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第119話【初日の戦利品】

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俺が地上に戻ると、出入り口側で待っていたパーカーさんが迎え入れてくれた。

「よう、勇者様のお帰りだな」

「ただいま、パーカーさん」

俺がダンジョンから出ると、パーカーさんが鉄扉を閉めて施錠する。

これで今日の冒険は終了だ。

「どうだい、成果はあったかい?」

「ぼちぼちかな。思った以上に複雑で広いダンジョンだよ。おそらく今日回っただけだと、1/100ぐらいも回っていないかも知れないや」

「だろうな、今まで数多くの冒険者が挑んでは朽ちて行ったダンジョンだからな」

「ところでスパイダーさんは、どうなったの?」

「上に居るぜ……」

なんだかパーカーさんの態度が微妙だな。

まだ屁は止まってないのかな?

俺たち二人が上の階に戻ると椅子に縛られたスパイダーさんの姿があった。

猿轡をされて項垂れている。

その尻からはプリップリップリッと音が奏でられていた。

うん、止まってない……。

「この屁はどうしたもんかね……?」

「とりあえず神官さんに見せたらどう?」

「あー、呪いって可能性も有るか。じゃあ、俺は城の神官さんのところに行って来るわ」

「いやいや、ちょっとまってよパーカーさん」

「なんだ?」

「俺、お腹が空いてるんだけど?」

「飯なら勝手に作って食えよ」

「俺は飯が作れません」

そうなのだ。

いつもスカル姉さんが作ってくれた飯や、冒険者ギルドの酒場で飯を食っている。

冒険中は、保存食を噛りながら過ごしているのだ。

俺には飯を作るっていう技術を覚える気すら無いのである。

「あー、じゃあ、先に飯にするか~」

「有り難うございます!」

その間もスパイダーさんは項垂れながら、死人のように振る舞っていた。

尻からはプリプリと屁の音が続いている。

俺はパーカーさんが作ってくれた不味い飯を食べた後に部屋に戻った。

そして、今日ダンジョンで手に入れたマジックアイテムを異次元宝物庫から出すと、床へ綺麗に並べた。

今日の冒険で拾ったマジックアイテムのラインナップはこれである。

ショートソード、ウォーハンマー、バックラー、方位磁石、ブラックオニキスの原石。

これの他に魔法の羊皮紙スクロールが三枚だ。

まあ、そこそこの戦利品だろう。

じゃあ、まずはショートソードから鑑定してみる。

【ショートソード+1。攻撃力向上】

うん、まあこんなものかな。

ノーマルのショートソードよりましだよね。

それにガーゴイルみたいにマジックアイテムしか効かないモンスターもいるみたいだしな。

まあこれでショートソードもマジックアイテムになったぞって感じである。

続きましてはウォーハンマーだ。

【ウォーハンマー+2。マジックトーチが一回使える。ウェポンスマッシュが一回使える】

んん~?

新しいパターンのマジックアイテムだな。

スキルが使えるのかね?

まあ、これはこれで良しとしとこう。

続きましてはバックラーだ。

腕に結び付ける小さな盾だね。

【バックラー+1。魔法耐久向上】

ん~、魔法の耐久性の向上なのかな?

まあ、有りがたく使わせて貰いますわ。

続きましては、謎の方位磁石ですね。

なんか役に立つようなマジックアイテムだと良いのだが。

【敵意の方位磁石。半径10メートル以内に敵意を持った者が近付くと、針が指される】

おお、面白い効果だな。

これはいろいろと使えそうだわ。

最後はブラックオニキスの原石ですね~。

【魔法爆弾の原石。何かにぶつけて砕かれると爆発を起こす。爆発すると原石は砕けて無くなる】

おおう!

一発限りの爆弾攻撃ですな。

これは取って置きだから使いどころに悩んでしまって倉庫の肥やしになりかねないアイテムだぜ。

悩まずに出来るだけ使っていこうか。

さーて、今度は魔法の羊皮紙スクロールですよ~。

三枚も有るから楽しみだわ~。

どれどれ、一枚目は~と?

【魔法マジックアロー。攻撃力は小。無属性。射程距離15メートルの飛翔体魔法。回数は本人レベルが3おきに一回ずつ撃てる。発動条件は魔法名を口に出す】

ぐふっ!

まさか、かぶるなんて……。

そうか、かぶるってパターンも有りますよね。

しゃあないか、これはワイズマンに売ってもらおうか。

まだ、二枚も有るから、新魔法は覚えられるさ。

【魔法ファイアーエンチャントウェポン。武器に火属性の効果を与える。効果時間は5分。回数は本人レベルが3おきに一回ずつ使える。発動条件は魔法名を口に出す】

おおう、これはなかなかの魔法をゲットしたぜ。

これなら戦闘で役に立つな。

よーし、最後の一枚だ!

【魔法ピュアヒール。傷を小回復させる。一日に術者のレベルの5おきに一回分の小回復。他人にも掛けられる】

よーし、ヒールをゲットだぜ!

これで、もっともっと戦えるかな。

うんうん、なかなか悪くない戦利品だったわい。

初日にしては良い感じだったからな。

屁、以外は……。

ちょっとスパイダーさんの様子でも見に行くか。

「んーー!! んーーー!!!」

あれ、猿轡されたスパイダーさんが暴れているな?

「パーカーさん、どうしたの?」

「あのな、神官様に相談したら、何か悪いものに憑かれているかも知れないから教会まで連れて来てくれって頼まれてよ」

「あー、じゃあ俺も手伝いますよ」

「わるいな、アスランくん」

「いえいえ、最初は俺に憑いて来た屁の霊ですから」

プリッ、プリッ、プリッ……。


【つづく】
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