からはやめよう。このネタは危険だわ。
俺はヨタヨタとソファーに戻った。
まだポラリスは頬を膨らまして怒っている。
「まあ、こいつはさておいてだ」
俺は懐から手の平サイズのダイヤと宝刀のダガーを取り出した。
「これを買い取ってもらいたい」
俺が二つのアイテムを滑らせワイズマンの前に動かす。
ワイズマンはテーブルの上から宝刀のダガーを取ってマジマジと見回した。
「これはマジックアイテムかね?」
「いいや、二つとも閉鎖ダンジョン内で拾った物だがマジックアイテムではない」
「ふふん~」
ワイズマンは虫眼鏡を出して、二つを観察してから述べる。
「マジックアイテムでなければ、安値だな。まず、これはガラス玉だ」
ワイズマンは、ガラス玉だと評価したダイヤをテーブルの上でクルクルと回した。
「あら、ガラスなのかよ」
ならばただ同然だな。
畜生、あのゴーレムはトラップかよ。
結構強かったのにさ。
「次にこの宝刀の出来は素晴らしいが、それだけだな。まあ、高くても500Gかの~」
うわぁ~、思ったより安いな。
これじゃあ二日目の戦利品は赤字だわ。
まったくもって死にかけたかいが無いぞ。
「なるほどね。やっぱりマジックアイテムじゃあないと金にならないか」
「閉鎖ダンジョン内は、ほとんど物品は無いのかね?」
俺がポラリスをチラリと見ると、真剣な眼差しで俺を見ていた。
俺は視線をワイズマンに戻す。
なんか俺は悔しかったから方位磁石を出した。
「これは?」
「マジックアイテムだぞ。周囲10メートル内の気配を感じ取る方位磁石だ」
針は隣のポラリスを指していた。
「針は一つだから、最短の人物を指すようだな」
「だな」
「それならば2500Gで買い取ろう」
「売ったぜ」
「まあ、私の取り分は、ほとんど無いがね」
「まだ始まったばかりだからな。またマジックアイテムを拾ったら持って来るよ」
「でぇ~、今日来たのはそれだけではないだろう?」
「分かっているね、ワイズマン」
「なんだい?」
「知りたいことがある」
「それは?」
「閉鎖ダンジョンに巣くう英雄クラスのアンデットの名前が知りたい」
「ほほう、それは面白い話だな」
テイアーから聞いたのは外見だけだ。
「一体目は大柄の重戦士。二体目は魔法使い。三体目は黄金の剣を持った戦士だ。これらの外観から分かる情報は無いかな?」
ワイズマンは腕を組んで考え込む。
そして述べた。
「重戦士と魔法使いは情報量が少なすぎて分からないが、三体目の黄金の剣を有して居る剣士は分かるな」
「それは誰だ?」
「百年前ぐらいに閉鎖ダンジョンへ挑んだ、黄金剣のセルバンテスだろう」
「セルバンテス……」
「百年も前の冒険者だったが、それはえらく強かったと聴いているわい。何でもソロだったとか」
「俺と同じソロの勇者ですか」
「それが、勇者って柄じゃあ無かったらしいぞ。ソロだから不意打ち闇討ちなんでも上等、勝つためなら何だってやるタイプだったとか」
うわっ、俺と同じタイプだよ。
まさに勇者じゃあないわ。
「今までも閉鎖ダンジョン内で黄金の剣を持ったアンデットに出合ったことがあるって噂が有ったけれど、本当だったんだね」
「もしも、その黄金の剣を持ってきたら、幾らになる?」
「さっきも言っただろう。すべては強力なマジックアイテムかどうかだ」
「分かったぜ。ゲットできたら持ってくるかも」
「やはり売らずに使うかね」
「そりゃあそうだろ」
「やはり幾つかはマジックアイテムを拾っとるな」
「じゃあ、俺は帰るぜ」
そう言うと俺はワイズマンの屋敷を出た。
テクテクと進む俺の後ろをチョコチョコとポラリスが速足で付いて来る。
「なあ、ポラリス」
「なんじゃ?」
俺は振り向かずに述べた。
「俺についてこれるかな?」
「ついて来る?」
「よーーーい、どんっ!」
俺はダッシュで走り出すとポラリスが必死に追い駆けて来る。
だが、彼女は遅いな。
「ひゃはっはっはっ~~、遅いぞお姫さま~」
「な、なにを!!」
俺とポラリスの間が少しずつ開いて行く。
まあ~、俺はスキルでマラソンコストダウンとノットランを持ってるからな。
怪力では向こうだが、脚力なら負けないぜ。
いざとなったら魔法オーバーランも有るし、やっぱり脚力だと負けやしないな。
俺はゴモラタウンの第一ゲートまで走ると遅れているポラリスを待った。
「遅いな~」
「ぜぇはー、ぜぇはー……」
しばらくすると、彼女は激しく息を切らせてやっとゲートに到着した。
「お、おぬしは足が、は、速いのぉ……」
ポラリスが息絶え絶えに言うと、俺は彼女の肩を叩きながら述べる。
「やっぱりお前を連れて冒険には出れないわ」
「な、何故じゃ!?」
「足が遅いもの」
「だからそれがどうした!?」
「だって俺はソロだよ。そんな俺がお前をパーティーとして迎えても、二人のパーティーだ。俺は敵が多ければ逃げも隠れもする。そんなスタイルの冒険がお前にできるか?」
「逃げも隠れもするって、何故に戦わない!?」
「戦ったら負けるからに決まってるだろ。負けたら死ぬんだぞ」
「だからって、逃げるなんて……」
「普通、逃げるだろ」
ポラリスは可愛らしくコクリと頷いた。
するとゲート内に向かって走り出す。
まるでマラソンでもするようにだ。
そのまま居なくなる。
「なんなんだ、あいつ?」
その日からポラリスのトレーニングが筋トレだけでなく長時間のマラソンまでメニューに組み込まれたと言う。
あの馬鹿お姫さまは、諦めていないようだ。
今からマラソンに励んで脚力を上げるらしいな。
【つづく】
0
お気に入りに追加
383
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる